過去、このブロマガでも書いたけれど、僕がキジャック監督からインタビューを受けた時、話したいことがたくさんあって、インタビューが終わった時、始まってから実に3時間半が過ぎていた。

 そんな膨大な会話の中からキジャック監督が選んだ中のひとつが、HIDEのことを話しかけて、つい泣きそうになって話せなくなる部分だったのは、初めて「WE ARE X」を観た時、とても驚いた。

 まさか自分の泣いてしまう様子が使われるとは思っていなかったからだ。

 しかし撮影中、話そうとして思わず込み上げてきてしまったことに驚いたのは僕自身であり、おそらくそのリアルさが、キジャック監督があのシーンを選んだ理由のひとつなのだろう。


 聞かれて泣いてしまうくらいに、僕がプロデュースに携わっていた当時の記憶でファンのこととなると、やはり誰よりもHIDEちゃんの顔が浮かぶ。

 何しろ、ファンクラブの女子スタッフと同じデスクに座ってファンクラブの作業を手伝っているHIDEの姿を、時々見かけた程だから・・・ファンを大事にするXというバンドの中でも、HIDEは突出していた。

 バンドの良いところは、それぞれのメンバーが得意とするところを全て活かしてあえるところ、そしてその得意なメンバーの想いがバンド全体の基本ラインになっていくところだ。

 元々Xはファンへの想いをとても大切にするバンドだったけれど、その想いはHIDEの姿勢によって、より強くなっていったように、僕は当時感じていた。