Happy Birthday,YOSHIKI
初めて2人で会い、じっくり話をしたのは1987年の晩秋。
そうか、ちょうど30年前だったんだ・・・。
あの時、僕は26才になったばかりで、だからYOSHIKIはまだ22才になったばかりのはずで。
何という若さだろう。
だって、その白いシャツに「紅い血」を見た後、静かに話し始めたYOSHIKIを見て、これから無限に広がっていくYOSHIKIの未来を、僕は想っていたのだから。
僕があの時、目の前にいるYOSHIKIに、これから無限に広がっていく未来を想った理由は、
ひたすらその優しそうな、柔らかな身体から発している、尋常ではないエネルギーだった。
炎のように周りの空気を揺らし続ける、エネルギーだった。
このエネルギーさえあれば
どんな壁も打ち砕いていける
どんな困難も乗り越えていける
そして
どんな未来でも手にすることができる・・・
そう想わせてくれる、強い強いエネルギーだった。
その時はもう、YOSHIKIの周りには、
PATAもいたし
TAIJIもいたし
HIDEもいた。
そして当然TOSHIもいた。
ジョージや梅ちゃんのような若者も沢山いて、
バンドを支えていた。
全国にちゃんと熱いファンもいて
Xというバンドのパフォーマンスを目の前で観ることを
みんな待ち望んでいた。
だから、すべてがうまく進んでいる、と考えてもおかしくはなかった。
だけど・・・
僕の目の前にいる若者は、悔しさと憤りに満ちていた。
自分の望む自分に、自分たちの望む自分たちに、
まだまだ達していない悔しさと憤りに、満ちていた。
だから僕は深く感じたのだ。
目の前のYOSHIKIという若者が、無限に広がる未来を手にすることができると・・・。
なぜなら、その未来を手にするために必要だったのは、
自分自身との闘いだったからだ。
自分たち自身との闘いだったからだ。
その闘いの意味をわかっているYOSHIKIという若者が、
僕の目には、とても美しく映った。
激しいばかりではない・・・。
このアーティストは、このバンドは、
「美しい」のだ。
突然、そう気づいた僕は、
自分の人生も変わっていくんだろうな、と思った。
YOSHIKIという若者がリーダーのバンド。
そのバンドが未来を手にするための闘いに、
5人が命懸けで挑んでいる闘いに、
僕も参加することになるのだから。
あれから30年。
YOSHIKIのエネルギーは、若者だったあの時と全く変わらない。
YOSHIKIが今も、自分と闘っているからだ。
長い時間の果てに、普通の人間なら充分満足するものをいくら手にしても
闘うことを一秒たりともやめない理由を、僕は知っている。
音楽への想いだ。
音楽への想いで、闘うことをやめないという生きかたが
どれだけ美しいか。
その美しさが、どれだけ多くの人たちの心を救っているか。
30年前のあの日。
Xというバンドは日本一美しいバンドになるべきでは?
と僕がYOSHIKIに伝えたメッセージは、
もしかすると
「今のYOSHIKI」を見ている「今の僕」が
30年前の僕に伝えたのかも知れない・・・とも思うんだ。
だってあの時、なぜそんなメッセージが、突然心に浮かんだのか、
あまりよく覚えていないからね。
そんな風に思ってしまうくらいに、
今のYOSHIKIは美しいよ。
今のX JAPANは美しいよ。
そうしてやがて、X JAPANというバンドは
いつか 世界一美しいバンドに
なるんだろう。
7月、横浜アリーナ終演後に、僕が
「すべてはよっちゃんの作品から生まれているのだから、安心して自信を持ってね」
と伝えたのは、そういう意味だったんだ。
YOSHIKIの音楽への想いすべてが形になった作品。
その新しい命を、また近いうちに聴けることを、
心から楽しみにしているね。
音楽への深い想いから、ひたすら自分と闘い続ける。
今、そのYOSHIKIの闘いには、さらに2人分の闘いも加わっているんだろう。
それはそのまま、さらに圧倒的な美しさにも繋がっている。
その圧倒的な美しさが、世界中の人たちの心を救っている今、
僕はもう一度、30年前の自分に伝えようと思うんだ。
「目の前にいるYOSHIKIという若者に伝えてあげて欲しい。
大丈夫だ、って。
どんな闘いが待っていても、大丈夫だ、って。
君の闘いが、
そして君たちの闘いが、
いつか世界中の人たちの心を
その大切な音楽で
優しく包むから。
だから、
大丈夫だ、って・・・」
Happy Birthday,YOSHIKI...
2017.11.20 Naoshi Tsuda
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