最初に言っておくべきこと
タブレットの価値は人によって異なります。ある人にとっては、タブレットは多目的に使える安価で頑丈な生産性ツールです。また、ある人にとってはエンターテイメント用デバイスであり、別の人にとっては何の役にも立たないガラクタです。あなたがノートPCやスマートフォンで満足しているなら、このガイドは役に立たないでしょう。一方、タブレットを買う予定がある人は、今回の記事の中に疑問の答えが見つかるはずです。
どのOSを選ぶべきか?
おそらく、今使っているスマートフォンと同じOSを選びたくなるでしょう。確かにOSを統一すれば相乗効果が見込めますが、特定のプラットフォームにこだわる必要はありません。OSごとに長所、短所がありますので、自分の用途に合わせてじっくり検討してください。
iOS
現在、世界で一番人気のあるタブレットはiPadです。iPadはタブレットブームの火付け役でもあり、結果として、iOSが現時点で最も成熟したタブレットOSとなっています。
長所:
1. タブレット用のアプリが豊富
iPadの登場時から、iOSではタブレット画面に合わせたアプリ開発に力が注がれてきました。アプリの絶対数こそはAndroidに負けますが、タブレット画面に最適化されたアプリはむしろ豊富です。
2. 高品質なハードウェア、シンプルなラインナップ
iOSを離れれば、100ドルを切るけどガラクタ同然のタブレットや、1000ドル以上するのにその価値がないデバイスがいくらでも見つかります。一方、iPadのラインナップは非常にシンプルで、粗悪品をつかむ心配はありません。iPad Mini、iPad Air、どちらも高品質で評判の良いデバイスです。iPadシリーズならどれを買っても失敗はありません。
3. iPadは値崩れしない
タブレットは製品サイクルがとても速く、2~4年前のデバイスになると、もはや最新のOSに対応できません。とはいえ、その中でもiPadの中古品は値崩れしにくく、比較的高価で買い取ってもらえます。
短所:
iPadは安くない(特に新品)
iPadシリーズには粗悪品がないかわりに、安価なデバイスもありません。新品のiPadは安くても400ドルはします。Androidタブレット「Nexus 7」の約2倍の値段です。また、中古のデバイスもあまり値下りしていません。中古品は安くないわりにサポートも切れ、新機能も使えないので、あまりオススメできません。「整備済製品(メーカー再生品)」を買うのも手ですが、それでもまだ、他のタブレットに比べれば安くはありません。
ハードウェアの選択肢が少ない
iPadにはハードウェアの選択肢が2つしかありません。10インチのタブレットか、8インチのタブレットかです。それより小さいデバイスはないし、中間のサイズもありません。ペン入力ができるタブレットもなければ、スタンド付きのデバイスもありません。
アンドロイド
Googleの申し子Androidはスマートフォン市場では勢力を誇りますが、タブレット市場ではそれほどでもありません。タブレットの世界ではAppleがトップを走っています。とはいえ、Androidのタブレットも優れた特長がたくさんあります。
長所:
Androidタブレットはサイズも選べて種類が豊富
7インチと8インチは同じじゃないかと言うかもしれませんが、人によってこだわりは違います。Nexus 7では小さすぎるけど、Note 10.1は大きすぎるなら、8.3インチのLGが選べます。
ユニークな機能やオプションがたくさんある
Androidタブレットの世界は競争が激しく、メーカー各社はさまざまな工夫をこらしています。SamsungはNoteシリーズにペン入力機能や、ドローイング/ライティング・ソフトウェアを搭載しました。ASUSはキーボードをつないでノートPCみたいに使えるタブレットや、スマホを装着するとタブレットになるデバイスなどを開発しています。Androidタブレットは市場の勝者とは言えませんが、ユニークなものを試したい人にはオススメできるデバイスです。
OSの柔軟性が高い
モバイルOSの最大の欠点は、ノートPCに比べて自由度が低いことです。とはいえ、その中でもAndroidはかなり柔軟性が高いOSです。マウスやキーボードアクセサリーのネイティブサポートや、フローティングアプリ、リモートデスクトップなど、デスクトップPCに近い機能をたくさん備えています。
安いデバイスもある
高価なAndroidタブレットもありますが、250ドル以下の安くて品質もまずまずのデバイスがたくさんあります。Nexus 7が代表格ですが、他のメーカーもがんばっています。
短所:
粗悪なAndroidタブレットもある
高品質のAndroidタブレットもたくさんありますが、粗悪なデバイスもあります。激しい価格競争の結果、ガラクタ同然のデバイスも出回るようになりました。
タブレット用にデザインされたアプリが少ない
Androidのスマートフォン市場は活発であり、多くのアプリは少しコードをいじればタブレットでも動きます。とはいえ、TwitterアプリやFacebookアプリなどメジャーなアプリでも、タブレットの画面サイズに最適化されておらず、見た目はイマイチです。状況は改善されつつあるとはいえ、まだまだです。
Windows 8
Microsoftのタブレットには、Windows RTとWindows 8のどちらかが搭載されています。Windows RTはタブレット用に設計されたOSで、いわばWindows 8の軽量版です。Windows 8はタッチスクリーン対応ですが、従来のデスクトップアプリも実行できます。Windows RTは比較的安価なデバイスに搭載されており、Windows 8は高価な上級モデルや、ノートPCとタブレットの中間的な製品に搭載されています。タブレットをノートPCがわりにするなら、Windows 8を選ぶとよいでしょう。
長所:
Windows 8の膨大なアプリが使える
Windows 8のアプリがすべてタブレットに最適化されているわけではありません。しかし、キーボードとマウスをつなげば、Steamのインストールや、Bioshock Infiniteのダウンロード、Comstockの対戦などが可能になります。これほどの互換性があるプラットフォームは他にありません。
上級モデルはハードウェアがパワフル
Windows 8は「x86アーキテクチャ」を採用しており、「ARMアーキテクチャ」のiOSやAndroidに比べて、よりパワフルなハードウェアを扱えます。
Microsoft Officeが使える
Windows 8、Windows RTともに、Microsoft Officeが使えます。それほど魅力的には聞こえないかもしれませんが、仕事でタブレットを使うなら、Officeがあると安心です。
短所:
Windows RTタブレットは低調
Windows RTタブレットは良い点がたくさんありますが、アプリが揃っていません。売上も伸びておらず、MicrosoftがRTを今後も維持するかは不透明です。
Windows 8のベストタブレットはノートPCと同じくらい高価
品質が高く優れたWindows 8タブレットもあります。しかし、買う価値のあるタブレットは、ノートPCと同じくらいの値段がします。お金に余裕があるなら問題ありません。しかし、予算が限られているなら、Windowsタブレットはオススメできません。ただし、ノートPCの代わりに買うのなら、その価値はあるでしょう。
どのサイズを買うべきか?
