雨砕《usai》

金木犀の咲く頃。

2019/10/02 22:15 投稿

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  • 金木犀
  • 日常

 通勤途中、ふと鼻をくすぐる甘い香り。
周囲を見渡しても、あるのは緑鮮やかな街路樹だけ。
薄着ではちょっとばかり寒く感じるこの時期、私はよく遭遇する。
姿は見えず、されど、自己主張は忘れない。
控え目なのに、誰も無視できない存在感。
横道にちょっとずれると、香りがより鮮明になっていく。
あった。
斜め前の民家の生垣。緑の葉に混じって鮮やかな橙色が点在する。
金木犀だ。
そっと鼻に近づけると、豊満な甘さで心が満たされる。
出勤時間の貴重な数分を支払っても、この香りは譲れない。
私は、もう一度味わうため、再度横隔膜に力を入れた。

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