前回の「原油の価格がコロコロ変わるのはなぜ?」の続きです。今回は、原油についての基礎知識とデータの取得先を。
原油は、言うまでもなくエネルギーの基礎となるものです。地下に埋蔵されていて、これを掘り出して精製し、ガソリンなどにしたりプラスチックを作る原料にしたりします。
原油価格には、指標とされる3つの代表的な価格があります。
1つはニューヨーク市場で取引されるWTI原油先物の価格です。WTIは、メキシコ湾で生産される原油の価格で、ガソリン分が多く硫黄分が少ないため質が良いとされ、比較的高い価格で取引されます。ニュースによく出てくる原油価格がこれです。
ただ、世界の原油供給全体にはそれほど深刻な影響を与えない事件、例えばメキシコ湾に巨大台風が来て精製所が休止した、などの理由で価格が高騰することもあり、これが世界の原油価格を撹乱することもあって困りものです。
WTI先物の価格は、EIA(アメリカエネルギー情報局)のホームページでダウンロードできます。実際にダウンロードしたものを図にするとこんな感じ。
2つ目は、中東ドバイの原油の現物価格です。これは中東産の原油価格を表します。
3つ目は、ノルウェー沖の北海油田から算出される原油の先物価格で、ロンドンの国際石油取引所で取引されています。主にブレント油田から産出されるものを取引しているので、「北海ブレント」などとも呼ばれます。
世界の原油埋蔵量はこんな感じです。
中東に偏っていて、これが中東情勢を世界の一大事にしてきた原因ですが、最近ではベネズエラなどの埋蔵量が注目されています。このほかに、カナダのオイルサンド、アメリカのシェールオイルなどが注目されているのも前回申し上げたとおり。
これは資源エネルギー庁の「エネルギー白書2014」からダウンロードしたものです。EIAとエネ庁のデータを調べていくと、大抵の必要な情報は入手できるはずです。ほかに、JX日鉱日石エネルギーの石油便覧も便利です。
ここから得たデータで超長期の原油価格をチャートにすると、こんな感じになります。
最近はこのように、プロのエコノミストでなくても基礎データが入手しやすくなりました。是非、ご自身の分析にご活用ください。