映画三枚颪

映画三枚颪「ボヘミアン・ラプソディ」感動ポルノなのか?

2018/12/21 00:20 投稿

コメント:13

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この映画で一番好きな人物 ジョン・ディーコン(本物)です。
劇中ではフレディ・マーキュリーの次ぐらいには活躍してたと思う。質的な意味でね。


新作映画「ボヘミアン・ラプソディ」を見てきましたので、その評価&レビューをしていきたいと思います。ネタバレがたくさん含まれますので、映画館へ行く前にこの記事を読むのはオススメ致しません。

映画本編のレビューに入るまえに、少し余談というか映画に対する僕の心境を書かせて頂きたいなと思います。本当に余談なので、飛ばしていただいても大丈夫です。

まずこの映画を見に行った流れなのですが、僕自身は「クイーン」というバンドにコレといった興味が実はなく、ロックが好きな友達が「俺がおすすめの映画は何?って聞かれたら、これからこれって答える」「見ている最中に4回は泣いた」とか言うものですから、そこまで言うならということで見に行ったわけです。
結論から言うとそれなりに面白かったです。じゃあマイフェイバリットなのか? 僕の中のベストな映画なのか? と聞かれると、そこまでではないという感想です。

友達にはまだ感想は伝えてませんが、もしかすると「じゃあお前の中の一番ってなんだよ?」と聞かれてしまうかもしれません。今までだったら「もののけ姫」とか無難な答えをしていたかもしれませんが、今の僕はそうハッキリと答えることはできないでしょう。

最近、僕の中で映画に限らない話として、善悪や良し悪しのボーダーラインが非常にあやふやになってきています。今までならだいたいの物事に、頭の中でそれなりにラベルを付けられていました、たぶん。ただ最近どうもそれがうまくいきません。
今までなら自分の中でそれなりに相応しいと思えるラベルを張り付けて、脳内の棚に入れられていたような気がするのですが、ここ最近は、例えば昔「面白い」とラベル付けした映画が、いつのまにか脳内のごみ箱に勝手に収まっていたりするような、そんな感覚を覚えます。

このブログを始めてしまったせいでしょうか? 今までだったらスルーできていた自分の矛盾点が誤魔化せなくって来ているような、そんな感じなのでしょうか。

そんなところにこんな分類の難しい映画を見てしまったものですから、少し困ったというのが僕の正直な感想というか、ありのままの気持ちです。

以下、本編の感想。

さて、ではここから本編の感想に入ります。

結論から言うと、驚くほど非常に完成度が高いです。
特にフレディ・マーキュリーを演ずるラミ・マレックはとても素晴らしい演技をしていると言えるでしょう。ここまでユーモアと親しみ溢れるキャラクターを僕は知りません。
劇中の歌も彼の声? ですよね?(フレディ・マーキュリーの声をよく知らないので断言できない)
非常にパワフルで、力強い声はたやすく僕の心を鷲掴みにしていきましたね。
彼の表情、目の輝きは映画史に残るほどの熱演といって良いと思います。

ただ、本物のフレディ・マーキュリーはとても優しい目をしている方でしたが、ラミ・マレックのフレディ・マーキュリーはより尖った印象を残しますね。

そういった相違はありますが、アーティストの「魂の迸り」が確かに彼の魂には宿っていたように感じます。妥協のない音楽性、しがらみを受け入れられない少年性。
いかにもアーティストという感じです(笑)
もちろんそれは悪いことばかりでなく、彼の純粋さを表し、彼をより魅力的に見せています。

一時はよくない友人を無邪気に信じ切ってしまったり、自分だけが一流なのだと驕ってしまうことで、巣立ちだと言って自分の拠り所から飛び降りてしまったりもしますが、けれども最終的に自分が自分でいられるところはそこだけなんだと思いなおすわけです。
美しい、非常に美しく心惹かれる物語です。

ただし、このフレディ・マーキュリー像は非常に恣意的で、脱臭された造形のようだというのは少し残念な事実です。
当たり前ではありますが、実際の彼は映画の中のフレディとは別物で、ここまで光に満ちた人間ではなかったようです。

それ以外にも見ていた人の心を大きく揺さぶるシーンのひとつである、クイーンの仲間にエイズであることを打ち明けるシーン。
あれも創作のようです。

そもそも、フレディ・マーキュリーのエイズは実際にはライブ・エイドの後に発覚したようですから、時系列を入れ替えた創作ということですね。
また、劇中でマネージャーのジョン・リードをクビにした流れも、劇中のようなハッキリとした決別ではなかったようです。
ほかにも些細な点は多数あるようですね。

