オ〇ニストによる音楽批評

Leprous/The Congregation

2015/08/10 01:16 投稿

  • タグ:
  • プログレッシブメタル
  • アヴァンギャルド
  • オルタナティブメタル



1. The Price
2. Third Law
3. Rewind
4. The Flood
5. Triumphant
6. Within My Fence
7. Red
8. Slave
9. Moon
10. Down
11. Lower
12. Pixel

ノルウェーは西テレマルク地方ノトデン出身のプログレッシブメタルバンドの5th。ブラックメタルの帝王Emperorの核であるIhsahn氏のソロ活動においてバックバンドとして参加したことで知名度を上げるに至った舎弟バンドLeprousでありますが、最早そのような肩書きは不要なくらいに大成長を遂げました。2001年から活動する彼らですが、以前前作にあたる「Coal」をレビューした際にも一応彼らの歩みも一通り書いたつもりでした。が、今見直すと結構雑な出来だったのでもう一度→注目を浴びるきっかけとなった2nd「Tall Poppy Syndrome」ではお隣スウェーデンの重鎮Opethから影響を受けたであろう緩急の大きく利かせた陰りのあるダークなプログレデス→Opeth大好きバンドの一員だったわけですが、ノルウェー産のメタルバンドらしいアヴァンギャルド性に重きを置いたPoSスタイルへと回帰を果たした3rd「Bilateral」にてLeprousならではの個性を確立。key/VoのEinar Solbergによる伸びに伸びまくる驚異のハイトーンヴォーカルもこの頃から顕著に用いられるようになって作品の表現力の幅を大きく広げるプラス要因に働いていたと思います。そして4th「Coal」ではToolなどのダーク/オルタナ成分の強化や界隈の先人譲りの芸術性を磨き上げ、Devin Townsend顔負けなミュージカル仕立てオルタナ系アヴァンプログレを完成させた。それは師であるIhsahnすら凌駕する凄まじきクオリティで案の定その年のベスト上位にランクインする結果となりました。しかし、こういった経歴を見ているとあまりに順風満帆過ぎてそろそろ何かしら課題に引っ掛かり始める頃なんじゃないかと不安の方も高まってくるわけですが...と言ったかんじのことも踏まえながら、約二年ぶり、過去作同様Inside Outからのリリースとなった「The Congregation」の話へと移っていきましょう。まず前作後Tobias Ørnes Andersen(Dr)とRein T. Blomquist(Ba)が脱退(TobiasはShining(Nor)に加入)。代わりにBaard Kolstadなるドラマーが加入しているのですが、BorknagerやGodseedでも叩いている方らしく違和感の方は感じませんでした。むしろ手数の多さやリズミカルな運びはドラムだけに注目して聴いても楽しめるほど。気になる路線に関しては4thのダーク/オルタナ系プログレメタルをキープした延長上線と言えるもの。それはつまり傑作「Coal」に近いものであり、ミックスにはJens Bogren、マスタリングにはJensと肩を並べるTony Lindgren、レコーディングにはDavid Castilloといった前作と同じ鉄壁の布陣によって固められた制作陣営を見てもソレは明らかですね。

