オ〇ニストによる音楽批評

Epica/The Quantum Enigma

2014/06/26 02:00 投稿

  • タグ:
  • シンフォニックメタル
  • ゴシックメタル



[Disc-1]
1. Originem
2. The Second Stone
3. The Essence Of Silence
4. Victims Of Contingency
5. Sense Without Sanity - The Impervious Code -
6. Unchain Utopia
7. The Fifth Guardian - Interlude -
8. Chemical Insomnia
9. Reverence - Living In The Heart -
10. Omen - The Ghoulish Malady -
11. Canvas Of Life
12. Natural Corruption
13. The Quantum Enigma - Kingdom Of Heaven Part II -
14. In All Conscience

[Disc-2]
Acoustic Tracks
1. Canvas of Life
2. In All Conscience
3. Dreamscape
4. Natural Corruption

オランダはリンブルフ州べーセル出身のプログレッシブ/シンフォニック/ゴシックメタルバンドの6th。紅一点Simone Simons嬢(Vo)と元After ForeverのMark Jansen(Gt,Vo)を中心に結成されたバンドで、今や同郷のWithin TemptationやNightwishに次ぐ地位を得たと言っても過言ではないはず。そもそもこのバンドというと、初期二作(初めて買ったメタルのCDでもあるので思い入れ強し)に関しては一昔前のフィメールゴシック系のバンドからの影響を正統に受け継いだ作品で、あくまでゴシック好きの間で語られるバンドに過ぎませんでした。とか言ってこの頃の典型的ゴシックメタル路線も好き。3rd「The Divine Conspiracy」では、パワメタらしいメタリックな勢いや音の荘厳度を更に増してきて、続く4th「Design Your Universe」ではIsaac Delahaye(Gt)とAriën van Weesenbeek(Dr)を加入させ、量子力学というテーマだけに壮大にかつ過去最高にメタリックな激しさ、それに加えてSimone嬢の歌唱力の成長っぷりが凄まじく、バンドにとって最高傑作とも呼べる作品を作り上げた。この頃には既に私の中ではシンフォゴシック系の中で一番好きなバンドに位置付けられていましたね。しかし5th「Requiem For The Indifferent」では傑作4thの流れを踏襲しつつもどこか平坦というか味気のない作品でやや期待外れな感がありました。それからバンド活動10周年記念ライブ作品「Retrospect」~Simone嬢の出産という流れをもって今作に至るわけなんだけど、私が持っていた前作の内容からの不安感を見事に吹き飛ばし、3rd以降のエクストリームメタルばりの激しさとクワイヤ隊によるやり過ぎなくらいの荘厳なシンフォアレンジ、更に存在感を増したSimone嬢の麗しき母性溢れるヴォーカルスタイルとEpicaの集大成とも呼べる壮大過ぎる一大シンフォエクストリーム絵巻を作り上げている。ちなみに本作のミックス/マスタリングは毎度お馴染みのSascha Paethではなく、新作が素晴らしい出来だったAnubis Gateの裏の顔で、Volbeat等も手掛けるJacob Hansenがミックス、プロデュース&マスタリングにAfter Forever等を手掛けたJoost van den Broekを新たに迎えている。ゲスト陣には新作を発表したばかりのStream of PassionのMarcela嬢と13.にてTexturesのDaniël de Jonghと同郷の中堅どころが参加。

