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「自分のこと好きな自分が嫌いになっていくよ」菰田麟太郎監督インタビュー

2021/04/04 12:00 投稿

  • タグ:
  • 東京インディペンデント映画祭
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  • インディペンデント映画
  • 東京神田神保町映画祭

東京インディペンデント映画祭・第1弾は東京神田神保町映画祭スタッフによる推薦作品をニコニコチャンネル(動画配信サイト)「東京ヘッズ」から配信いたします。

今回は映画祭スタッフで、女優の平野綾子さんの推薦する
菰田麟太郎監督「自分のこと好きな自分が嫌いになっていくよ」

配信と併せて監督インタビューを
どうぞお楽しみください!

会員登録(550円/月額)後に、ご覧いただけます。


「自分のこと好きな自分が嫌いになっていくよ」30分 監督:菰田麟太郎

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<あらすじ>
映画監督になる夢を捨てきれない吉崎コウキは大学を卒業後に就職せず専門学校へと通う。映画を愛し、映画に苦しまされ、映画に救われる。
自身の未来や、周囲の期待、才能の違い、多くの期待や不安が入り乱れた日々を過ごすうちに、2度目の就職活動が近づき、コウキは選択を迫られる…。

<キャスト>菰田麟太郎 服部愛実 菅原寛 中村匡志



配信期間:4/11(日)~4/17(土)
視聴URL:
https://sp.nicovideo.jp/watch/1615868609
※期間以外は表示できませんのでご注意ください



菰田麟太郎(こもだ りんたろう)
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1990年生まれ。東京都出身。新人監督映画祭入選。現在もTVを中心に映像制作を続ける。

 


本日はよろしくお願いします!

主人公を監督ご自身が演じようと思ったきっかけは?

5年前、専門学校の時に撮影したので、あやふやな部分があるのですが。

他の人にどう伝えればいいのかわからなかったので、演出がとてもじゃないけどできないと思ったんです。カメラの前で演技をしたのは初めてではあったんですが、自分が演じました。

当時、監督志望の同期は才能がある人が多くて、学校側もそういう人をプッシュするし、周りの役者さんやスタッフ、生徒たちもその子達といっしょにやりたいと言っていたり。

そういう悔しさを感じてたので、それをそのまま作品にしてみました。



ご自身が出演されているので、俯瞰で見ることが難しいとは思うのですが、役者の人とのコミュニケーションはどういう風にされましたか?

僕と同じような悔しさなどの心情を抱えている人が多かったので、作品に対する理解はすごく持ってくれていました。なので、「自然でいいよ」と役者さんには常に言ってました。「その思いがあればそのように映ると思うし、変に作っちゃうと嘘っぽくなっちゃうから、普通に喋っていればいいよ」と。

それぞれの役のキャラクターや状況を説明して、それについてどう思うか役者の人に尋ねてみて、それで思ったことをセリフに載せてくれればいいからと話はしていました。


モノクロの世界の中にほんの少しだけカラーのシーンがあり、とても印象的でした。

モノクロにするというのは、この作品を創る前から決めていました。映画の通り、僕自身が周りに対して嫉妬していたり、自分に対してうまくいかないことへのもどかしさを感じていたのですが、でも映画が好きなので、映画を見ている時はそういう嫌なことを忘れてしまうんですよ。だから、あの主人公が現実世界として生きている時は白黒なんですけど、主人公が映画を作っている時はカラーにして幸せや救いの部分を表現しました。

非現実が救いであってもいいんじゃないかというのがあって、白黒とカラーの使い分けをしました。


ロケ地はどうやって探しましたか?

過去に行ったことがある場所を思い出しながら、作品に合う場所を探していきました。

夕日を眺めている場所と工場はスタッフさんが教えてくれて、僕が実際に行って見てロケ地として決めました。

工場は、美術さんが若干装飾してくれてあのような感じを出すことができています。


ロケ地は上り坂が多かったんですよ。それがしんどくて、でも役の心情も苦しいのでその部分が重なり合うことができたと思っています。そういう意味でロケ地に救われました。

なので、ずっとずっと歩いていようと思っていました。

冒頭のシーンも隣で歩いている友達に、車が来た時に自然と手を出してよけてあげることができたのも、二人で自然に話をしながらリハーサルを進めていたからかなぁと思います。


私もそのさりげない瞬間がとても好きで、冒頭で心を掴まれました。二人の会話がとても自然なやりとりでしたが、台本はどの程度決められていたのですか?

台本はしっかり書いたのですが、すごく拘りたかったので、最終的には現場での変更をたくさんしました。。

二人が別れる分かれ道まで「このくらいの距離なんだけど、この話の流れでどのくらいで分かれ道まで辿り着くのか」というのを役者の菅原君と本当に二人で何十回も歩いてみて、やりとりを重ねました。その中で台本に書かれてたセリフを言う部分と、あとはニュンスで言う部分を決めていきました。このシーンはロケ地から何から何まで拘りました。

絵コンテも書いたんですけど、それにあまり縛られずに現場で臨機応変に対応しようと思っていて、この二人はどう歩くんだろうか、どっちの方向に向かって行った方が良いんだろうかというのは現地で決めました。



苦労したシーンは?

