▼『胎動する地政学』より
「逃れられない地理」(コリン・グレイ)
「逃れられない地理」(コリン・グレイ)
【解説】:奥山真司
戦略、とくに国家戦略や国際関係などを考える場合には、「地理」という要素は無視できない。しかし地政学がナチスに悪用されて評判を落とし、しかも冷戦時代に入ると地理を無効化してしまうような(核)ミサイルが出現したことにより、欧米では国際安全保障の研究から「地理」という要素についての分析の重要性が(消滅したとはいえないとしても)かなり低下してしまった。
ところが地理というのは相変わらず文化や時代を超えて普遍的な要素であるために、これを無視しているとどうしても矛盾が生じてくる。本章の論文はそのような欧米の安全保障論に生じていた「矛盾」を修正しようと、一九七〇年代後半からほぼ一人で地理(および地政学)の要素を戦略の議論として復活させた、コリン・グレイの「地理論」である。
グレイの略歴は本書の裏表紙にもあり、さらに詳しい
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