オ〇ニストによる音楽批評

Fallujah/Dreamless

2016/12/30 22:30 投稿

  • タグ:
  • プログレッシブメタル
  • テクニカルデス
  • アンビエント



1. Face Of Death
2. Adrenaline
3. The Void Alone
5. Scar Queen
6. Dreamless
7. The Prodigal Son
8. Amber Gaze
9. Fidelio
10. Wind For Wings
11. Les Silences
12. Lacuna

USはカリフォルニア州サンフランシスコ出身のテクニカルデス/プログレッシブメタルバンドの3rd。前作「The Flesh Prevails」にてアトモスフェリックな空間要素を大胆に取り入れることで、革新的なテクニカルデスメタルへと進化を遂げたエクストリーム界の急先鋒Fallujahの最新作はメタル最大手Nuclear Blastへ移籍しての第一弾アルバム。前作の記事内でも大手に引き抜かれそうだと呟いていたわけですが、実際移籍したというニュースを目にしたときはそれなりに驚きがあって、あの内容や音楽性からしても当然のステップアップであるとは言え、前作をその年のベスト選出した身としてはとても嬉しくありました。大きな期待感を抱かせる本作「Dreamless」でも包み込まれるようなシンセサウンドやハッとするようなクリーントーンのギターによる神秘的なアレンジを加えたテクニカルデスメタルという前作を踏襲するスタイルであるものの、女性VoやKeyに更なる活躍の場を与え、アトモスフィアな美の部分にフォーカスを当てることで、前作の更にその先を示し出すことに成功。同時にメロディの質もキャッチーになっており、元々デスメタル/テクデス系の音を鳴らしていたとは到底思えないほど、メジャーな貫録漂うサウンドへと進化しています。

都会的なひんやりとした冷たいKeyの旋律がゆっくりと場を包み込むイントロ~ゴリゴリとしたグル―ヴ感の強いテクニカルなサウンドでどっしりと進行する1. Face Of Deathを皮切りに、美しい静寂パートから強烈なブルータリティ溢れるデスメタルパートへと一気に雪崩込む2. Adrenaline、そして女性Vo.Tori Letlzerの繊細な歌声をフューチャーした3. The Void Aloneは、シンフォニックとも言うべき荘厳な空間要素にネオクラシカル級の流麗なギターパートが絡み合うモダンかつアーティスティックな楽曲。続く4. Abandonではテクデス風のカッチリしたテクニカルサウンドにふんわりとしたKeyが彩りを加え、フュージョンのような艶やかさを際立たせた近年のCynicにも通ずるような極めて神秘性の高い名曲。ウネリのある豪快なグル―ヴネスと高速デスパートの猛烈なラッシュを対比させながら、巧みに緩急を付けて切り替えていく5. Scar Queen、やんわりとした淡いアトモスフィアを構築、多幸感すら沸き出るほどのドリーミングな聴き心地をもたらしてくれる6. Dreamless、オリエンタルな雰囲気のアンビエントパートとデスメタリックな激重音を始め、様々な要素が目まぐるしく変化していく超絶テクニカルな演奏パートとの対比の描き方が見事な7. The Prodigal Sonなど中盤も聴き応え十分な濃密過ぎる楽曲が並びます。後半に入ると先ほどの6.のようなインストオンリーの楽曲も増えてきます。中でも、ピアノの伴奏をバックにゆったりとしたエレクトロ風のビートを刻み込む9. Fidelioやアトモスフェリックなサウンドスケープの中、テクノ/トランス系の味付けを施しサイケ風のミステリアスな印象を植え付ける11. Les Silencesといった実験性溢れるインストナンバーは後半のハイライトであり、本作の特徴である美の部分を最も分かり易く表している楽曲とも言えましょう。それらの楽曲はエクストリームな激重音との絶妙なバランス加減からなる静と動のコントラストは更にスムーズになり、アルバムトータルで一貫された映画さながらのスケール感にも圧倒されます。しかし、作を追うごとにデスメタル要素が気薄になっていってるのも事実で、作風の遍歴的に考えれば、次作では更にクリーン色が濃くなる/バラエティ豊富になる、或いは最悪メタルですらないところまで到達しても何らおかしくない進化過程だろうし、むしろ本作のインストナンバーの出来からしてアンビエント/エレクトロニカオンリーでもちょっと聴いてみたいなと思ったりもする。


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