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第十二回 日本で投資が根付かないホントの理由

2014/12/21 19:00 投稿

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前回の記事では、今の日本においては長期的に見て、土地価格が上昇する可能性より、下落する可能性が高いのではないか。でも個別具体的な土地に関しては、条件がよければ値上がりするかもしれず、家賃との見合い、住みやすさにどの程度の価値を置くかで損得感も変わってくるでしょうという趣旨のことを申し上げました。

それを図にすると、こんな感じです。

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(実際には、ローンを立てると金利の負担が乗ってきますが、ここでは簡略化のために書いていません。)

資産は増えていない

住宅を購入するとなんだか資産が増えた気がしますが、それは間違いです。

住宅ローンの残高がある限り、住宅は銀行に担保を取られているからです。したがって、正味の価値はその時点での住宅の時価(売却価格)とローン残高の引き算になります。家を売って清算するとそうなるということです。(実際には売買手数料を引かないといけません。)

私も家を買ったばかりで、土地も中古物件も色々見て回ったのですが、日本の不動産価格は非常に「効率的」だと思います。まず掘り出しもの物件などありません。そして、相場は時々刻々と動いています。また、建物の評価は、中古になると途端にぐんと価値が落ちるようです。

従って、ローンを立てた当初は頭金の額にもよりますが、大抵の場合、正味で負債超過になっているのではないでしょうか。

そして、返済が進んでローン残高が減るにつれて、正味の資産になってきます。これは、住宅の形で積立貯金しているのと同じことです。積立貯金と違うのは、その間の家賃が節約できることと、資産全体の評価価値が時期によって変動するので、たとえば不動産市況が悪化すると、去年までは正味でプラスだったものが、またマイナスに落ち込むといったことが起こる点です。

また、住宅ローンを立てると、負債額や毎月の返済額は決まってしまうので、所得の変動が家計にとって加速度的なリスクになります。

日本で投資が根付かない理由

実はこれが、日本の被雇用者家計でなかなか「投資」が根付かない理由の一つだと思います。住宅において、すでに大きなリスク性投資をしてしまっているので、なかなか金融資産への投資にまで負担リスクを拡張できないのです。

また、この住宅投資というのも、相場の動向を読んでどうこうできるというより、ローンを組んでから定年までの期間を見越して、割と早いうちに行うものですから、人生のかなりの期間をこのリスクがメインで過ごすことになります。

このように、住宅購入の「適齢期」がある程度決まってしまうとなると、その狭い購入適齢期の間の不動産市況に一生が左右されかねません。

以前、金融商品取引法を作ったときの金融庁の担当官があるところに書いていたのですが、同じ役所に勤めていても、世代によって住んでいる場所が異なると。自分は比較的都心に近いところに住んでいるが、先輩はバブルのピークの頃に家を買ったので、ずっと遠くに住んでいる。これは相場の読みが当たったか外れたかということよりも、住宅を購入する時期がたまたま有利だったからだと。

こういうことは、いろんな局面で起こります。

株式投資をしていて、たまたま現金が必要な時期が相場の底値だったために、もう少し待てば儲かりそうなのに(そして実際そうだった)、今この株を売らないといけないのか〜〜〜! みたいな。

いや私の話じゃないんですけどね。

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