おくやまです。

元旦に既に本年の「アメ通」第一弾は配信しておりますが、
実質的にはこれが今年最初となりますので、改めて、

あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。

さてそれでは、さっそく本題に入ります。
唐突ですが、2015年、私は年頭から

「日本でのクラウゼヴィッツの復活」

を掲げたいと想います。

「は?おくやまはいきなり何を言い出すか?!」
と思われたでしょうから、順番にお話します。

-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:-:

私がイギリス留学時代から定期購読している季刊専門誌に
「戦略研究ジャーナル」(Journal of Strategic Studies)
というものがあります。

その名の通り、私が専門とする戦略研究の研究者たちが集って
論文を発表する場となっている研究職用の学術誌であり、
一般人が読むことはまずないものと言ってよいでしょう。

この最新号が正月に我が家に届いて、「おおっ」と思ったのが、
クラウゼヴィッツについて論じた論文が3本も掲載されていたことでした。

※実は、それよりびっくりしたのは、
私の元コースメイトが論文を書いていたことなのですが・・・(笑)

さすがに「アメ通」読者の皆さんで、
「クラウゼヴィッツ?何それ?」という方はいないとは思いますが、
参考までに簡単に紹介しておきます。

今の形の「ドイツ」という国ができる前に、
現在のポーランドあたりに「プロイセン」という国がありまして、
そこに18世紀後半から19世紀のはじめにかけて
(日本では江戸時代)のナポレオンが活躍していた時代に軍人をやっていた人、
といえばわかるでしょうか?

また、この人の名前は知らなくても、
彼の書いた「戦争論」という本の名前くらいは
聞いたことがあるかもしれません。

同じように戦争について古典を書いた人間としては、
孫子の名前を知っている人はけっこういるはずです。

孫子のほうは、古代中国の春秋時代を生きた孫武という武将の通称で、
「兵法」という本を書いた人物として有名です。

欧米の戦略研究の世界では、
この孫子とクラウゼヴィッツが
「戦略論」の2大人物であるとされております。

たしかに東洋の孫子のほうは、
現在でもこれに関するビジネス本が続々と出版されていて、
最近の新聞などにも広告がたくさんありますし、
実際に大型書店に足を運んでみても、
この手の類書が平積みにされていることを目撃することもしばしば。

ところが、そんな大人気の孫子に対して、
クラウゼヴィッツのほうはどうでしょうか?

唯一最近発売されたのは

●60分で名著快読 クラウゼヴィッツ『戦争論』(川村康之)
http://goo.gl/byHQ7m

くらいで(しかもこれだって中身は昔の本の復刻版)、
一年に何冊も出ている孫子関連の書籍に比べれば、
その数の差は完全に見劣りするものです。

英語圏においては、冒頭でご紹介したような専門誌で、
いまだにクラウゼヴィッツについての詳細な分析をした論文が出てくるほどです。

この差はいったいぜんたい、どうしてなのでしょうか???