オ〇ニストによる音楽批評

Barren Earth/On Lonely Towers

2015/06/07 23:41 投稿

  • タグ:
  • プログレッシブメタル
  • メロデス
  • ドゥームメタル



1. From The Depths Of Spring
2. Howl
3. Frozen Processions
4. A Shapeless Derelict
5. Set Alight
6. On Lonely Towers
7. Chaos, The Songs Within
8. Sirens Of Oblivion
9. The Vault

フィンランドの首都ヘルシンキにて結成されたプログレッシブ/メロデス/ドゥームメタルバンドの3rd。2ndまでヴォーカルを取っていたMikko Kotamäki(Swallow The Sun)が本家での活動を重視した結果脱退してしまったので、フィンランド産と呼ぶのもおかしなかんじになってしまったスーパーグループである。ちなみに他のメンバーもスーパーと付けるに相応しい面子で、Olli-Pekka Laine(元Amorphis)/Marko Tarvonen(Moonsorrow/October Falls)/Janne Perttilä(Moonsorrow(live))/Sami Yli-Sirniö(Waltari/Kreator)/Kasper Mårtenson(元Amorphis/Turisas(live))、そこにKotamäkiの後任としてデンマーク領フェロー諸島出身のドゥームメタルバンドHamferðのヴォーカリストJón Aldaráが加入するに至ります。そんな彼らの音楽性はカレワラメタルことAmorphisのメランコリー/叙情性、Swallow The Sunの程よくメロくドゥーミーな重さや退廃美、そしてOpethの知的なプログレ成分が混ざり合ったもので、デビューフル作「Curse Of The Red River」の衝撃と言ったら凄まじいものがありました。しかし続く2nd「The Devil's Resolve」ではキモ過ぎるジャケとは裏腹にスタイリッシュさに磨きが掛かり一つの作品としての統一感が増す一方で、Swallow The Sun直系のデスドゥーミーな重みやスーパーグループとしての凄みが薄れてしまい、良くも悪くも安定の一言に尽きる作品に留まっていました。そして約3年ぶりとなる本作「On Lonely Towers」はと言うと、先行で公開されていた大曲「On Lonely Towers」を聴いたときの印象と同じく1st路線への回帰は勿論のこと「プログレ志向の極めて強い作品」に仕上がっています。アートワークは毎度お馴染みTravis Smith氏、マスタリングはEnslavedやIn Vain,Katatoniaなどの近作に携わったTony Lindgren、ミックスはPetri Majuriが担当。

まず1st回帰を思わせるフレーズが多く見られるアルバム前半の流れ→アコギによるフォーキーなイントロ1. From The Depths Of Springを挟んで、フィンランドメタルらしい土着性の高いベッタべタなメロディを擁した2. HowlからAmorphisの最新作である「Circle」収録曲のようなデスメタリックな厚みや彼ららしいメランコリーや民族臭が炸裂しており幸先の良いスタートを切ってくれる。新加入であるJónのヴォーカルスタイルもオペラティックなクリーンからグロウルまで難なくこなしていることから、前任のMikkoほどのドスの利いたグロウルが出せるような実力者ではないけれど、表現力の幅で言えば彼の方が断然広いです。続く3. Frozen Processionsでも叙情美旋律を振りまくメロデス/ドゥームなBarren Earthらしい楽曲を披露。しかし4.以降ではまず楽曲の尺の長さがあからさまに長くなっていて、本作のポイントとして挙げた「プログレ」度が俄然増していきます。デスドゥーム調を基本にOpethらしい幽玄な雰囲気漂う展開が渋い仕上がりの4. A Shapeless Derelictでは、Opethでの「静」パートにあたる場面にてJónがダンディなクリーン挟んだり、終盤にかけては高らかに歌い上げるオペラ歌唱が飛び出す。リードトラックとなった5. Set Alightでは序盤の地味な進行とは打って変わり、70’sプログレ的なアプローチやデスパート、オペラ歌唱等がゴッタゴタに入り混じり何がやりたいのか疑問に思ってしまうほどギチギチに詰め込まれている。その詰め込まれ感はラストまで継続し、先行公開にてBarren Earthってプログレやるプロジェクトだったっけ?と印象付けられた6. On Lonely Towers、1stの名曲「The Leer」を彷彿させる序盤から楽しげなサックスなどのジャズい音色が新鮮なアヴァンプログレ風味の8. Sirens Of Oblivion、そして破滅のデスドゥームに挟みこまれるかのように存在するGenesis/Hakenみたいなプログレパートがまたしても突如出現するが、ラストはガッチリと漢らしくドゥーミーに締める9. The Vaultなどアルバム後半でのプログレ推し含め今までで一番聴き応えのあることには違いないだろう。