こういった点から、フレディ・マーキュリーに思い入れの強い人ほど、彼の実像と離れたこの映画のマーキュリー像に対し違和感をぬぐい切れない、そんな感想もあるようです。

ただ映画に限らず、ノンフィクションなどというものは現実には存在しないと思っています。
ドキュメント映画にしても、ノンフィクション映画にしても、それは謳い文句であって、嘘とはまでは言わないまでも、真実とはとても言い難いと思っています。

となってくると大切なのは鵜呑みにしないことなのではないか、と考えています。

映画や小説はもちろんニュースや報道写真でさえ、あるいはだからこそ真実をきっちり伝えているとは厳密には言えません。発信する側の意思を確かめることはできず、ともかくそれは常に偏向されています。

という点からいえば、伝記である以上その主人公であるフレディ・マーキュリーを美化しようとすることは避けられませんし、多少の美化は当然といいますか、映画化するうえで予想しておかないといけない所なのではないかと。
また、美化をする対象の社会的な立ち位置、そして美化の程度を考えれば十分許容範囲内だと思います。

もちろん見る側もそれを避けられない、あるいは制作者たちが意識的に偏向しようとしている可能性を頭に入れておくべきだとは思います。

たとえば、僕は戦争映画にも反戦映画(定義や、その良し悪しについてはここでは置いておきます)はあると考えていました。たとえばリドリー・スコット監督の「ブラックホーク・ダウン」などがそうだと思っていました。

ただし、今はこれは間違いだったと感じます。
軍隊が映画の製作を支援している以上、その表現や描写は非常に恣意的になっていると考えるのが当然であり、軍隊の了解なしに放映は不可能だったはずです。
そう考えて、改めてこの映画をみたとき、ブラックホーク・ダウンの映画的ギミックと、軍隊のイメージキャンペーンは高い次元で融合をし、結果として非常に面白い映画となっていると感じました。
もちろん私は「ブラックホーク・ダウン」という一つの素晴らしい映画を否定したいわけではなくて、映画とは常にそういうものなのではないか? ということです。

アクション映画、恋愛映画、ホラー映画、その他なんでも。
すべての映画、創作物がこの「ボヘミアン・ラプソディ」や「ブラックホーク・ダウン」と同じ性質のジレンマを持っていると思います。

悪意に敏感になる必要はありますが、過剰に潔癖性を求めるのも何か違うなのではないか? というのか僕の今の考え方です。
つまり記事のタイトルにある”感動ポルノかどうか”でいえば、そもそも”ポルノでない感動があるのだろうか?”ということです。
もちろん僕も、なんらかのイデオロギーに関わり、私たちが日々議論を尽くすべきような事柄について恣意的な偏向を加えるものは、積極的に叩くべきだと思います。
けれども、私にはこの映画がそうだとは少し思えません。
(僕が感動ポルノだと思っているのかどうか、結論がわかりづらいようでしたので加筆・修正しました。)

ただ、この映画の素晴らしいところは、こういった無駄にややこしい部分で妄想たくましくすることもできるし、映画の完成度の高さに惚れ込むこともできるし、なんなら単純にドンドンチャッ!! と騒いでもいい点にあると思います。とにかく懐が広い。

ちなみに僕が一番魅力的だと思ったシーンはリードボーカルのフレディと、ドラムのロジャーが喧嘩を始めて非常に険悪なムードになってしまった時、ベースのジョン・ディーコンが「地獄へ道づれ」のベースラインを披露しながら、「曲を作ろう」と呼びかけるシーンです。
誰が悪いとか誰が正しいとかではなくて、全員の共通目的である良い音楽を追い求める素晴らしい姿勢。あるいはその姿勢だけが自分たちをまとめあげる唯一のものだと考えたからはわかりませんが、とにかくグッと来ました。
なんかこう、僕ももっと自分にできることを頑張らないとな というような感じです(笑)
子供っぽいですが、純粋にそう思いました。

とにかくハイレベルな映画には違いありません。
ぜひぜひ劇場で御覧ください!!

コメント

1969
No.11 (2018/12/24 21:40)
ありとあらゆることにdisらなくちゃいけない人っているんだな
無顔
No.14 (2018/12/24 22:48)
ガリレオって誰?
くろかわ (著者)
No.15 (2018/12/24 22:50)
>>1
歌メインかといわれると、確かにそうじゃないですね。
本当に「人生」という感じでしょうか。
>>2
少し話が見えない書き方をしてしまったようです。
ご指摘を受けて加筆・修正致しました。
ありがとうございます!
>>3
(笑) という表現だけでは適切ではありませんでした。
そういった純粋さに対する「憧れ」と「自嘲」を表現したつもりだったのですが、本当に笑っているように見られるとは思いませんでした。誤解させてごめんなさい。ご指摘、とても感謝いたしま... 全文表示
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