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年金が引き出せないのはメリット? それともデメリット?

2015/04/18 20:00 投稿

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前回は、確定拠出年金は60歳までは何があっても引き出すことができないというお話しをしました。

「引き出せない」というのはデメリットだと考える人は多いと思いますし、一般的にも確定拠出年金は中途解約できないので欠陥制度だという人も少なからずいます。

本当にデメリット?

でも、よく考えてみてください。

この制度は一体何のための制度でしょう? 結婚資金のため? 自動車や住宅を買うため? いずれも答えはノーです。

目的はたった一つ、老後の生活資金のためです。

使う目的が多様な場合であれば、引き出せないというのはデメリットとなりますが、最初から目的が「老後資金のため」と決まっているのであれば、引き出せないのはむしろメリットと考えた方がいいと思います。

もしこれが簡単に引き出せるのであれば、老後生活に向けた資金作りはかなり難しくなるでしょう。

なぜかと言えば、普通の人は老後の蓄えを若い頃から考えて積み立てていくなどということはなかなかできないからです。誰だって将来の生活の安定のために今の生活の楽しみ、例えば旅行や買い物といったことを削るというのはつらいことです。

これは心理学で「双曲割引」と言われ、遠い将来のために今の楽しみを犠牲にするということは困難だとされています。でも老後の生活は確実にやってきます。会社を辞めて働けなくなる時は誰にも必ず訪れるのです。

そんな時のために備えるのが年金制度です。

国の年金も会社の退職金・年金も、個人が自分の心掛けで老後に向けて資産作りをするのが難しいからこそ考えられた制度なのです。

そうした企業年金の一つである確定拠出年金ですから、60歳まで引き出せないようにしているのはある意味当然だと言えます。資産を作る大原則はお金を入れる時は簡単に、出す時は難しくということですから、放っておいても会社が積立ててくれ、出すのは60歳まで制限されるという仕組みは老後に向けた資産形成の制度としては最適と言ってもいいでしょう。

またこれは、定期預金が中途解約できないというようなレベルではなく、本当にいかなる理由があっても引き出すことはできません。

かつて東日本大震災が起きた時ですら、一時的な引出しを認めるかどうかがかなり議論されたことを記憶しています。そういうかなり厳しい制約があるからこそ、老後資金の形成にとっては非常に頼もしい制度であるということが言えるのではないでしょうか。

「引き出せない」ということは実は大きなメリットであるということを知っておいた方がいいでしょう。

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