楽曲紹介へ移る前に、傑作となった「Coal」や「Bilateral」と比べても謙遜ない素晴らしい出来だということをドヤッと宣言したい。そんでもって前作の延長上の作風であることは確かなのだけど、違うアプローチだったり彼らなりの進歩もしっかりと感じ取れるものである作品であることから決して「Coal」の二番煎じではないということも。まずLeprousの売りの一つであるIhsahnの甥っ子でもあるEinar Solbergの歌唱が前作にて完成したと思い込んでいた私はリードトラックの1. The Priceを聴いてド肝を抜かれたわけで、まるでソウルフル極まりないオペラティックな歌唱スタイルは勿論のこと、イントロを挟んでの「アーアーアーアー」言ってるパートにマジで萌える。音響系のミニマルな感触だったりインテリジェンスな変則リズムも聴けば聴くほど癖になります。そしてLeprousはDjentlmenであることを印象付ける2. Third Lawでは、変態/モダニズムに基づく唯一無二な刻みを中心に作られた楽曲で、刻みフレーズと「アーアーアーアー」がシンクロ。それに加えてJens担当のおかげか前作同様音の良さをヒシヒシと実感出来て立体感のある刻みが気持ち良過ぎる。そしてもう一つのポイントであるシンセを大々的に押し出した3. Rewindでは、アンビエンスな音響効果にトライバルなビートが乗っかり心地よくスケールを増し、終盤ではIhsahnソロ作のような緻密で前衛的なブラックメタル方面へと姿を変えて、激情的なスクリームも披露。ここから中盤までは3.に代表されるアンビエント×刻みを擁したプログレと言ったメタル的なアグレッションは薄めの楽曲が続く。その中では、無機質なドラミングとイイ意味でのポップなリズム感が特徴な6. Within My Fenceが一番ノリ易くEinarの歌唱もいつになくベタで良いです。そして8. 以降アルバム後半が本領発揮と言ったところで、師Ihsahn直伝のダークな内向性を極めた路線へ。前作における闇のカーニバルを再びをモットーに、透明感のある淡いシンセに電子音を絡ませたダークさが光る楽曲進行には心揺さぶられ、更に深みのあるバラードにより一層説得力を加えるのがやはりEinarの歌声でして、正に演歌ばりにねっとりとしたベタで熱い歌唱は激情感に溢れてて何というかクサ過ぎますね。知的で美しいサウンドスケープを形成していくオルタナへヴィ調の9. MoonもTesseractのようなクリアなスマートさがあってホント好き。息を呑むような張り詰めた緊張感や幽玄さに加えてプログレらしいリズミカルな刻みは前作の名曲「The Valley」を彷彿とさせ、その闇を照らす一筋の光の如く美しくエモ―ショナルに伸びまくる彼の歌唱の素晴らしさったらない10. Downも同クラスの名曲で、その8~10のモダンスタイリッシュなダークプログレの一連の流れはマジで必聴。アトモスフェリックな空間美やニカ系統の音響効果がポストロックに近い優美で神聖な聴き心地を運び込む11. Lowerもフィナーレを飾るに相応しいポスト系ナンバーで、ボートラの12. Pixelは本編とは少し異なる王道とも言えるオルタナテイスト&メロウな聴き易さを持ったプログレメタルを展開と終盤に至っても一切抜かりのない作り込みで、当初の高いハードルをひょいと超えてくるLeprousはノルウェー界隈で一番脂がノッてるバンドに違いないなと改めて実感したまで。にしても同じJensを招集した重鎮Enslavedの新作と何故ここまで差が付いてしまったのか...(尚、世間では概ね好評の模様)

同界隈の先駆者達や師からアート性だったりアヴァンギャルド精神を受け継ぎつつも、作品をリリースするごとに変化し続けるその貪欲なまでの探求心は5作目となる本作でも衰えることなく発揮。アンビエント~ブラックメタルまでと過去最高に幅の広さを見せつけるも、プログレメタル/ロックの範囲内へと上手くまとめ上げる手腕も見事で、過去の傑作にも決して劣ることのない素晴らしい作品を作り上げております。このスタイリッシュでビシッとまとまった本作を聴くと、最近増加傾向にある奇を衒っただけのアヴァンプログレやらポストブラックがホントお遊びというかしょっぱく聴こえます。つまりLeprousを見習えとしか。その幅の広さもあってかメタルというよりかはポストロック/プログレの感覚に近いため、へヴィなアグレッション(特に2ndあたりの)を求めると厳しめかもしれません。逆にダークオルタナ化した前作が気に入っていれば間違いなく響いてくると思うので、是非オススメしたい一枚です。てなかんじで、Einarの更なる歌唱力UPも含め前作から正統に進化した前衛集団Leprous「The Congregation」は今のところメタル年間ベスト暫定一位です。欲を言うなら二度の来日公演があったにも関わらず見逃してる身としては本作を引っ提げて或いはIhsahnのバックバンドでも構わないからもう一度来日希望と切に願います。



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