神保町映画祭リターンズ/特別審査会セレクト1月~3月
特別審査会の上木實(うえきみのる)審査員が推薦する作品を1週間限定で配信。
今月は第3回東京神田神保町映画祭の応募作品の中から3作品をご紹介します。

1/26(金)~2/1(木)「鼓動する惑星」 15分 監督:奥田悠介
配信URL:http://www.nicovideo.jp/watch/1515007626
第3回東京神田神保町映画祭では一次審査通過作でもある『鼓動する惑星』配信に伴い、
奥田悠介監督に『鼓動する惑星』についてのお話や監督自身のことをインタビューさせて頂きました。こちらも併せてお楽しみください。
奥田悠介(おくだ ゆうすけ)
「俺たちのウルトラマンを撮ろう」という志から高校時代に友人とたった二人の
映像制作団体「惑星ふたりぼっち」を発足、数々の作品を作る。
Q.制作の経緯をお聞かせくださいますか?
ENBUゼミナールというところに1年間通っていまして、そこの在学中に課題でつくりました。
入学して半年で中間発表という課題があるんですが、
15分以内の自由課題で決まったテーマも特にないので、自分の好きな世界観を映画にしました。
Q.「鼓動する惑星」をつくるときに気を付けたポイント、心がけたところはありますか?
中間発表会の上映を想定してつくったので、まずは途中で帰ってしまわない映画にしたかったです。
1日に何作品も上映されるので、その中でも埋もれないように「何じゃこれ?」というよな
印象に残る作品に仕上げようと思いました。
Q.独特の世界観を感じる作品ですが、何か影響を受けた作品等はありますか?
何か特定の作品から影響を受けたというのはないと思いますが、
これまでの好きな作品がいろいろ混ざっていると思います。
自分は映画も好きですが特撮モノも結構好きで、「鼓動する惑星」はウルトラマンとかウルトラQとか、そっちの影響がかなり入っていると思います。
部分的に特撮好きには分かるような小ネタも入れてるので、
それを見つけて笑ってくれたらいいなって思います。
まぁ、話しの筋はもろにウルトラセブンになっていると思います。
怪獣のデザインは家にある怪獣図鑑をみて、いろいろ組み合わせてつくりました。
Q.怪獣図鑑が家にあるんですか?(笑)
そうなんですよ。怪獣がすごく好きでよく見てますね。
怪獣の出てくる映画じゃなくても、
新作に取り掛かるときには、必ず怪獣図鑑をひらいてますね。
見ると刺激をもらえるし元気になるので。
やる気スイッチみたいなものですかね(笑)
Q.撮影や制作にあたって苦労されたことはありましたか?
スタッフ・キャスト集めに苦戦しました。
入学して半年しかたっていないし…大学のときの嫌な感じも残っていたので
人と話すのも嫌っていうか苦痛でしかなくて。
俳優コースの7人に声をかけて全員に断られて、ある人には「出たくない」ってはきっり言われたりもしたのでショックでしたね…お陰で吹っ切れましたが。
当初はラブストーリーをやる予定でしたが、こんな状況では到底できないし…締め切りは迫ってくるしで、「どうしたらいいか」悩みながら怪獣図鑑をひらいたりして(苦笑)
とにかく機材だけは借りて、こうなったら「自分の好きなことやっちゃえ!」と中学高校のときの友達に声をかけて、半ば破れかぶれで撮影をはじめました。
撮影場所は常々いい感じの場所を見つけていたので、今回改めてロケハンしたりとかはなかったのですが、なんせ時間もないですしね…最初カラーの予定だったのですが、どうしても安っぽく見えてしまったので苦肉の策としてモノトーンにしてます。
コミュニケーション能力が低くて…人を集めるのには毎回苦労しているので、仲介してくれる人とか手伝ってくれるスタッフも欲しくなってきていますね。
Q.どういうスタッフが居ると理想的ですか?
そうですね。いまは何から何まで自分がやらなければならないので速度も遅いですし。
少し贅沢かもしれませんが、シナリオ担当の方がいてくださるとありがたいです。
原案とかネタは常にたくさんあって、ストックしているのですが、
自分はシナリオを書くのがとても苦手で時間がかかるのと、僕自身が人との会話が苦手なので、シナリオでセリフをいれても不自然になってしまうので。
今回の作品もそういったこと理由もあってセリフを省きました。自分にとって課題です。
Q.映画づくりに興味を持ったきっかけはなんですか?
