オ〇ニストによる音楽批評

Panopticon/Roads to the North

2015/03/13 22:20 投稿

コメント:4

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  • アトモスブラック
  • フォークメタル
  • メロディックブラック



1. The Echoes of a Disharmonic Evensong
2. Where Mountains Pierce the Sky
3. The Long Road Part 1: One Last Fire
4. The Long Road Part 2: Capricious Miles
5. The Long Road Part 3: The Sigh of Summer
6. Norwegian Nights
7. In Silence
8. Chase the Grain

USはケンタッキー州ルイビル出身のアトモスフェリックブラック/フォークメタルバンドの5th。Austin L. Lunn氏による独りによるプロジェクトで、牧歌的なフォーク要素を取り入れた自然崇拝ブラック=カスカディアン系なスタイルであります。私自身は4th「Kentucky」で初めてPanopticonに触れたのですが、当時そこまでカスカディアン系を熟知していなかった身としてはWITTRとは一味違う自然崇拝ブラックにこういう手法もあるのかと感心しながら聴けた良作品でした。その後同じ界隈のVestigesやFalls of Raurosとのスプリット作を挟んでリリースされた5th「Roads to the North」では、本来のアトモスらしいゆるふわ感やカントリーさを随所に残しつつもブラックらしいメタリックな質感や多様な展開美も含めて俄然本気度の高い音へと進化を遂げて帰ってきました。

吹き抜ける風のSEなどを取り入れたイントロを挟んで、激情的なヴォーカルや雪崩のようなブラッケンな疾走パートにフォーキーな笛が吹き荒れるネイチャー系ブラックを展開、中盤からはメロデス然とした刻みや勇壮なリフも登場する流れに、今作が俄然メタルを意識しているってことを確認するわけですが、ラストに掛けてはズタズタと手数の多いドラミングや温かみのあるトレモロの洪水を垂れ流すファストな側面を見せつける1. The Echoes of a Disharmonic Evensongからして前作からの成長っぷりが窺える。続く2. Where Mountains Pierce the Skyではアコギや笛、フィドルなどフォーク要素を強化、ポストブラック風味の淡さとメロウな叙情さと相まってゆっくりと高まっていく。そして本作のポイントである組曲「The Long Road」三部作へ。まず3. Part 1: One Last Fireからですが、「Kentucky」でも披露していた彼のルーツであろうカントリーを中心とした曲で、バンジョーの愉快で陽気な音色が爆走ブラックだった前曲との落差から驚きを隠せない流れではあるが、ノリノリで聴き入ってしまうあたりニクい演出と言える。そしてうって変わって荒々しい疾走ブラックへと雪崩込んでいく4. Part 2: Capricious Milesは中盤に静寂パートを導入したメリハリの利いた展開で、神聖な雰囲気を醸し出しながらラスト20秒の激情ブラックに胸が熱くなる仕様。壮麗なポストロックらしいクリーンな冒頭に癒される5. Part 3: The Sigh of Summerでは、お約束通り突如疾走を開始し、メロディアスで叙情的なギターに終始聴き入ってしまう激情系ブラックによる怒涛の攻めに再び胸が熱くなる素晴らしい楽曲。終盤の詠唱コーラスや笛の音も◎。Ulver「Kveldssanger」のような土着性癒しトラッドな6. Norwegian Nights、そして本作のラストを飾る8. Chase the Grainへと突入。ストリングスを取り入れた劇的なクラシカルさが溶け込んだポストブラック調の序盤、ゆったりと弾き語るアコギを基調とした静寂パートを挟んで再びドス黒いドドドドッなトレモロで爆走していく。そして後半ではクラシカル/民謡×ブラックゲイズなドラマ性の高い幻想的な大自然を駆け抜けていく素晴らしいラストには感極まるといいますかとにかくお見事としか言いようがない。

初めて聴くこととなった前作「Kentucky」もチープな音質も味があることも含めてそれなりの良作ではありましたが、随分と格を上げてカスカディアン界隈のトップに到達した感のある今作を持ち上げないわけにはいかなくて、土臭いフォーク/カントリーの素養もしっかり残しながらメタルらしいブルータルな攻撃性も保持、構成に至っても轟音の後に突如ハートフルなカントリーが導入される落差によるギャップや目まぐるしく情景を変えていく怒涛の展開を見せながらも上手くまとめ上げている。つまりブラックサイドと静寂/フォーク要素のバランス/調和がすこぶる良くバラエティにも富んでいるということでもある。それでもってクラスト/激情ハードコアやメロデスっぽい要素がほんのりと見え隠れするのも今作のポイントで、あらゆる層のリスナーにウケる要素を持ち合わせる。ついでに比較対象となるWITTRと比べるととアートワークを見て分かる通り、コチラの方が断然愛着のあるフォークサウンドが生かされていて何度も聴き比べると、実際にはそこまで類似しているとは思えなかったりも。とにかく壮大な大自然の息吹が思い浮かぶ劇的なカスカディアン世界は、ここ数回の更新に渡るブラック祭りという名のアトモス祭りを締めくくるのに相応しい傑作で、各所の年間ベストでもランクインしていたのも納得の内容である。てなかんじで、現在のカスカディアン筆頭はこのPanopticonであると同時にSaorの新作と一緒に去年のアトモスブラック二強と言えましょう。



コメント

タツヤ (著者)
No.2 (2015/03/17 00:10)
>>1
コメントありがとうございます!
ご指摘して頂いたので再度調べ直しましたが、「Social Disservices」は2011年作らしいので、スプリット/EP作品を除けば前作は2012年作「Kentucky」で間違いないと思います。ソチラの作品はまだ聴いていないので是非チェックさせて頂きます。情報感謝です!
symbom
No.3 (2015/04/11 03:25)
あぁ、ケンタッキーamazonに無いから勘違いしてましたね、我ながら恥ずかしいw
個人的にはOn the Subject of MortalityのLPじゃなくてCDが出たらいいな、なんてずっと思ってます
タツヤ (著者)
No.4 (2015/04/11 13:27)
>>3
コンピレーション作品なんかも出てたんですね。知らなかったです。
調べたところ、現在はデジタル配信かLPのみというかんじで、ジャケも良いだけに勿体ないですねぇ。
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