はじめに 荻上チキ
■みなさんこんにちは、荻上チキです。今回も、簡単な告知をば。
■今月末、『彼女たちの売春』(扶桑社)、『僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか』(幻冬舎新書)という2冊の本を出します。前者は、ここ数年間続けていた、出会い系メディアを活用した売春の実態について調査したもの。後者は、現在の政治経済状況を整理しつつ、「効果を求める政治参加」を呼びかけるもの。是非、お手にとっていただければ幸いです。
■さて、今号の巻頭記事は、飯田泰之と小川仁志氏による対談をご紹介。人文哲学分野などで盛んに行われてきた「新自由主義」への批判、その射程と妥当性について、哲学者と経済学者が語り合う白熱トークです。遠慮なしに正面衝突していくやりとりから、スーザン・ジョージとマーティン・ウルフ 『徹底討論 グローバリゼーション賛成/反対』( 作品社)を連想する人も多いかもしれません。
■茨木尚子氏には、10月4日に行われた「当事者のための難病政策を考えるシンポジウム」の意義と、現在の難病政策の問題点について記していただきました。また、難病当事者である白井誠一朗氏による発言も掲載。難病への対策、および障害対策をしっかり前に進めるため、「制度の谷間」を放置し続けないため、ますます議論が注目される必要があります。
■畠山勝太氏と荻上との対談では、マクロデータを元に、「本当に必要な教育政策とは?」を語り合います。教育投資が貧困な日本、いじめ対策のありうる形などを語りながら、統計的アプローチによって教育を議論することの意義についても考えさせられました。
■僕は医学書院の「シリーズ ケアをひらく」が大好きなのですが、シリーズの名物編集者・白石正明氏に、同シリーズにかける思いを寄稿していただきました。「弱さ」にひらかれたシリーズが、いかなる「思想」に貫かれるかが透けて見えてくる、力のこもった文章です。
■今号の synodos journal reprinted は、吉田徹氏の「脱政治化の時代の政治」。選挙が近づいていると叫ばれる昨今こそ、改めて政治の本懐について考えて見ませんか。
■次号は vol.113、12月01日配信予定です。お楽しみに!
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★今号のトピックス
1.対談/飯田泰之×小川仁志
「思考停止」としての新自由主義/批判
経済学と政治哲学の対話(前編)
2.「当事者による難病政策を考えるシンポ」はなぜ必要だったか―
―障害者制度「改革」をすすめるために
………………………茨木尚子
3.難病者の暮らしにくさと「制度の谷間」
………………………白井誠一朗
4.対談/畠山勝太×荻上チキ
本当に必要な教育政策とは?
5.弱い出版
――「シリーズ ケアをひらく」編集の現場から
………………………白石正明
6. synodos journal reprinted
脱政治化の時代の政治
………………………吉田徹
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