【 ART OF LIFE ⑧ 】
「ART OF LIFE」の音楽解説を続けよう。
Aメロ、Bメロ、サビ・・・。
歌としての基本要素が一通り出揃ったから・・・なのだろうか、ここからはこれまで以上に「ART OF LIFE」らしさに満ち溢れた、とても個性的な世界が展開されていく。
譜面も2ページ目となる。
21-22. 3/4&4/4(9:38 〜)
サビにふさわしい大きなバラードリズムが展開した直後は、8分音符の「♫(タタ)」から始まる変拍子のリズムが始まる。
譜面のセクション名にある通り、ここの変拍子は3/4&4/4だ。
移動ドで表記すると、「♫(タタ)ミレミー」が3/4拍子、「♫(タタ)ミレミファミレ」が4/4拍子。
メロディーを書いたのは、このようにシンプルで誰の心にもすっと溶け込むオリジナルメロディーを生む出すのが、本当にYOSHIKIは得意だと思うからだ。
YOSHIKIに限らず、世の中の名曲というものは、たいてい「コロンブスの卵」的なところがある。
何もマネでもなく全く新たに誕生したオリジナルの塊でありながら、聴いた人が以前から知っていたような錯覚を起こしかけるほど、シンプルで親しみやすいメロディーである、というところだ。
最初の頃に解説した、この曲のテーマリフもそうだ。「ミミシードラー シドレードシー」
ちゃんとオリジナルだけれど、聴いた瞬間、100年以上前からこの世にあったような気がするメロディー。
そう。
このあとでシューベルト「未完成」のメロディーが登場するのだが、「世の中の名曲」といえば、クラシック音楽ももちろんそのひとつだ。
改めて考えてみれば、この「ART OF LIFE」全体を通して、YOSHIKIのメロディーとシューベルトのメロディーが何の違和感もなく溶けてひとつになっている、というのは凄いことだ。
僕が常々伝えてきた「YOSHIKIの曲は100年残る」という事実を、「ART OF LIFE」を聴くと音楽として確認できる、といえるのかも知れない。
また、YOSHIKIがクラシック音楽を聴いて育ち、その名曲に深く感動したからこそ、シンプルで普遍的な、それで深く人の心を打つメロディーをYOSHIKIが生むのだ、ともいえるだろう。
ところで、僕も小さな頃、家にあった「未完成」を何度か聴いた。
その頃の僕は、バッハ、ベードーベン、チャイコフスキー、ショパンが大好きで、そこがどこかYOSHIKIとシンクロしているのだが、面白いことに「未完成」だけはその重々しくて暗い感じに馴染めず、あまり聴かなくなっていった。
どんなにシンクロして似ていても、やはり個人による違いというものはある。(笑)
でもある意味、その重々しくて暗い感じこそが、YOSHIKIにとっては自身の人生と重なって「ART OF LIFE」という形でコラボレーションすることにつながったのだろう。
さて、音楽解説に戻る。
その「♫(タタ)ミレミー」・・・のフレーズが8回繰り返された後、今度は最初の8分音符による「タタ」が、その2倍の速さで刻む16分音符の「タタタタ」に変化する。(9:38 〜)
Drums含めたリズムアレンジは、前半が「キメ」(印象的なひとつのリズムをバンド全体で合わせてキメること)で展開し、後半(9:38 〜)はツーバスDrumsパターンにギターやベースが合わせる形でその変化を表現している。
面白いので、この後半部分のDrumsプレイを見てみよう。
このセクションのDrums基本リズムは、2拍子のツーバスパターンで構成されている。
キック(バスドラム)はずっと16でツーバスリズムをキープしているのでスネアに注目すると、とても面白いことがわかる。
Drumsが偶数の2拍子のパターンが基本、一方、曲のこの部分の拍子が7という奇数なので、途中でズレていって、最小公倍数で、やっと元へ戻るのだ。
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