どのサイズのタブレットを買うべきか、人それぞれ意見が違います。主な使い道が読書やウェブの閲覧なら、7インチのタブレットが便利です。仕事をしたり、アクセサリーを接続したり、タブレットをワークステーションにつなぐなら、10インチ以上のデバイスが適しています。どのサイズが自分に合うかは、ショップで実際に触って確かめてください。画面サイズだけでなく、重さも重要です。重いと手首に負担がかかります。
Androidアプリに関するメモ
画面サイズによってタブレットの使い方が変わる場合があります。前述のとおり、Androidでは、少しコードをいじればアプリを画面サイズに合わせてスケールアップできます。7~8インチのタブレットを縦置きにすれば、スマートフォンアプリをそのまま拡大して使えます。9~10インチ、もしくはそれより大きいタブレットなら、横置きで使うのが一般的ですが、アプリがタブレットに最適化されていないと、見た目がイマイチになります。もっと最悪だと、画面の横置きに対応しておらず、縦置きでしか表示できないアプリもあります。
これは、Androidタブレットの祝福と呪いです。アプリが画面に最適化されていなくても気にしない人や、小型の縦型タブレットを使う場合は、さほど問題にならないでしょう。しかし、大きな画面のデバイスでは、使いづらさを感じるはず。タブレットに最適化されたAndroidアプリのリストはこちら(英文記事)にあります。
どのタブレットが買いか?
iPadにするならそれほど悩むことはないでしょう。AndroidやWindowsを選ぶなら、粗悪品をつかまないよう注意してください。以下、失敗しないタブレット選びのヒントを紹介します。
専門家のレビューを読む
タブレットの世界では、ガラクタと掘り出し物を見分ける一番いい方法は専門家のレビューを読むことです。スペックの比較はあなたが思うほど重要ではありません。例えば、専門家のレビューを読むと、LG G Pad 8.3は平凡なタブレットなのに、全く同じハードウェアのGoogle Play Editionは最高だということがわかります。
最新のOSを搭載したデバイスにこだわる
これは、Androidでは特に大切ですが、基本的にタブレットはスマホよりも長持ちさせるのが理想です。2〜3代以上前のOSのタブレットを買ってしまうと、すぐにアップデートから取り残されてしまいます。とくにNexusデバイスは定期的なアップデートが推奨されます。
ハードウェア選びは慎重に
AndroidでもWindows 8でも、特徴的なハードウェアを持ったタブレットがあります。NoteシリーズやSurfaceモデルは、ペン入力を強力にサポートしています。Transformerシリーズは、バッテリー駆動のキーボードドックを備えています。しかし、これらのハードウェア機能はタブレットそのものとは独立して評価されるべきです。
いつ買うべきか?
デバイスのアップデートサイクルが速いため、タブレットの買いどきを知るのは困難です。Appleは定期的に新しいタブレットを発表していますが、AndroidやWindowsタブレットでは、新しい製品が一年中登場します。
iPadの買いどき
iPadに限らず、Apple製品を買う時に参考になるのはMacRumorsのBuyer's Guide(バイヤーズガイド)です。このサイトは、前回のリリースから何日たったか、その製品はどれくらいの周期でアップデートされているか、いま買い時か、といった情報を教えてくれます。とてもわかりやすいウェブサイトです。
Androidタブレットの買いどき
Androidタブレットの買い時を知るのは大変です。Googleは新しいAndroidのOSを半年サイクルで出しますが、それに合わせてタブレットも新しく出るわけではないからです。ここ2年で言えば、5〜6月に開かれる「Google I/O」で、新しいNexus 7タブレットが発表されています。この春にタブレットを買うつもりだったなら、GoogleI/Oまで待つのが得策です。
Windowsタブレットの買いどき
Windowsは、AndroidやiOSに比べて、アップデートサイクルがかなり長めです。逆にいえば、Windows 8タブレットの買いどきを間違えることはまずありません。Windowsタブレットの買いどきは、ノートPCと同じルールが適用できます。毎年1月のConsumer Electronics Show(毎年アメリカで開催される消費者向け電気製品展示会)では新しい製品がたくさん登場しますが、ホリデーシーズンはやはり商品を安く買うチャンスです。つまり、春と秋は、夏や冬に比べて、買いどきであると言えます。
人によって価値はそれぞれ。自分に合ったタブレットPCの選び方 : ライフハッカー[日本版]
Eric Ravenscraft(原文/訳:伊藤貴之)