「脱原発」を宣言した元首相といえば、菅直人元首相が目立つが、小泉氏の場
合は元自民党、元推進派だったということもあり、インパクトが違っているよ
うだ。
〈小泉元首相発言 「原発ゼロ」掲げる見識を疑う
首相経験者として、見識を欠く発言である。原子力政策をこれ以上混乱させ
てはならない。
小泉元首相が講演で、「原子力発電に依存しない、自然を資源にした循環型
社会」の実現を唱え、政府に対し、「原発ゼロ」の方針を掲げるよう求めた。
東日本大震災を機に自らの考えを変えたという。
小泉氏の発言は、政府・自民党の方針と異なる。政界を引退したとはいえ、
看過できない。
安倍首相は、安全性が確認された原発は再稼働させ、民主党政権の「原発ゼ
ロ」路線を見直す意向だ。自民党も原発再稼働の推進を選挙公約に盛り込んだ。
小泉氏は原発の代替策について「知恵ある人が必ず出してくれる」と語るが、
あまりに楽観的であり、無責任に過ぎよう……(略)〉(10月8日付「読売
新聞」社説)
この読売新聞のように、小泉氏を評価してきて、さらに原発推進だったメデ
ィアや言論人はずいぶんと混乱しているようだ。
最初から、原発賛成・反対の二元論ではなく、多様性のある公平なスタンス
で報道していればこうはならなかったろうに…、と気の毒にすら思ってしまう。
とはいうものの、じつは筆者はここにこそ、日本の言論空間の限りない幼稚
性をみている。
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