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“α-Synodos”
vol.253(2018/10/1)
動物と人間
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○はじめに
1.久保田さゆり「動物にたいする倫理的配慮と動物理解」
2.迫田さやか「学びなおしの5冊〈格差〉」
3.牧野久美子「マンデラ生誕100周年を迎えた南アフリカ」
4.吉川浩満「人間は「非合理なロボット」である」
○はじめに
ものすごい台風が日本を通り過ぎていきましたが、みなさまご無事でしょうか?
「αシノドス」vol.253、最初の記事は動物倫理を専門とする久保田さゆり氏による『動物にたいする倫理的配慮と動物理解』です。犬や猫などのコンパニオン・アニマル(伴侶動物)、動物園や水族館で飼育・展示されているさまざまな種類の野生動物、実験動物や、豚や牛や鶏といった畜産動物。われわれはさまざまなシーンで動物に関わって生きています。しかしこうした動物のことを「真剣」に考える機会はそうないのではないでしょうか? 本稿では倫理学の立場から、動物の問題についてどう論じられてるのかをまとめていただきました。
ついで、「学び直しの5冊」、今月のテーマは「格差」です。経済学が格差をどう議論しているのかを中心に、迫田さやか氏に選書いただきました。格差や貧困の問題を前に、「世界が違っていたらそれは私だったかも」と思った瞬間があるならば、ぜひここであげられている本を紐解いてみてください。そしてそのような問題をなくすためにはどうすればよいのかを、ともに考えてみてください。この問題は、結局はわれわれがどのような社会に生きたいのか、つまりはわれわれ一人ひとりの社会的な想像力にかかっていると思います。
今年はネルソン・マンデラ生誕100周年です。そこでジェトロ・アジア経済研究所研究員の牧田久美子氏に、マンデラの事績を振り返る記事をご寄稿いただきました。アパルトヘイトの廃止によって、法律による人種差別はなくなりましたが、人種、階級、ジェンダーが複雑に交差する南アフリカの不平等構造は、いまも厳然と存在しているといわれています。そのような状況でマンデラが理想としたビジョンを想起することは、とても重要なことだと思います。
最後に、各所で話題の『人間の解剖はサルの解剖のための鍵である』の著者、吉川浩満さんにお話を伺いました。20世紀半ば以降に発展した「認知と進化」の科学によって、近代を支えてきた「人間観」が根底から刷新されようとしています。この分野はきわめてエキサイティングなのですが、人文・社会科学系の読者にはまだまだ不案内な領域だと思います。ぜひこのインタビューを通して、議論の一端に触れていただければと思います。みなさんは、4枚カード問題、解けるでしょうか?
次号は10月15日配信予定です!
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