中学生の時にときに塚本晋也監督の「鉄男」を見てからです。
もともと映画は好きでよく見ていました。でも映画って大勢で協力してつくるものじゃないですか
…だから僕みたいな内向的でコミュニケーション能力の低い人間には向いてないし、関係のない世界だと思っていたんですね。それが「鉄男」を観た時に、もしかしたら一人でもつくれるんんじゃないかと思い始めて。最初は中学の時にクレイアニメを文化祭流したんです。
中学の文化祭では出し物も少なかったので、目立ったのもあったと思いますけど、見てくれた人から感想や反応を沢山もらって、それがすごく嬉しいです。
作品を通じてコミュニケーションがうまれたというか。
これまで話したこともない人にも、いっぱい声をかけてもらえて、自分を認めてもらえたような感覚になりました。今でもそのときの快感を味わいたくて映画つくっている様なところはありますかね。
Q.ENBUゼミナールに入ったきっかけは何ですか?
ENBUゼミナールに通う前は大学に4年間通ったのですが、ぼくが大学に全然馴染めなくて…
4年間で友達が一人もできないっていう…。
仲間ができて自主制作をたくさんつくれるような有意義なキャンパスライフをイメージしていたのに全然うまくいかなくて、悔しい想いをしたし自分で自分が嫌になりました。
映画の勉強もしたかったし、そういう大学時代を取り返したいという気持ちで、卒業してすぐに専門学校をしらべて見学にいって決めました。
説明会は2か所くらいしか行かないで軽い気持ちで忌めたのですが、僕の中ではすごく充実した1年を過ごせましたね。いまもENBUゼミナールで知り合った人とたまに連絡をとっています。
Q.「鼓動する惑星」の見どころというか、こだわりのシーンはありますか。
後ろで流れている音源もネットで集めてきたようなのが嫌だったので自分でつくりしましたし…。
小道具や美術も全て自分が作っているものなので、全部拘りではありますが。
見どころを強いて言えばラストシーンですかね。
ラストの解放感というか…そういうのを描きたくて、前半は「不安感」とか「孤独感」のような重々しい表現で構成してます。
観終わってすっきりした気持ちで帰ってもらいたいので、わりと最後は解放感みたいな終わり方が多いかもしれないです。
Q.今後の活動というか、今後どのように映画をつくって行きたいですか?
しばらくはバイトをしながら自分の映画をつくって、積極的にコンペに出していきたいです。
まずは自分の作品をできるだけ多くの人に見てもらって、そこから何か次につながるようなチャンスになればと思いまますね。
今回も受賞まではいかないまでも、一次通過で学生審査会・特別審査会のノミネートまでいけたことはうれしく思います。やっぱり映画祭で受賞できれば実績になるし自信にもなるのですが、こうやって取り上げてくださることも嬉しいですし、審査員やスタッフの人に見てもらって、ご縁づくりができればと思います。
Q.仕事として映像をつくりたいということは考えないのでしょうか?
映像を仕事にしたいという気持ちもあるのはあるんですが、まだちょっと怖いというか…仕事にしたら嫌いになってしまいそうで、まだ踏み出せずにいます。
小中高と勉強もダメで運動もダメで、人から褒められることが他に何もなかったので、
(映像の分野で)勝負してみたいって気持ちもありますけど…やっぱり怖いですね。
せっかく掛け替えの無い楽しみを手に入れたので、それを失いたくない気持ちが強いです。
いまは焦って映像の会社に入ったりするよりも、まだ下積みの時期というか…自分のプロフィールを充実させられるような活動をしていきたいと思っています。
Q.新作のご予定はありますか?
準備している作品があって、いつも通りキャスト探しの壁にぶち当たっています。
少女役を探しているんですが…見つからないですね。
また今回の「鼓動する惑星」のようなテイストでつくりたいと思っているんですが、
15分程度の尺で吸血鬼とか怪物が出てくるお話で、一旦シナリオは完成したのですが、今ちょっと直しを入れたくなっているところです。
20歳くらいで少女っぽく見える童顔な役者さんを募集中です。
もし僕の作品を気に入ってくれて、気になった方がいましたら
連絡貰えたらうれしく思います。
ー長時間のインタビューありがとうございました。
<あとがき>
作品をつくるときは、いつも怪獣図鑑を開いてしまうという奥田監督。特撮に詳しい方は元ネタを探しながら楽しめる内容にもなっている様です。
ご本人はコミュニケーションが苦手とおっしゃっていましたが、気さくに何でもお話してくださったお陰で面白いインタビュー内容になりました。ご協力ありがとうございました。
取材・文 :向日水ニャミ子
ブロマガ会員ならもっと楽しめる!
- 会員限定の新着記事が読み放題!※1
- 動画や生放送などの追加コンテンツが見放題!※2
-
- ※1、入会月以降の記事が対象になります。
- ※2、チャンネルによって、見放題になるコンテンツは異なります。

TOKYO HEADZ - 東京ヘッズ -
東京HEADZ
月額:¥550 (税込)