オ〇ニストによる音楽批評

Timbre/Sun & Moon

2015/11/10 02:47 投稿

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[Sun]
1. Sunrise
2. Song of the Sun
3. Your Hands Hold Home
4. The Persistence of First Love
5. Singing and Singing
6. Of Waving Woods and Waters Wild
7. I Am in the Garden
8. Chicago Pier
9. Morning Birds
10. Night Girl: Nycteris Sees the Sun

[Moon]
1. Sunset (O Lux Beata Trinitas)
2. Of Cloudless Climes and Starry Skies
3. St Cecilia: An Ode to Music
4. As the Night
5. Sanctus
6. Day Boy: Photogen Sees the Moon

USはテネシー州ナッシュビル出身のクラシカル/チェンバーフォーク/プログレッシブフォークバンドの4th。ハープ奏者/シンガーソングライターTimbre Cierpke (Harp/Vo)を中心にPatrick Rush(cello)とMason Self(dr/glocken/piano)の三人からなり、彼女自身を銘したバンド(プロジェクトの可能性も)で、本作が初聴となります。今作は「Sun」と「Moon」の二つからなる大作志向のコンセプトアルバムになっていて、BandcampのタグにもあるようにBjorkやSigur Rósは勿論のこと、Julianna Barwickのような壮麗なモダン/クラシカルな素養から比較対象とされているJoanna Newsomまで吸収したアーティスティックなクラシカル音楽を展開している。私自身本作を聴いてまず思ったのがJoanna Newsomに近いということで、たおやかなチェンバーフォークを基調にポロリとハープを紡ぎ夢心地な彼方へと誘ってくれるような美しくも優しい音色や大作志向な傾向は確かに類似します。しかし明らかな違いもあってJoanna Newsomがあくまでインディ周辺を土台としているのに対して、このTimbreはポスト或いはプログレに近い音使いであることが挙げられる。そのためハープを用いている=で繋げるのはちと強引過ぎる気がしなくもない。

まず[Sun]の方から説明すると、ハープを始めにチェロやピアノといった管弦楽をふんだんに取り入れた美麗なクラシカル要素をモチーフとしたチェンバーフォーク路線で穏やかなクラシカルパートから気品漂う1. Sunriseから幕を開け、自然大好きフォーキッシュ感やニューウェイブ的なアンニュイさを醸し出しながら、徐々にリズミカルなドラミングや男女のコーラスパートが彩りを濃くしていく2. Song of the SunやBalam Acabのようなミニマルな打ち込みやアンビエンスな音響効果がウィッチハウスのような聴き心地をもたらす3. Your Hands Hold Homeあたりはやはりインディ的な感覚が強く感じられる。しかし、7. I Am in the GardenのGrouper直系の繊細な心の動きをリアルに表現するかのような内に秘めた薄暗い内向性を示してきたり、8. Chicago Pierにおける生き生きとしたホーンの響きや近年The Gatheringのような希望に満ちたメロディやオルタナ系プログレに通ずる楽曲の運び方なんか見ればやっぱりJoanna Newsomとは味というか聴こえ方自体が違うってことが理解できるはず。あと大曲の間に挟まれた小曲も悪くなく、特に6. Of Waving Woods and Waters Wildの至極シンプルながら心に響く優しいメロディラインが良さ気。もう一つの[Moon]はというとTrevecca Madrigalians & Trevecca Symphony Orchestraが全面協力、密かに行われる深緑豊かな森のオーケストラみたいなアンビエント方面へ卒倒した内容で、夢中夢のハチスノイトさんのソロ作「universal quiet」を彷彿とさせるエクスペリメンタル精神溢れる神秘的な作風で、クラシカルではあっても幾分聴き方が異なってきます。中でもラストの大曲6. Day Boy: Photogen Sees the Moonのとてつもないスケール感は圧巻で、曲が進行するに連れて徐々に各楽器陣の演奏が強みを増して一団となりて壮大な交響詩を紡ぎ出す様はGodspeed You!Black EmperorやKayo Dotクラスの凄みがある。そんなかんじで上記で挙げたアーティスト周辺にピンと来たなら是非チェックしてみてほしいチェンバー/クラシカル傑作でベストにもおそらく入ってきそうなのですが、国内含めあまり取り上げられていないのが現状みたいですね。



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