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まずはしっかり現状認識をして下さい。話はそこからです。|THE STANDARD JOURNAL

2015/02/26 20:18 投稿

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★次回の放送は3月1日(日)20:00~です。お間違いなく!★
 

おくやまです。

実は、このところいくつかの政府機関から
「あなたの得意な戦略の階層の話をしてくれ」
とのオファーがありまして、先日も都内の某所で話をしてきました。

これは大変光栄なことでありまして、
恐縮しつつも、霞ヶ関の方々とお話をする中で
あることに気付きました。

それは彼らのリアルな”危機感”です。

これは、言うなれば、

「日本が向かうべき方向が見えないという閉塞感」

から来たものではないか?というのが、私の感じた印象です。

この背景には、昨今よく言われているような
日本企業の国際的な競争力の低下があるわけですが、
例えば、ある省庁の方が外部資料として提示したもの中にある、
以下の2点の指摘です。

1.「技術力だけ」で勝てる「素材・部品・製造装置」や、
  同じく職人的「すりあわせ」が必要な
  「すりあわせ型産業」(自動車等)の日本企業シェアは高い。

2.経営戦略(サービスも含めたシステム構想力、ビジネスモデル・コンセプト等)や
  ソフトウェアがモノを言う「モジュール型製品」(エレクトロニクス産業)
  の競争力が急速に低下している。

ということでした。

とある省庁の予測として、

この状況をこのまま放置すると、結果として、
日本の競争優位領域は「素材・部品・製造装置領域」だけに縮小する。

というものがあるそうですが、
どうやら現実的に事態がそうなりつつあるようです。

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さて、ここで皆さんから、いつものように、

「はぁ?おくやまさんは、いったい何が言いたいの?・・・」

とツッコミが入る頃かと思いますが、

私はこの話を聞いて、ますます確信したことがあります。

それは「戦略の階層」の考え方の重要性です。

「えぇ~!またそれですかっ?!」

という声が聞こえてきます(笑

しかし、ちょっと考えてみてください。
上述の某省外部資料で指摘されている(1)と(2)。
これが何を意味しているのか?ということは、
「戦略の階層」を用いて考えてみれば明らかです。

まず、(1)の指摘は、日本人の得意とする
「戦略の階層」でいうところの
<技術・戦術レベル>についての話です。

日本は90年代から、国家をあげて
「ものづくり」を必死で行っております。

ところがつくっているのは「もの」であり、ハードウェアです。
つまり、これは「技術」や「戦術」レベルの発想が土台になっています。

しかし、ここが大事なところなのですが、
この<技術・戦術レベル>に集中しているだけでは「結果」は出ません。

それはどうしてなのか?

「技術」や「モノ」というのは、
それを”どう使って”、”どのように活かすのか?”こそが
勝負どころだからです。

これを「戦略の階層」の発想で考えると、
より上位レイヤーである、「軍事戦略」や「大戦略」ような
<<戦略レベルの思考>>が必要になってくる
ということになります。

さすがに日本政府もこのことに気付いたようで、
最近になって「仕組みづくり」などということを言い始めましたが、
これは「ものづくり」よりも、”抽象度の高い思考”を目指している
という意味では、これまでに比べれば、
わずかには前進したと言えそうです。

あえて、わずかに、としましたが、
日本国内では、「戦略の階層」の「戦略レベル」のレイヤー
を教える教育システムや社会環境が、まだ圧倒的に足りないので、
「仕組みづくり」の方向へ舵を切ったといっても、
その「結果」が出るのはまだまだ先の話であろう・・・

ということも明らかだからです。

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さて、今、私たちはこのような問題に直面しているわけですが、
「アメ通」読者の皆さんは、もちろん、
このことはじゅうぶんご承知のことと思います。

しかし、果たして日本人のどれほどが、このことに気付いているのか?
と思うと、なかなか厳しい現状であると言わざるを得ません。

どうして気が付かないのか?と言えば、これは意外にシンプルなお話で、
多くの人は”問題の核心を教えてくれる便利なツール”を知らないからです。

そのような「ツール」を知らないわけですから、
そもそも、「一体何が問題なのか?」という
「問題の切り分け」すら出来ずに、
ポイントのズレたこと(ただ闇雲に“ものづくり”をがんばる!等・・・)
を繰り返す・・・

当然、まともな「結果」が出るわけがありません。

まずは"正確な現状認識"が出来なければ、
効果的な「戦術」も立てることも、
優れた「戦略」を構想することも出来ません。

残念ながら、現在の日本において、
このような考え方を教えることのできる
高等教育機関は存在しないため、
国家の政策立案の現状は非常に厳しいわけですが、
われわれ一人ひとりの、
「個人」のレベルではまだまだ出来ることはあります。

さてさて、「アメ通」読者の皆さんは
ここでひとつ納得しているはずです。
お察しの通り、その問題の解決法は、
「戦略の階層」という、”抽象度の高い思考”
を重視するこの発想を取り入れればよいだけだからです。

まずはここが全ての話のスタート地点です。

従来の「ものづくり」から脱却して
「しくみづくり」に至るだけでなく、
それをさらに超えた「世界観」のところで勝負していく・・・

この考え方ができるようになれば、
日本人はそこから飛躍できるはずなのです。

そして、それが、日本の「国家」としての繁栄
にも繋がるということは言うまでもないことです。

「おくやまは、なんで、しつこく何度も何度も、
”戦略の階層!戦略の階層!”って言い続けてるの?」

という皆さんの疑問は、これでスッキリしたのではないでしょうか?

( おくやま )

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