2015年6月4日に配信されたブロマガ記事を復刻版としてお届けします
オリジナルは http://ch.nicovideo.jp/tsudanaoshi/blomaga/ar803000 になります


 【 ART OF LIFE ⑱】

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 49.(27:33〜)CHORUS(サビ) 

 いよいよラストのサビだ。
 
 このサビで「ART OF LIFE」は終わる。

 何度かサビについて書いてきたので、もうここで説明することはない。

 けれど、最後のサビで、しかも曲の終わりだ。

 やはりこのサビならでは、という要素はある。
 
 日本人らしい情感が溢れる、哀しみを伴った美しいメロディーを、 X JAPANのバラードサウンドが支える。
 曲のフィナーレを飾るように、オーケストラもフルスケールで演奏、豊かな音でバンドサウンドを包む。

 YOSHIKIによるトータルプロデュースが見事に実を結んだ素晴らしい音だ。
 
 他のサビより一回り多く、3回目のコーラスが繰り返されると、Drumsの6連フィルに合わせて「In My Life」という歌詞がTOSHIの振り絞るような声で切なく鳴り響き、約30分の「ART OF LIFE」は終わりを告げる。

 ひとつの純粋芸術であり、X JAPANという伝説のバンドの代表曲であり、作者YOSHIKIの人生がそのまま刻み込まれた『生きている作品』ART OF LIFEが、聴く人の心に、深い感情を残して、終わる。
  
 

 
 【回想】


 ホテルの部屋からは、ロサンゼルスの街が見渡せる。

 サンセットブールバードとラ・シエネガブールバードの交差する辺りにあるホテルは高台にあって、眺望はとても良い。
 
 眩しい太陽に照らされた街並をしばらく眺めてから、デスクに座り、
僕は原稿を書き進めることにした。

 1993年5月。


 もうオケのレコーディングはほぼ完了し、ボーカルの一部とハモのレコーディングを残すばかり、となった。その後は10日間にわたるミックス作業に突入する。
 
 長かったレコーディングも、もうすぐ終わりだ。
 
 レコーディングスケジュールはだいぶ楽になったけれど、発売に向けてライナーノーツの文章を書く、という僕のもう一つの大切な仕事をしなければいけない。
 
 デスクに座った僕は文を綴り出す前に、「ART OF LIFE」に関わる色々な情景を想い浮かべた。