首を吊るシーンですね。どうにかワンカットで撮れないかなぁと思い、色々と工夫しました。

首に縄が入っていたので結構苦しかったですね。どうしても、首吊るシーンをフルサイズで見せないと、今までワンカットで撮ってきたものが駄目になると思ったのでそこは拘りましたね。顔とか、足元とか、クローズアップだけで見せるのは簡単にできるんですけど、ちゃんとフルサイズで見せるにはどうすればいいのかというのは、悩んだし苦労しました。スタッフの方に助けてもらいました。


監督ご自身の中で好きなシーンは?

冒頭の、2人で歩きながら話しているシーンや、缶を投げつけるシーンは好きですね。缶を投げつけるシーンは撮り直しがきかないので、よく髪の毛が一回で濡れてくれたなぁと思いました。髪の毛が濡れるように、投げる直前まで、スタッフの人が缶の蓋を開けた瞬間にジュースが噴き出すように缶を振ってくれて。そして光の眩しさが画面を通して感じられるように、一瞬一瞬を大事にしようと心がけてました。

あとはラストシーンが大好きです。坂道を見つけて登っていくところまでの一連のシーンは凄く好きですね。そこもカット割らずにつくれたらなというのが理想で。もちろんカットはできちゃうんですけど、どうしても。でも僕の中で大事にしている空気感をバッサリ切られたくないので、やっぱりカットはなるべく割らずにしたいと思っています。



撮影する時に気をつけていることは?

空気感をどう出せるかというのは、ずっと考えてます。そしてどう映してどう演じてもらったら観客に届くのかなっていうのはすごく大事にしてます。僕がかっこいいと思っても、独善的になってはいけないなぁとは思っていて。俯瞰で見て、この空気とかこの流れでちゃんと伝わるかなぁっていうのは何回も確認するし、大事にしています。

基本的にはワンシーンワンカットでいこうという心意気でやってたので、何回も何回もテイクを重ねて撮るものじゃないなぁと思っていたし、完璧じゃなくてもいいと思っていて。完璧なものって現実の世界にはないし、この作品は現実的なお話なので、不完全なものはあってもいい、むしろあって欲しいなと。なので直感で個人的にすごく良いと思えたらそれで良いと判断してました。


それでは、監督ご自身のことをお聞かせください。監督になろうと思ったきっかけは?

難しいですね。自分が思ったものを作りたかったというのがあります。すごい我が儘ですけど。映画が好きではあったので、映画の世界に行きたいというのはありました。0から自分が思ったものを作って想像するのは魅力だなぁと思っていましたし、映画が好きになったのも、小学生の時に自分の人生にグサッと刺さるものが映画でした。



ちなみに、どんな映画に影響されましたか?

色々ありますね。小さい頃は、単純なんですけど、ジュラシックパークから入って、こんな世界あるんだと分かって、すごいワクワクして。そこから段々僕の中で映画という存在が大きくなっていって。

フェデリコ・フェリーニの「8 1/2」とか、是枝監督の「誰も知らない」を好きになって。エンタメとはまた違って、人間の内側を、見ている人に伝えることができているのが魅力的だなぁと思ってました。

あと海外の監督だと、ポール・トーマス・アンダーソンが好きです。邦画だと是枝監督とか、小林啓一監督が好きです。


今後挑戦したいジャンルはありますか?

ドキュメンタリーは撮ってみたいと思っています。テーマも無いぐらい漠然としているんですけど、個人を撮ってみたいですね。

ある一人の人間を撮っていれば絶対ドラマはあると思うし、そういうものって間違いなく、大多数の人が持っている感情に共感を得たり、揺さぶられたりするとは思うんで。


コロナの状況で思うことは?

今映画館で見れないっていう中で、ネットで配信するっていう映画祭だったり、ストリーミングのネットフリックスとかも大事だとは思うんですけど、同時に映画館で見ないと気づけないことって映画っていっぱいあると思うんです。特にミニシアター系が大変な状況っていうのが、もどかしくて。僕ができることと言えば、見に行くことぐらいしかできないんですけど、どうにかできないかなぁと。

ミニシアターが充実しないと、大作映画も充実しないと思うんで。


インディペンデントの魅力とは?

僕自身がまだ商業映画をつくったこがなくて、見ているだけなので、一観客としてしか言えないんですけど。インディペンデントの方が、熱さとか、何かを伝えようという強い思いは間違いなく存在していて。その必死感は商業映画では味わえないと思います。

本当に胸が熱くなる映画っていっぱいあると思うんですけど、インディペンデント映画の右ストレートの強烈さや、本当にこの映画好きだなぁというものに出会った時の強烈さは、感じて欲しいなぁと思います。


新作の予定やPRがありましたら是非お願いします。

「血飛沫く生命」の平岩諒一監督が2~3年前、東京神田神保町映画祭でこういう形でインタビューを受けているんですけど、今、平岩監督の作品にカメラマンして参加しています。どんな作品ができるんだろうなぁと今楽しみにしている最中です。是非チェックしてみてください。


ー長時間のインタビューありがとうございました。  





インタビュー・文:平野綾子(ひらの りょうこ)
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a22cefacc7da546d4e3e01d5b3ecfa5bd5a0e28016歳の頃からお芝居を始める。その頃、家のケーブルテレビでダスティン・ホフマンの「トッツィー」を見てかなり衝撃を受ける。影響を受けた女優はシャーリー・マクレーン、ジュディ・デンチ、ケイト・ブランシェット。今、井上ひさし原作の「父と暮せば」をアメリカでアメリカの俳優と上演するために奮闘している。

影響を受けた映画/「ディアハンター」「ヤコブへの手紙」「タクシードライバー」「ゴッドファーザー」「素晴らしき哉、人生!」





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