まるで映画でも見てるかのような壮大なストリングスとクワイヤ隊によるイントロで、一大シンフォ祭りの始まりを告げる1. Originem、豪華絢爛なシンフォアレンジは勿論のこと、近年Epicaにおけるエピカルで臭み成分たっぷりなパワメタ×エクストリームなメタルらしい勢いも十分過ぎる2. The Second Stone、先行公開されていた曲で、ヴァイオリンとピアノによる美麗なイントロから適度なモダンさとシンフォブラックばりの激しいスタイルでもって、Simone嬢の伸びやかな美声とMark Jansenのドスの効いたグロウルが掛けあってゴシックメタルらしい「美」と「醜」の表現も絶妙なバランスで楽曲に上手いことメリハリを付けている。そしてラストのサビにかけて更に壮大かつエピック極まりない盛り上がりを見せていく3. The Essence Of Silence、Mark Jansenの別バンドMayanのようなシンフォニックデスに近く、インダス的なモダン/Djent風なイントロから勢いよくブルータルな畳み掛けとFleshgod Apocalypseかよってくらいにやりすぎなシンフォ度で聴き手を圧倒、それに反してコーラスでは高揚感溢れるリズミカルなポップさとSimone嬢の美声により非常にキャッチーというメリハリの付け具合も完璧で、4thの名曲「Martyr Of The Free Word」に匹敵するレベルの4. Victims Of Contingency、最初のインスト同様映画ばりの壮大さで幕を開けてミドルテンポでじっくりと進行、後半になるとクワイヤ隊も混ざり、シンフォニックさを増していく5. Sense Without Sanity - The Impervious Code -、荘厳さを意識した品のあるオーケストレーションに程よいメタリックさとほんのりエスニックな成分が混ざり合った6. Unchain Utopia、二胡などを使ったフォーキーな中華風インスト7. The Fifth Guardian - Interlude -、へヴィなリフやゴシックらしい妖艶でダークな魅力が詰まっていて、そのダークさ故にSimone嬢の表現力豊かな歌声がより映えて聴こえる8. Chemical Insomnia、メロパワばりのアグレッシブさをイントロから見せ、その後は程よく疾走しながらオペラティックな歌唱で合唱メタル化、地味に中盤のクサいピロピロソロパートもツボな9. Reverence - Living In The Heart -、ピアノやチェロなどが活躍するベタなシンフォニックメタルナンバー10. Omen - The Ghoulish Malady -、もの悲しいストリングスによるバラード曲で、たおやかにしっとりと歌い上げ徐々に壮大な広がりを見せていく11. Canvas Of Life、序盤はノリ良く疾走して、後半に掛けてはケルティックな雰囲気に包み込まれクサめのソロで〆る12. Natural Corruption、本編ラストは毎度お馴染みの大曲で、荘厳なイントロから緊張感を高めていき、へヴィなリフと豪華なクワイヤ隊による前半、しっとりと歌い上げるバラードちっくなパートを超えてクワイアコーラスを加えた無駄にスケールのでかいシンフォ路線で派手に展開する13. The Quantum Enigma - Kingdom Of Heaven Part II -、ボートラの14. In All Conscienceも本編に負けず劣らずのシンフォオペラメタルっぷりを見せつけるなど一切手を抜いていない。輸入二枚組デジパックに収録されている[Disc-2]に関しては曲ごとに解説はしませんが、アコースティック調のシンフォナンバーをSimone嬢がしっとりと繊細に歌い上げる癒し要素十分な特典Discとなっています。ちなみに国内盤では「Mirage of Verity」という曲がボートラとなっていて輸入盤には入っていない模様。こちらも気になるけど、値段や仕様を考えると輸入推奨かな。

5thで失われていた楽曲構成センスや音の凄みも完全に戻ってきています。初期は思い入れから不動の位置なんだけど、3rd以降なら4thと同じくらい気に入りました。本作の流れとしては前半がよりブルータルで激しい曲で攻勢を仕掛け、中盤以降はデス要素はメリハリを付ける要員として控えめになり、Therionもびっくりのドシンフォニックな一大絵巻を展開していく。そして母となったSimone嬢の母性溢れる歌声にも磨きがかかり、バラードは勿論のことMark Jansenとの美と醜の対比も一層表現力が増してきています。上記でも書いたとおりシンフォ度やエクストリーム度が過去最高レベルであり、最早ゴシックメタルの枠ではなく、シンフォ/クサメタラーからエクストリーム好きまで巻き込めるほどの領域にまで達していますね。14曲/74分という長い尺ややり過ぎなまでのシンフォアレンジで非常に濃密で在ってもそのクオリティの高さからして全く疲れを感じることはありませんでした。聴き疲れしないって点はでかい。あと私的に気になった点というとプログレッシブ/デスな要素で、その元だと思うのがMark Jansenの別バンドMayanでの活動。そちらはシンフォデスを基調としつつも、Simoneや現NightwishヴォーカルのFloor Jansenをゲストに招いたりで本家との違いがほとんど無かったし、本家Epicaと比べると如何せん小粒感が否めなかった。しかしMayanで試していたデスメタリックな激しさとプログレの精神がここまで本家で発揮されて化けるとは思いもしませんでした。NightwishやWT,Lacuna Coilが商業化して並程度の作品しか作れなくなった今、真のシンフォニックメタルバンドはこのEpicaしかいないでしょう。ここまで好みな要素を強めた上でジャンルのトップまで上り詰めたのは素直に嬉しい。ということで年明けのWTから次々とこの手のフィメール系シンフォゴシック勢がこぞって新作をリリースしてきましたが、一番の出来はEpicaという結果に。年間ベスト行き確定。



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