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第二十六回 活況な株式市況の判断材料

2015/03/29 19:00 投稿

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最近、株式市況が活況です。

以前、TOPIX(東証株価指数)が1600ポイント位まで過去の出来高の山がなくなる、というようなことを申し上げ、まぁそこに行くかどうかですね、と呑気なことを言っていたら、あれよあれよと言う間にTOPIXにも加速がついて、1600ポイントに近づいてきました。

為替の円高など、これまで悪材料とされて来た状況になっても、かまわず上昇の気配です。

こういうとき、判断は大きく二つに分かれます。

一つは、業績改善を素直に織り込んでおり、まだ経済統計に現れてこない好材料を株価が暗黙に示唆しているという説。これは結構よくあることで、なんだか株価が下げ渋っているなぁと思っていたら、数ヶ月後に景気回復を示す経済指標が続出するなんてことがあるわけです。

これは何もオカルトではなく、前回お示しした需給で説明がつきます。

売り方になる甲さんと、買い方になる乙さんは、それぞれご自分の分析手法や、他の人が持っていない独自の情報源などによって株式の評価を決め、売買を行います。この甲さんと乙さんというのは、二人ではなく、無数にいる人たちの集合体です。

従って、ある株式の先行きに好材料になる独自情報を持っている人、悪材料になる独自情報を持っている人の双方が含まれています。

独自情報の行方

例えば、商社に勤めていて特定の国の機械需要に詳しく、「あの国ではこういった製造装置の需要が盛り上がってきているから、多少の値上げに関わらずこの会社の売り上げは向上するはずだ」とか。

でも乙さんは「あの企業の工場横を散歩していたら、怪しい廃液を流していたんだよ、環境関連の不祥事で業績に悪影響の出る前に売ってしまいたいな」と思うかもしれません。

そこで甲さんが買いを出し、乙さんは売りを出します。

こういった情報は、市場一般には出回っておらず、証券アナリストもつかんでいない。それどころか、もしかすると当の企業の経営者だって知らない情報かもしれません。

でも、株価はそれらを織り込んで価格形成していくのです。

むかし、私が新人の頃、会社の寮の近所に鉄鋼置き場がありました。

ある朝、バスに乗ろうとしていて、ふとそこをみると、先日まで赤く錆びた鋼材がたくさん積んであったのが消えていました。

帰ってくると、新品の鋼材が少しだけ。翌日にはそれもなくなり、半月ほどしたら、鉄鋼協会が出している速報に出荷拡大のデータが出ました。もちろん、そんなものが出る前に株価はちゃっかり上がっていたのです。

このように、株価は多くの人が個々バラバラに持っている独自情報がすべて需給の中で斟酌され、適切な配分で織り込まれ、価格形成されていきます。各人、人より先に行動しようとしますから、発生した情報は即座に相場に織り込まれ、反映されていくのです。

これが、株価が景気に先行する理由です。経験則では、だいたい半年先行するようです。そのため、政府発表の景気動向指数でも、株価の動きは景気先行指標に組み込まれているのです。

なぜバブルが起こるのか

さて、では、もう一つの見方というのはなんでしょうか。

それは「今はバブル」です。

バブルというのは、株価形成の非合理性を指摘する言葉で、株価が得てして経済実態を超えて高値形成する傾向を持つことから名付けられています。そして、みんなが我に帰ると「あれ、この価格高すぎないか?」との判断に偏り、暴落が始まるのです。

語源は1700年代初頭の英国であった「南海泡沫(バブル)事件」という、国家規模で起こった投機詐欺のようなものです。このあとも、「希少なチューリップの球根」など、後で考えたら如何なものかと思うようなモノを対象にバブルは何度も起こりました。バブルは株に限らず、相場ものすべてで起こる可能性があります。

なぜバブルが起こるかというと、株価が先読みをする傾向を持つからです。そして人間の予測力は万全ではありませんから、ちょっとした読み違いで、株価の先行きに根拠のない楽観論が広がります。

すると、「アイツはもっと高い値段で買ってくるだろう」「だからアイツが買う前に先んじて買わねば」「ちょっと上がったが、でも業績の上方修正の期待があるからまだ大丈夫」「この相場は経済の構造変化を体現しているのだから、過去と違う基準で株価形成されるのだ」などと妄想がエスカレートしていき、やがて自分たちが現実から遊離していることに気づかなくなっていくのです。

では、今はどっちだって?

この相場は、経済の構造変化を体現しているのだから、過去と違う基準で株価形成されるのだ」と答えましょう。

あれれ?(笑)

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