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【非会員でも閲覧可】為五郎オリジナル小説①『リヴァルディア』第5話

2018/07/08 08:28 投稿

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 そして、目覚めた。
 目覚めた理由が、冷房のタイマーが切れたせいなのか、それとも雷雨のせいなのかはわからなかった。要するに、部屋中には蒸し暑い空気が充満しており、外では激しい雨が雷を引き連れて大地に襲い掛かっていた。
 もっと言えば、僕は現在時刻すら把握できなかった。窓の外を見る限り、少なくとも夜だということはわかったが、それ以上の情報が何も得られない。
 まぁ、慌てて照明を付けたりスマホを探したりして時刻を調べなければいけないほど華やかな予定がつまってる訳でもないので、とりあえず僕はしばらくの間、呆然と窓の外を見つめていた。他にすることもなかったしね。
 ……やがて、することができた。不本意ながら。
 というのも、ある異変に気がついたのだ。
 詳しく説明すると、暗闇に慣れてきた僕の目が、窓の外に何やら不可解な影を見つけたのである。ちなみにどうしてその影の正体を解くことが不可なのかと言えば、僕の部屋がアパートの最上階(といっても三階だが)にあるからだ。なおかつ、この周囲には、僕の住んでいるアパートよりも高い物体などない。
 早い話が、いつもは部屋の窓から見える『形を伴った物体』なんて存在しないのである。なのに、今はまず間違いなく窓の外に何かがあったのだ。何かというのは、その、何かである。
 この時点で、僕に与えられた選択肢は二つ。もう一度眠ってしまうか、それともさらに謎の物体の正体を追求するか、だ。
 もちろん、前者を選べるくらいに豪胆でも無神経でもない僕は、さらに目を凝らしてしまうのであった。
 時間が経つにつれ、徐々に物体の形が判明してきた。熱帯夜のおかげでパジャマにまとわりついているものとは別の、嫌な汗が流れてくる。
 そうだな、例えるならば、動物界・脊椎動物門・哺乳綱・霊長目・真猿亜目・狭鼻下目・ヒト上科・ヒト科・ヒト属・ヒト種に属する生物の一種に、似ているような形だった。形ははっきりとしてきても、はっきりと明言はしたくないね。はっきり明言できるのは、とっくに僕の心臓は激しいビートを刻んでいたってことだろうか。解散ライブにおける、アンコール一曲目くらいのリズムはあっただろうさ。
 さて、学校一の美少女が不良に絡まれている現場に遭遇するということが、果たして運が良いのか悪いのかなんていう問題は、解答する人間の戦闘能力や肝っ玉に大きく左右されると思われるが、ともかくそれくらい微妙なタイミングで眼前が明るくなった。いやはや、雷光とはこうも眩しいものなのだろうかね。
 それによって僕は、見た。くっきりと、鮮明に、見てしまった。
 ――窓の外で、宙に浮かぶ女性を。
 寡聞にして、僕は十メートルもジャンプできるという女性の存在を知らない。ましてや、こんな夜中に、恨めしげな表情で浮かんでいる女性の存在など。
 ……待てよ。近いような話は聞いたことがあるな。それも、ごく最近に。
 いやいや、そんな馬鹿な話があるもんか。
 すでにパソコン禁止令が出たIT企業内のようなパニック状態に陥っていた僕は、すっかり硬直してしまい、その女性から視線を外すことが出来なくなっていた。
 この時の僕の心境くらい、長々と描写しなくたってわかるよな? 幽霊の存在を信じていない癖に情けないって言うヤツには、ああ、うまい例えが見つからないから、とにかくバカヤロウとだけ罵っておこう。誰だって、怖いものは怖いんだ。
 ところが、である。それからすぐに、言い換えるならば僕の顎が外れかけた瞬間、彼女は消え去っていた。視界に入ってくるのは、いつものような、真っ暗な空間。あと、雨しずく。
 やっぱり見間違いか。そうだよな。いくらなんでも展開がベタすぎる。
 こうしてようやく窓の外から視線を外すことに成功した僕が、またもや信じられない光景を目にしてしまうんだから、いくらなんでも展開がベタすぎるってもんだよな。
 ガラクタだらけと言われる我が居住空間の中でもぶっちぎりに無意味な代物、すなわち人間一人分くらいの大きさを誇る鏡に、その女性が写っていたのだった。しかも、僕の肩越しにである。セリエAで活躍するFWだって、こうも絶妙なポジショニングは出来ないだろうね。
 またまた二択が提示された。振り返って肩越しに存在するのであろう物体を確認するか、それともこのまま気絶するか、だ。なんだか “DEAD OR 死”って感じだな。最悪な二択の上に、英語と日本語が混じってて凄く馬鹿っぽい。
 あいにく、気絶する方法は知らない。ていうか、知ってる人間なんているのか?
