ふるさと納税や医療費控除......。
いくつか方法は考えられるものの、ダイナミックな節税はできないのがサラリーマンの悲しいところ。
給料からいつの間にか天引きされて、年末調整の還付金で一喜一憂。自分が前払いした税金と知っていても、戻ってくるのはうれしい。
いやいや、そんな些細なものではなくて、ガッツリ節税しましょう! ということで、にわかに流行したのが「副業をやって、赤字になった分節税」という手法です。
これは、サラリーマンだけをやっていては認められない経費を、自らが手がけている副業の経費で落とすように確定申告することで、結果として経費を使って節税するというスキーム......ですが、聞きかじりで行うのは大変危険です。
しかし、状況によっては正しく理解することで実際に節税につながるケースもありますので、要点をチェックしてみたいと思います。
それは「事業」なのか?
経費を落として赤字になった分、給与と相殺して節税する。その根拠になるものは、「事業所得」と「給与所得」は通算するというルールです(損益通算といいます)。
つまり、副業が「事業所得」に該当することが条件となるわけですが、サラリーマンが行う副業は事業的な規模ではないことが大半であるため、通常は「雑所得」に区分されます。
「雑所得」は「給与所得」との損益通算の対象とはならないため、事業として認定される相応の収入規模で副業を展開しなくてはいけません。
ではどのようなレベルから「事業所得」として認められるのかと言うと、残念なことに法律による明確な線引きはありません。ただし、曖昧な(?)線引きはされていて、その定義は「対価を得て継続的に行う事業」です。
事業を開始する以上は、当然儲けるのが前提であることを忘れてはいけない
通常は、事業を始めるということは「その事業で儲けようとしている」というのが当然です。つまり、将来的には儲けるための仕込みの時期の赤字について、他の所得と損益通算されることが認められているだけなのです。
ずーっと収入はちょびっと、経費は大量という状況で確定申告を続けているとおそらく税務署から「待った」が入ることでしょう。
その時、明確に事業の方針や黒字に転換する見込みなどの説明が出来なければ、税金の還付そのものが目的とみなされ厳しい状況に陥ることも考えられます。
え、今は通ってるよ? という方も、基本的に税務署は3年前後は申告の内容を見てから指摘してくるということを理解しておかなくてはいけません。後でまとめて税金が襲ってくる可能性があるため、要注意です。
ではどのような場合に使える手法なのか?
「副業で節税」をするために、簡潔に箇条書きで押さえておきたい点を挙げると
・収入金額が、扱っている商品・サービスの対価として相応である。
・継続して収入があり、収入規模が年間で事業として主張できる範囲である(又は、いずれそのようにするための活動をしていると認められる)。
・計上した経費は、その収入を得るために必要なものと認められる。
正しく理解し、知らないうちに危ない橋を渡っていた、なんてことのないようにご注意を。