オ〇ニストによる音楽批評

Amorphis/Under the Red Cloud

2015/12/21 02:58 投稿

  • タグ:
  • メロデス
  • フォークメタル
  • プログレッシブメタル
  • ゴシックメタル



1. Under The Red Cloud
2. The Four Wise Ones
3. Bad Blood
4. The Skull
5. Death Of A King
6. Sacrifice
7. Dark Path
8. Enemy At The Gates
9. Tree Of Ages
10. White Night
11. Come The Spring (Bonus Track)
12. The Wind (Bonus Track)

フィンランドは南部ウーシマー県に属する首都ヘルシンキ出身のゴシック/メロディックデスメタルバンドの12th。メロデス黎明期から継続して活動を続けるメタル大国フィンランドを代表するベテランバンドであります。ゴシカルな哀愁性を加えたメランコリックなメロデスサウンドはここ日本でも一定の人気を得ており、定期的に来日することでも知られています。そんな彼らの歩みを少しだけ振り返ると(前作時の説明が雑なんでもう一度w)、民族的な土着メロディとデスメタルを融合させたサウンドを確立させた初期の名盤「Tales From the Thousand Lakes」~「Elegy」にて当時のメタルシーンを盛り上げるも、その後バンドはトラッド/フォーク方面へと音楽性を大きく変化させて迷走期に入ります。しかし、ドレッドヘアーがトレードマーク(本作では封印)のヴォーカリストTomi Joutsenが加入した7th「Eclipse」にて再びメランコリックなメロデスへと回帰して以降非常に安定したアルバムを量産し続けています。「Eclipse」以降外れなしと言われているのも至極納得です。ですが何作も同じ路線を繰り返していると、いくら高クオリティであろうとも起こり得るのがマンネリで、個人的には10th「The Beginning of Times」あたりでソレを強く感じたリスナーなのですが、それに続く11th「Circle」ではバンド側もソレに気付いたのかは未だ不明だが、長年プロデュースを務めてきたNightwishのMarco HietalaからHypocrisy/Painの中心人物Peter Tägtgrenへとチェンジした結果、過去最高にデスメタリックに仕上がり、今までになく新鮮に聴けた作品であった。ですがその年のベストにも選出するくらいには気に入った作品だったはずなのに言うほどヘビロテになった記憶は無くて、むしろ買って一カ月がいいとこくらいだったなぁなんて今更思い出す。理由としてはAmorphisらしい哀愁/美旋律がやや乏しかったこともあるけど、何よりPeter Tägtgrenによる武骨で荒削りな音作りが妙な違和感を生み出しヘビロテに繋がらなかったのだろう。ちなみにチルボドの前作も彼担当だったりする。

なら誰をプロデューサーとして迎えれば気が済むのさ?って話に繋がるのだけど、今作「Under the Red Cloud」では満を持してのSoilworkやLeprousに続くJens Bogren(ミックス/マスタリングを含むプロデュース)×David Castillo(エンジニア)、更にCallistoやPoison Blackといったフィンランドメタラーを手掛けるJonas Olssonなど多数のエンジニアを招集して作られた本作は、成功することが約束された渾身の一枚なのであります。フィンランドの伝統的叙事詩「カレワラ」をテーマに置いたもので、方向性としても「Eclipse」以降の路線を踏襲する至って彼ららしい堅実なスタイルなのだが、Jensを始めとする各エンジニア陣とメランコリックな音像との相性は素晴らしくマッチしており、そのしなやかな音像は前作と聴き比べると段違いで差が良く分かることだろう。ピアノの旋律を生かした彼ららしいメランコリーなイントロを挟み、クリーンヴォーカルを主体とした切ない哀愁成分を配分したコテコテのフィンランドメタルを堂々と展開する1. Under The Red Cloudから名盤「Skyforger」のあの感覚を蘇らせる名曲。続く2. The Four Wise Onesは対照的にメロデス調の激しい入りやグロウルを主体としたデスいナンバーであるが、女性ヴォーカルの導入や叙情トレモロで哀愁性を滲ませていくあたりは実にAmorphisらしい。メロデス然とした刻みによる進行~キャッチーなコーラスへと劇的に変化する3. Bad Bloodも中々の出来。そして本作のリードトラックでもある5. Death Of A Kingは、ゲストのChrigel Glanzmann(Eluveitie)によるフルートの音色と元Opeth/現SoenのMartin Lopezによるパーカッションを加えた中東ライクなエスニック/アラビアンな感触がポイントで、Amorphis特有のフォーキッシュな民族要素と化学反応を起こし、妙な神秘性だったり高揚感を呼び起こす異色とも言える楽曲。それ以降も叙情性に重きを置いた王道のメランコリックメタルの6. Sacrificeを筆頭に、デスメタリックな攻めとサビでのクリーンといった対比で上手く表現、後半の冷ややかなシンセから再び盛り返すあたりも味な7. Dark Path、MetastazisのValnoirによる細部にまで拘った曼荼羅のようなアートワークが示す中東風味のエスニック感はOrphaned Landのような妖艶な雰囲気すら醸し出す8. Enemy At The Gates、いつになく勇壮なリフやフルートのフォーキッシュな音色がヴァイキングメタルのような聴き心地をもたらす9. Tree Of Ages、実質本編ラストを飾る10. White Nightでは、Trees of EternityのヴォーカリストAleah Dwyer-Stanbridgeをゲストに迎え、彼女の透き通った歌声とドスの利いたグロウルや壮麗なストリングスなどゴシックメタル感を一層強め、主張は控えめであるもののラストに相応しい彩りのある楽曲だ。

国内ボートラも抜かりなく、ザクザクとテンポの良いメロデス然とした疾走感と極めてキャッチーなポップ感が同居した11. Come The Spring、6.のようなメランコリックメタル即ち如何にもAmorphisらしい12. The Windも新鮮味は薄くとも安心して聴ける良曲と本編に加えても何ら謙遜ないクオリティを誇る。更に国内盤Disc-2にはLoud Park 13でのライブを丸々収めたCDを収録した良コスパな仕様の物も同時リリースされており、ファンであれば満足の行く内容かと。といったかんじで、「Eclipse」~「Skyforger」あたりの作品を思い出させるような回帰/総括をしながらも、中東的な要素など今までにない挑戦まで果たした意欲的な傑作であると同時に、良内容であったにも関わらずヘビロテにならなかった前作とは違い、確実にリピートするであろうことが決定している一枚でもあります。年間ベスト作品。


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