 という訳で。僕には、せっかくタイムスリップに成功したものの、降り立った場所が航海中のタイタニック号だったくらい悲惨な結論しか残されていなかったのである。なので、小学生が夏休みの自由工作で製造したロケットによって月へと向かうくらい勇気を振り絞って、それでも極めてゆっくりとだが、後ろを振り返った。
 ……たとえ事態が予想通りでも、人間は驚き、恐怖する。ヒッチコック監督、あなたの映画手法は確かに正しかったよ。
 暗がりでも完全にわかるほど、それはいた。やはり、僕のすぐ背後に、さっきの女性が、いた。
 髪で隠れていたので、彼女の表情全てを窺い知ることは出来なかった。いや、窺い知りたくもないんだけどね。なんにしても、あまり好意的なオーラは漂っていなかった。おまえはオーラの存在は信じるのかって? そんなこと、この際関係ないだろ。非常事態なんだよ。今の僕は、幽霊以外のものならなんでも信じてやる気になってるぜ。そうだな、特にエクソシストの存在なんて大歓迎だ。
「あ……あ……あ……」
 使い古された絶叫マシーンの比喩を出すまでもなく、あまりにも大きなショックにさらされた時はかえってちゃんと発声できないものである。だから僕は、喉を震わすような音を出しつつ、問題の女性と距離を取る為に後ずさりするのみであった。ああ、寝具が敷布団で良かった。ベッドならとっくに落下しているね。
 ところが、彼女の方はどうやら僕と離れたくないご様子みたいで、体を揺らめくようにしながらゆっくりと接近してくる。両手と尻をしっかりと地面につけたままという状態で、僕はさらに後ろへと移動を続けた。
 そして最終デッドラインである壁がかなり近づいてきたその時、僕の右手が何かの物体に触れた。
 物体の正体は、すぐにわかった。
 突然、視界が明るくなったからだ。
「……きゃあ!」
 室内に大きな悲鳴がこだまする。リモコンで部屋の照明をつけたことは今まで何回もあったが、こんな現象が起こったのは初めてだった。いや、そりゃあそうだろうね。
 名誉の為に言っておくと、いくらこの時の僕が人生最大級の恐怖にさらされ、それまでの信念をかなぐり捨てる勢いで震えていたとはいえ、こんな情けない悲鳴をあげるほどにまでは落ちぶれていなかった。そもそも、へビィメタルバンドに在籍した経験のない僕にとって、まず発声できないくらいの高音だったからな。
 となると、声の主として思い当たるのは、一つしかなかった。『一人』と言わないのは、その表現が的確かどうか不安だったからだ。
「……あ、明かりを消してください」
 今度は、幼さを残したようなか細い声が聞こえてきた。やっぱり、女性の声だ。
「……は?」
「明かりを消して……」
「明かりをって……」
 青汁以上に状況が飲み込めない僕に対して、
「……いいから、早く消しなさいよ!」
 両手で自分の顔を覆い隠していたその女性が、途端に金切り声をあげた。「もう、早く明かりを消すのよ! 何してるの!? 簡単なことでしょ!」