普段ならヴォーカル交代の件や1st路線への回帰あたりから無難にまとめ始めるところだけど、そんなの正直どうでもよくて、まず今作を聴いて真っ先に感じたBarren Earthがプログレ化していることをまず挙げたい。確かに前二作においてもOpeth直系の静/動的メリハリの付いた展開は普通にあったわけだからこの変化自体何らおかしなことではなく、むしろ真っ当な進化でこの舵取りは正解な気がします。と言うのも仮に本作が単に原点回帰作だったり、前作の延長上というだけの作品になっていたら、強い既聴感に襲われて過去作を超える作品を作ることが出来るとは到底思えない。この変化からバンドが次のステージへと向かおうとしていることが明らかに感じ取れて、その挑戦意欲は大きく評価するべきだと思います。ウチで贔屓しているAlcest/Anathema/Ulver等のバンドを取り挙げたときに書いたとおり音楽性が変化することを恐れるな挑戦し続けろってことです。ですが、今作の時点ではまだ新たな要素を自らのものに出来ていないといいますか発展途上段階な印象が強いのです。勿論一つ一つのフレーズがツボを突かれることは度々あって、その点ではこれまでの作品と何ら変化ないはずなのに、イマイチピンとこないのですよね。はっきりとした原因が書けるわけではないけれど、様々な要素が詰め込まれ過ぎていることからGYZEの最新作同様に妙に音の密度が高くて聴き辛く、楽曲の展開も乱雑に聴こえる。それにプログレ要素自体もメタルサイドで鳴らされるものというよりはロックに近い(特にアルバム後半)感覚で、ソレらが変に主張してくるせいか曲の雰囲気が壊れることはなくとも盛り上がりを欠ける要員を作ってしまっています。実際プログレ要素増量による尺の伸びからダレを感じる場面もありましたし、サックスなどのジャズ要素やオペラ歌唱が効果的に本作の魅力を高めるに至っているかと問われると少なくともうんとは頷けない。誤解を招くこと承知で言うのであれば、70'sプログレ/ポスト路線に走った近年のOpeth(最新作)が好きな方向に傾いたにも関わらず何故かピンとこなかったあの感覚と凄い似てるわけ。というか今更そのプログレ推しを理解せずにオペやAmorphisっぽい音ってだけで高評価しちゃうのはそろそろ卒業しなきゃいけないときなんだろうなぁとふと思ったり。逆に本作を好意的に取るとしたら新加入のJónのお披露目&作風の幅を広げるための実験作で、次作にてその成果を発揮してくるんじゃないかと期待を持たせてくれていることです。ちなみに難点を書くことの方が多くなってしまった理由に関しては、単純にBarren Earth含めソレ周辺のメタルジャンルが私の主食であって、期待度激高だったことが大半なんだけど、一部で言うレビュー褒めすぎ問題がウチの近辺で少し話題になっていたようなので、たまには違う書き方をしてみました。とか言っても否の意見なんて適当にググってもまず見当たらなかったので単に私の耳が駄目なだけかもしれませんが。まぁダラダラ書いた結果何が言いたいのかというとBarren Earthは現段階では1st最強ということ。ただそれだけです。


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