今回は社会人なら覚えておきたい「SNSでの愚痴」の話題。何気ないつもりで書いた一言が、大きなトラブルになることも...?
仕事に慣れてくると、ふと会社の愚痴をフェイスブックなどのSNSに書きこんでみたくなることもあるかも知れない。
匿名のアカウントで、書き込みも具体的には何のことなのか分からないというのなら問題ないかもしれない。だが、実名で登録し、実際にどの企業に勤めているかも公開しているとなると、話は変わってきそうだ。
SNSへ仕事の愚痴を書き込むのは、どの程度までなら許容範囲と言えるのだろうか。絶対言わない方が良い「NGワード」のようなものはあるのだろうか。また、SNSへの書き込みが原因で解雇されたケースはあるのだろうか。労働問題に詳しい石川清隆弁護士に聞いた。
SNSという「公開の場」での発言にはそれ相応の責任が生じる
「フェイスブックなどSNSの個人アカウントは、基本的には個人のプライバシー領域ですので、雇用主も内容には口を出せません。ただし、いくら個人的な発言に『表現の自由』があるとはいっても、その自由には他人の名誉や信用を傷つけてはならないという『限界』があります。
また、会社と雇用契約関係にあれば、それに伴う義務が会社・従業員の双方に生じています。もし、その企業にとって不名誉なことや不利益なこと、批判的なことを書いたり、『業務上の秘密』や対外的に公開していない事項をSNS上に公開したりすれば、場合によっては誠実義務違反や守秘義務違反になり得ます」
では、どんな処分があり得るのだろうか。
「SNSに実名登録し、どのような企業に勤めているかを公開しているような場合には、特に注意が必要です。『愚痴』といっても色々ですが、会社の信用を落とすような発言や契約義務違反等があれば、『社外での非行』として懲戒処分の対象となり、解雇された例もすでにあります。内容によっては、訴えられるリスクもあります」
それらを踏まえると、SNSへの「愚痴」の書き込みは、かなりきわどい問題に思える。石川弁護士は「SNSは居酒屋のように閉鎖的な空間とは違い、そこでの発言は『公開の場での言論』と捉えるべきです。TPOと社会常識に従って、責任を持って発言すべきです」と、注意を呼びかける。
そうはいっても愚痴は、ついついこぼれてしまうもの。そういう気分になった時は、SNSから少し離れて、気分転換を図るのが安全なのかもしれない。
(弁護士ドットコム トピックス編集部)
※次回は8月30日に掲載予定です。
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・石川清隆弁護士プロフィール
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