「あ、ああ。ごめん」
 慌てて僕がもう一度リモコンを手にする。何故謝らなければいけないかなんてありがちな疑問を浮かべる暇もなかったね。男ってのは女性の我侭に付き合わされる生き物なんだろうよ。
 再び暗くなった部屋で、彼女はぶつぶつと文句を垂れ始めた。
「あんたって空気が読めないのね。こんな状況で照明をつけるだなんて信じられないわ! 今までそんなホラー映画見たことある? あったとしても、どうせC級かD級のヤツでしょ。怖さだけじゃあ自信がないから、女の裸も入れてみましたって感じの、まるで暇つぶしにもならないような代物ね。いい、わかる? 今のあんたの行動は、幼稚園のクリスマスパーティに乱入して、『このサンタのおじさんは、家族に暴力を振るったり、文房具業者からせこい裏金を受け取ったり、外で愛人を作ってしかもそこで隠し子までいるんだよ!』って叫ぶようなもんよ。それならいっそ素直に、『このサンタの正体は園長先生なんだよ!』って言われた方が救いがあるってもんでしょうが。……ああ、くだらない! 全てが台無しだわ!」
 よくわからないが、なんだか僕は激しく怒られているようである。
 愚痴を言い終わったのか静かになる彼女と、あいかわらず状況を把握できない僕の間には、当然とも言える現象が発生した。
 沈黙。言い換えるのならば、気まずい静寂。
「……あのさ、明かりをつけていいかな?」
 恐る恐る僕が尋ねる。いずれにしても、暗い中で会話するなんて良い趣味じゃないもんな。
「別にいいわよ。勝手にすれば」
 つっけんどんな声が返ってきた。「心配しなくても、さっきは眩しさに驚いただけだからさ。明るかったら消滅するなんてヤワなもんじゃないわよ」
 いや、消滅してくれればこれ幸いなんだが……。
 そう思いつつ部屋の照明を再点灯させる。
 残念ながら、いくら相手との会話が成立したとはいえ、依然として異常事態にさらされている事実は変わらないみたいであった。
 見慣れた僕の部屋で、見知らぬ若い女性が立っていたのである。
「それにしてもきったない部屋よねぇ。なんていうか、芸術性が窺えないわ」
 しかめっ面で周囲を見回す彼女を観察していると、やがて色々なことがわかってきた。
 まず若かった。僕より年下かもしれない。服装も、こういったシチュエーションにありがちな白装束や白いドレスなんて非日常的代物じゃなくて、淡いクリーム色のシャツに黒のスカート、その上に茶色のコートを羽織っているという、ごくごく普通のものであった。まぁ、夏にしては厚着過ぎるという感は否めないけどさ。
 しかし、全てが平凡とは言い難かった。彼女の胸の辺りに視線を移した僕は、ただでさえ失っていた言葉をさらに喪失してしまった。……なんて言うと、まるでセクハラみたいに思われるかもしれないが、いや、だって胸部が血まみれの女の子を前にしたら、その部分に目がいってしまったってやむを得ないってもんだろ?
