【 ART OF LIFE ④ 】
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8. A Melo ①
いよいよ速いテンポでのAメロがスタートする。
YOSHIKIはこの「ART OF LIFE」をサビから創り始めた。
僕が最初に聴かせてもらったのも、サビだった。
だからこのセクションは、後ほど登場するサビに対する、通常の曲でいうAメロという位置づけということになる。実際、アレンジやレコーディングなどでのやり取りで、僕とYOSHIKIはこのセクションをAメロと呼んでいた。
一見何でもないようだが、実はこのAメロとサビの関係に、それまでの作品にはなかった「ART OF LIFE」の独自性、特殊性が見えてくる。
Xの作品に関していえば、通常、速い曲の場合、サビも速いリズムが基本となる。展開としてバラードリズムのサビがあるケース(Silent Jealousyなど)もあるが、あくまで基本のサビは速いリズムだ。
同じように、サビがバラードリズムであれば、その曲はバラードであり、他のセクションに速いリズムは基本的には存在しない。だからもちろんAメロが速いリズムということは、ない。
しかし、この「ART OF LIFE」はサビがバラードリズム、Aメロが速いリズムだ。
つまり、譜面を見て分る通り歌のパートだけを見ると、Aメロ①〜Bメロ①〜Aメロ②〜Bメロ②〜サビ・・・ という流れになってはいるけれど、おそらく通常の曲でいうAメロ、Bメロ、サビ、というとらえ方だけでは解釈しきれない、この曲独特の意味合いが、Aメロ、Bメロ、サビのそれぞれにはあるのだ。
そもそもこの「ART OF LIFE」では、歌のパートだけを取り出してみても、曲を把握することはできない。
前回書いた「テーマリフ」から展開していくパートは、歌のパートと同様に重要な役割を担っていて、通常の曲におけるバンプや間奏とは意味合いが全く異なるからだ。
つまり、「ART OF LIFE」という曲は、30分という長さにも関わらず、いや、むしろ30分という長さだからこそ、いくつかのパートの組み合わせで成り立っているのではなく、曲全体がひとつの流れによって成立しているのだ。
こういった性質は、クラシックの交響曲にとても近いといえる。
実は1990年初頭、初めてYOSHIKIに30分の曲が出来そうだ、と聞かされたとき、僕が真っ先にイメージしたのは「ROSE OF PAIN」だった。
しかしその後、「ART OF LIFE」のサビの部分をYOSHIKIから聴かせてもらった時点で、既に僕はその新しい30分の曲が「ROSE OF PAIN」とは全く異なるものになるだろう、と感じた。
それはサビの名曲度がすでに「ENDLESS RAIN」や、同じ頃に聴かせてもらっていた「Say Anything」と同じレベルだったからだ。
これはきっと、単なる組曲ではない・・・。
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