ヒデちゃん、お誕生日おめでとう。

 いつもたくさんのみんなに夢と幸せをありがとう。

 今年も誕生日に手紙を送るね。
 
 
 
 そういえばこの前、1ヶ月くらい前かな、デパートで「hide MUSEUM」を観たよ。
 
 観ててね、ある程度はヒデちゃんのこと知ってるつもりだったけど、やっぱり子どもの頃の絵とか言葉とかを観るとね、結構知らないヒデちゃんがいてね。
 
 何だか感慨深かった。
 
 もしヒデちゃんと同い年で同じクラスだったら仲良かったのかなあ・・・なんて考えたりして。
 
 まあ、30年前のあの頃のように、きっと仲良かったんだと思うんだけどね。

 あんな風に絵が上手かったら僕、きっと大好きだったからさ。
 
 そんな風に展示されてる色々なものを黙って観ながらね、ヒデちゃんのことを考えてた。
 
 僕の知らないヒデちゃんって何だろう、ってね。
 
 そうしたら、いつもとは違う気分になってきて「あれ、僕、ヒデちゃんのこと思ってるほど知らないんだろうか・・・」って、気になっちゃって。
 
 まあヒデちゃんのことだから、もしあの頃に僕が「僕の知らないヒデちゃんって何だろう?」って訊いたら「何それ」って微笑んで終わりだろうけど。
 
 それで、「オレも津田さんのこと、どこまで知ってるかわかんないじゃん」
 
 なんて言ったりね、うん。


 
 そんな風に、自分の知らないヒデちゃんのこと考えながら観てて、X時代のコーナーになったら嬉しくなっちゃってさ。
 
 懐かしいだけじゃなくて、やっぱり全部知ってるでしょ。
 
 眼のアクセサリーがたくさん飾ってあるのを観たらさ、僕の中で記号のように「ヒデちゃん=眼のアクセサリー」だったから、ワクワクして。
 
 懐かしい、つばの大きな黒い帽子見つけた時は、つい手を伸ばして触りそうになっちゃったよ。触れないのに。
  
 でもあの頃、何でだろう、僕よくあの黒い帽子触ってたんだよねえ。
 
 ヒデちゃんが酔っ払って寝ちゃってる横とかでさ。
 
 
 
 でもね、よく知っている懐かしいコスチュームもペイントギターも、その後のロックスターhideのファッションや色々な作品なんかも、みんな僕の知らない子どもの頃からヒデちゃんが持っていたイメージとかさ、好奇心とかが元になってるんだな、ってわかったんだ。
 
 そうしたら全部を観終わった後でね、また考えたの。
 
 「僕の知らないヒデちゃん」のことを。
 
 毎日のように一緒にいて闘ってたあの頃も、僕の知らないヒデちゃんがいたのなあ、ってね。
 
 で、考えているうちに、あの頃からずっと、何となく気になってたことに辿り着いたんだよね。
 
 それはね、「ヒデちゃんは何を見てたんだろう・・・」っていうことなの。


 
 僕は、あの頃のヒデちゃんが、YOSHIKIを始めメンバーのことを黙って見つめていて、きちんと何かを感じたりわかったりしているようで、でも特に何も口にしないのをたくさん見てたんだ。
 
 メンバーだけじゃない。
 
 ファンだってスタッフだって、街で見かける様々な人だって。
 
 もちろんXというバンドそのものも当然だし、きっと目に飛び込んでくる全てのものを、ヒデちゃんは黙って見つめて、何かに気づいていたんだよね。
 
 でも、そうやって何かを見つめて大切なことをわかっても、ヒデちゃんは何も言わなかった。
 
 そして僕は、そんなヒデちゃんを見ていた。
 
 そんな僕もヒデちゃんの様子を見ていながら、ヒデちゃんにそのことを尋ねたりはしなかったんだけど。
 
 
 
 ヒデちゃんが見つめて何か気づいたことは、何かしら作品や活動に投影されていたんだろうな、と思うよ。
 
 っていうかあの頃は、きっと作品や活動のためなのかな、と思っていたけれど・・・。
  
 でも、もしかしたら僕の知らないヒデちゃんがいて、毎日たくさん見つめて何かを感じながら、僕のまったく知らない何かに心が向かっていたのかも知れないな・・・って思えてきたんだ。
 
 そうしたらあの頃僕が見ていた、ヒデちゃんが誰かを黙って見つめる様子や表情が、片っ端から浮かんじゃってさ。
 
 懐かしくて泣けてきちゃった。
 
 ヒデちゃん、ヒデちゃんはああやって何かを見つめて

 何を感じてたの?

 何を想ってたの?

 何を見つけてたの?

 僕にはわからない・・・。
 
 
 
 でも。

 僕の知らないヒデちゃんがいたって大丈夫。
 
 黙って見つめていたヒデちゃんが何を感じてたかわからないけど、それも大丈夫。
 
 ヒデちゃんがとても素敵な作品やパフォーマンスをしてくれていたから、大丈夫。
 
 ヒデちゃんがいつも誰かのことを大切に想っていてくれたから、大丈夫。
 
 ヒデちゃんが数えきれない人たちに夢を見せてくれているから、大丈夫。 
 
 ヒデちゃんがいてくれたから。
 
 ヒデちゃんが笑ってくれたから。
 
 僕たちはいつも幸せだったから。
 
 
 
 
 ありがとうね、ヒデちゃん。

 生まれてきてくれて。
 
 これからも皆んなを見守っていてね。
 
 ヒデちゃん、誕生日おめでとう。

 ありがとう。
 
 2021年12月13日  津田直士

 
 
 
 ****************************** 
(株)津田直士事務所 スタッフからお知らせ

過去、12月13日に配信されたhideへのメッセージはこちら

2020年 
2019年 
2018年 
2017年 
2015年 
2014年 (1) 
2014年 (2)
2014年 (3)

☆ 津田直士ニコニコチャンネル   http://ch.nicovideo.jp/tsudanaoshi 
ニコニコアカウントをお持ちの方は、是非「フォロー」をお願いいたします。

【 津田直士プロフィール 】音楽プロデューサー/作曲家 
Sony Music在籍時に「BLUE BLOOD」「Jealousy」「ART OF LIFE」
のCo ProducerとしてX JAPAN(当時はX)をプロデュース 
インディーズ時代から東京ドーム公演までをメンバーと共に駆け抜けた記憶
の一部は、映画『WE ARE X』の中、インタビューという形で語られている。
また、自署「すべての始まり」にはその記憶のすべてが描かれている。

Xに関する津田直士著書のご案内