 よく見れば、首の辺りにもアザみたいな痕跡がある。やっぱり、遊びに出掛けた帰りに何故か見知らぬ男の家に乱入してしまった女の子って訳ではなさそうだ。仮にそうだとしても充分怖い子だけどさ。
「おまえは、何者なんだ!?」
 意を決して質問してみる。緊張のせいか、我ながら少し時代がかった言い方になってしまった。
「何者って……」
 僕の方に顔を向けた彼女は、少し困惑したような表情を浮かべた。「そうね、『謎の美少女』って感じかしら」
 なんだよ、その漫画の登場人物紹介の欄で見かけるような陳腐な単語はさ。そういうのは、読者が「ちっとも紹介になってないだろ!」って突っ込む為に用意されるべきもんなんだ。自分自身で名乗るようなもんじゃないぜ。
 僕は改めて彼女をじっくりと見てみた。さっきまで表情を隠していた髪も、今は自然な状態に戻っている。肩くらいまでの長さ、いわゆるセミロングってやつか。これくらいの長さで顔を隠すには、明らかに作為的な行為が必要となるだろう。ということは、僕を怖がらせる為にわざと無理してあんな風に髪を垂らしてたって訳だな。
 ああ、認めてやるよ。めっちゃ怖かったよ。腰を抜かすくらいにさ。……それともう一つ、確かに自称するだけあって、なかなか可愛い顔立ちをしていることも認めてやっていいかな。街を歩いてる男の、三割くらいは振り返るかもしれないね。ただし、血まみれの服なんて物騒なものを身に纏っていない限り、という条件は付くがな。
「……で、さっきから馬鹿みたいな顔であたしを見ているけど、何なの? あたしに何か訊きたいことでもある訳?」
 腕を組みながら尋ねてくる彼女に、
「そりゃあ、色々あるさ!」
 慌てて僕は答えた。「おまえはどうやって俺の部屋に侵入してきたんだ!? さっきは外で浮いていたように見えたし、かと思えばもう室内にいるしさ! 窓にもドアにも鍵はちゃんと閉めてたはずなんだ。ひょっとしておまえは超能力者なのか!?」
「超能力者?」
 きょとんとした顔つきになった後、彼女は声を出して笑い始めた。「なんて非科学的なことを言い出すのかしら! 超能力? そんなものがある訳ないじゃない! ……そうね、あんたみたいな低脳者にもわかりやすく言ってあげるならば、あたしはいわゆる『幽霊』って存在なの。これでわかった?」
 いやいやいや、具体的に指摘しろって言われると結構難しいけど、おまえの台詞は『UFOを “確認”した』という文章並みに齟齬があると思うぜ。
「幽霊……だって?」
「そう。だから、あたしはこの世の物質をすり抜けることが出来るのよ」
 彼女はテレビに自分の手を近づけた。その手はテレビに潜っていった。要するに、すり抜けた。「ほらね」
 へぇ、不思議なこともあるんだねぇ……
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!」
 『事件の全容はまだはっきりとわからないので、とりあえず判決から先に決めちゃいましょうか』と裁判長から宣言された被告人のように、僕は大声を張り上げた。「じゃあ何か、おまえは……」
「あんたこそちょっと待ちなさいよ! 何なの、さっきから『おまえ』って。初対面の女性に対してその言い方はないんじゃない?」
「……ああ、それは悪かった」
 誰だってこんな初対面なら礼儀正しい態度を取れないと思うけどな。「じゃあ、おまえの名前を教えてくれ」
 軽く戸惑ったような顔になった後、彼女は悪戯っぽい笑みを浮かべた。
「あたしの名前は、麗(れい)徳(とく)院(いん)幻光(げんこう)鈴鳴(すずなり)信女(しんにょ)よ」
「……え?」
「麗徳院幻光鈴鳴信女! どう、立派な名前でしょ?」
 低脳な僕にだって、これが何を意味しているかくらいはすぐに察しが付いた。つまりこいつは『戒名』を教えやがったんだ。「ちゃんと正式な名前で呼んでね。それがマナーってもんよ」
「ええっと、麗徳王……」
 当然ながら、普段戒名なんかで人を呼ぶことのない僕は、おどおどしながらその漢字の羅列を口にする。
「麗徳 “院”よ! 三文字目から間違わないで!」
