オ〇ニストによる音楽批評

Grouper/Ruins

2014/12/23 02:58 投稿

  • タグ:
  • アンビエント
  • クラシカル



1. Made Of Metal
2. Clearing
3. Call Across Rooms
4. Labyrinth
5. Lighthouse
6. Holifernes
7. Holding
8. Made Of Air

USはカリフォルニア州ウェスト・マーリン生まれ、現在はオレゴン州ポートランドを拠点に活動するドリームポップ/アンビエント系シンガーソングライターの最新作。Liz HarrisのソロプロジェクトことGrouperの音楽性というと極最小限の音で奏でられるアンビエントに彼女の今にも消えそうなくらい繊細で儚い歌声が乗っかるという睡眠導入剤的な役割も果たしてくれるという素敵なもの。未発表音源集であった「The Man Who Died in His Boat」では割とフォーク寄りの作風であったのに対して同じくKrankyからリリースされた本作は、ピアノとLizの歌声が大半を占めるアンビエント/環境音楽志向の強い路線へと走っており、アートワーク同様モノクロの自閉空間へと迷い込んだかのような気分にさせてくれる一枚に仕上がっている。ちなみに本作の冒頭1.とラストの8.では自然の音をそのまま使用したフィールドレコーディングという手法が取り入れられている。録音は2011年ツアーの合間に滞在したポルトガルのアルジェズールにて行われたそうだ。

早速フィールドレコーディングを取り入れた冒頭の1. Made Of Metalでは、遠くの方で虫や蛙などの鳴き声がリアルに響く環境音オンリーの曲で、ゆったりと本作の幕を開けていく。蕩けるようなLizの歌声にポロリとシンプルなピアノの旋律が響き渡る2. Clearingから別次元にトリップしてしまったかのような独創的な世界観を演出。うっすらと霧掛かったアトモスな空気もイイ感じ。続けざまにもの悲しく儚いメロディが秀逸な3. Call Across Roomsへ。品のよいクラシカルっぽさを感じるピアノも実に美しい。OPNっぽくも聴こえる優しいアンビエントで徐々にフェードアウトしていく(終盤のピー音はなんだ?)4. Labyrinth、鳥の鳴き声による環境音から始まり、Julianna Barwickのような繊細かつ壮麗な音がシルクのように折り重なっていく5. Lighthouse、ミニマルなフレーズを用いて揺らぎのあるリズムでゆらりと反復させていく7. Holdingでは一層しっとりかつ至ってシンプルな音であるが、耳元で囁かれてような歌声はストレートに心に響いてくる。ラスト一分はブツ切りでピアノがほんの少し出てくるのみ。2004年に母親宅で録音されたらしい8. Made Of Airにて環境音×ミニマル/シンセ音をたっぷり11分強聴かせて霧のように何処かへ広がっていき消失する。

代表作とされる「Dragging A Dead Deer Up A Hill」がドリーミングな感触濃い目であったのに対して、こちらはモノクロの世界一色で安らぎ/平穏があるのと同時に孤独感やら喪失感も与えられる仕様で、両アルバムともアートワークが内容そのものを物語っているなと。なんというか本作はいい意味で音に生気が感じられないんですよね。ずっと空間/時間が止まっているような感覚、もしくはノスタルジックにまどろみながらも彷徨ってるみたいな...構成としては、ピアノとヴォーカルに少しの環境音が溶け込んだシンプルな楽曲がフィールドレコーディングなMade of~に挟まれる形で、トータルとしても見てもしっかり作り込みがなされている。あと本作のポイントである環境音については1.8.以外でもしっかり耳を澄ましてみると、どこからか泣き声やら雨音が微かに聴こえてきまして、普段アンビエント作品をほとんど聴かない身としては中々に新鮮でした。ということでアンビエント寄りとなったら、更に聴き手を選ぶであろう極端な作風へと変化しましたが、Julia HolterやJulianna Barwick、今年新作を出したMarissa Nadlerあたりのアンビエント/フォーク嬢好きの私には堪らない一枚でした。ベスト候補。


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