2003年の健康増進法(第25条/受動喫煙の防止)施行以降、国内の喫煙環境は大きく変わりました。健康志向の高まりに禁煙ブームが加わったことで、成人男性の喫煙率は年々減り続け、現在では全体の3割程度にまで下がっています。
ところが、世代別で見ると40代男性の喫煙率は38.5%と比較的高く、喫煙スペースの制限など逆風の強い中、粛々とタバコに火をつける働き盛りの姿が目に浮かびます。
百害あって一利なし...といわれるタバコ。健康のために禁煙することが望ましいのはもちろんですが、今回はあえて禁煙後に起こり得るマイナスの変化、副作用について考えてみましょう。
愛煙家が嫌煙家に?
禁煙後、数日経つとタバコの匂いに敏感になります。ちょっと前まで自分で吸っていたにもかかわらず、他人のものは受け入れにくくなるのです。禁煙に至る苦労もあってか、手の平を返すように嫌煙家を宣言。禁煙席の確保や喫煙者と距離を置くなど、匂いと煙を避けることにストレスを抱えてしまう人も少なくありません。
不摂生で不健康に?
タバコをやめると食べ物が美味しく感じられ、食欲が旺盛になり、体重が増すというのはよく聞く話です。ただ、タバコ代わりに糖分を摂り過ぎ、お酒の量が増えてしまえば今度はそれが原因で体を壊してしまいます。やめるだけでなく、やめたあとのプランも準備しておくべきなのでしょう。禁煙後こそ健康診断は大切です。
反動で禁煙貧乏に?
禁煙すればタバコ代をそのまま貯蓄に回せる、という考え方もありますが、これが当てはまるのは吸う吸わないにかかわらず堅実な金銭感覚が身についている人だけです。禁煙の反動で食費や遊興費などタバコ代以上に出費が増え、まさかの禁煙貧乏に。やめる前からお金の計算をしている人ほど危険かもしれません。
一応、私も5年前に禁煙しました。
お金の無駄、悪習慣を断ちたい、肩身の狭い思いまでして吸いたくないなど色々ありましたが、一番の理由はフルマラソンに出たかったからです。
それまでにもやめようと思ったことは何度かありましたが、いずれも失敗でした。ある日、3日間吸わなければ絶対禁煙できる、という記事を雑誌で読み、いいアイディアが浮かんだので、連休中の暇なタイミングを狙って実行することにしました。
まずレンタルショップに行って、ずっと観たかったけど忙しくて観られなかった海外ドラマ『プリズン・ブレイク』(懐かしい...)のDVDをまとめて借りてきました。あとはそれを観るか、寝るだけの禁煙生活スタートです。
禁断症状なのか、『プリズン・ブレイク』の影響なのか3日3晩悪夢にうなされ、冷たい汗をかきましたが、4日目には吸いたいという気持ちは消滅しました。ミッション完了です。
すぐにジョギングを日課にして、毎日10Km近く走り続けました。そして、半年後に念願かなって人生初のフルマラソンに出場。ひざが痛くなり途中で心が折れそうでしたが、禁煙&ジョギング効果も手伝って、無事完走できました。タバコをやめて本当によかったと思いました。
ゴールしたあと、互いに健闘を讃えあった1人のシニアランナーがポケットからなにやら取り出して言ったひとこと。
「走ったあとの一服は最高だ」
笑顔で煙を揺らしていた彼の姿が忘れられません。
複雑ですね。
とはいえ、自分の将来と周囲の影響に目を向ければ、デメリットよりメリットの方が多いはずです。今、この瞬間、少しでも禁煙を考えている人は一度チャレンジしてみませんか?