「すまん。麗徳院幻……影だったっけ?」
「違う! 幻光!」
「幻光……鈴山洗浄?」
「ああもう、滅茶苦茶すぎるわ! 最後の方はヤケになってるでしょ!?」
 そりゃあヤケにもなるってもんだぜ。アニメや漫画の主人公でもあるまいし、突然聞かされた難しい単語を、『ああ、その言葉なら僕も小学校の頃に暗記させられましたよ』ってな感じですぐに易々と反復できる訳がないだろ。
「なぁ、頼むから、できればおまえの生前の名前を教えてくれ。これじゃあ会話にならない」
 元からロクに会話が成立していなかったような気もするが、とにかく僕は懇願するように言った。どうして勝手に自分の部屋へ侵入してきた幽霊に懇願しなければいけないんだろう。
「……鈴音(すずね)」
 しばらく沈黙した後、しぶしぶといった声が返ってきた。「鈴の音って書いて、鈴音よ。可愛い名前でしょ?」
 戒名よりはな。
「で、ちなみにあんたの名前は?」
「俺の名前は、崎ヶ原(ざきがばら)だよ」
「サキガハラ? 変な名前ね」
「ざきがばら、だって」
「ザキガハラ? もっと変な名前」
「ざ・き・が・ば・ら!」
「どんだけ濁音が多いのよ!」
 また怒られた。「何よ? 少しでも画数を増やそうって魂胆なのかしら? そうは問屋が卸さないわ!」
 そういうことは販売元の僕じゃなくって、製造元、すなわちご先祖様に言ってくれ。
「そんな読みにくい単語、言いたくないわね。噛んだりしたら恥ずかしいもの。下の名前は?」
「俊介(しゅんすけ)だ」
「じゃあ、俊介でいいわ。……あのさ、あたしは今、ひどくがっかりしてるのよ」
「がっかり?」
 下の名前が案外平凡だったからか? 「とりあえず、おまえ……鈴音さんだったっけ? その、どういう目的でここにいるんだ?」
 ようやくまともな会話が始まった。長い前フリだったな。幽霊と遭遇してまず自己紹介しあうだなんて、絶対に必要のないシーンだろうさ。せいぜいDVD特典映像ってとこだね。それも、初回限定版の。
「あんたの体が目的よ」
 凄いことをサラっと言いやがった。体が目的、だって? それはひょっとして……「あ、勘違いするなよ。別に、エロい意味じゃないんだからね。文字通り、そのまんまの意味なの」
 どっちにしたってエロい意味でしか受け取れん。十九歳の健康な男に、それ以上の哲学的考察を求める方が酷ってもんだろ。
「要するに、あんたの体を乗っ取って、あたしの意のままに操ろうと思ってたのよ」
 今度は怖いことをサラっと言いやがった。体を乗っ取る? いわゆる、憑依するってやつか。僕は恐山になんか在住してないぞ。
「……だけど、それはできなかった。やっぱりあたしには不可能だったみたい。そういった現実に直面して、とても失望しているって訳よ」
 対する僕は、目の前で繰り広げられている光景が現実なのかどうかを失念しそうになっていた。
「意味がわからん!」
 本日三回目。「もっとわかりやすく説明してくれ!」
「それにしても……」
 わかりやすいくらいに僕の切実な叫びを無視して、鈴音とやらは言葉を続けた。「ここって本当にレイコウが良いのね! こんなにレイコウが良い場所は初めてだわ!」
「レイコウって何だ? ていうか、その前にさっきの質問に答えろ!」
「よし、決めた!」
 鈴音が大きく頷いた。「せっかくここまでレイコウが良い場所が見つかったんだから、明日からここを会合場所にするわ!」
「会合場所って、何の会合だよ? ていうか、さっきの質問と、さっきの前の質問に……」
「そういう訳だから、ヨロシクね!」
 幽霊とはとても思えないほど晴れやかな笑顔を残して、鈴音は消えていった。比喩的表現じゃない。本当に壁をすり抜けて消えていったのである。
 やれやれ、物理的法則も物語の構成もあったもんじゃないな。何もかもがメチャクチャな夜だ。
 ……それから僕がどうしたかって?
 覚えてないね。きっと、ファミコンに二時間分のCGを処理させたくらい、しばらく頭がフリーズしていたんだろうさ。

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