おくやまです。
さて、何度も告知させていただいたので
すでにご存知のかたもいらっしゃると思いますが、
私が翻訳したロバート・カプランの
『南シナ海中国海洋覇権の野望』が無事発売されまして、
都内の某大型書店で陳列されている様子を確認してきました。
ところがなんだか不思議なもので、
いざ自分が関わった本が発売されたと言っても、
原稿(ゲラ)段階で何度も読みなおしているので、
いまさら手にとってみても、
「あ、ここに並んでいるのか・・・」
くらいで、あまり「感激」という感覚は、正直なところありません(苦笑
ただし翻訳していて面白かった箇所というのは鮮明に覚えておりまして、
個人的に一番興味深かったのは、
第五章(シンガポール)と第七章(台湾)のエピソード。
とくに第五章は、儒教が西洋の価値観から見て
「独裁制」とも呼べる体制に対して寛容な要素を提供しており、
それが今後のグローバル化、つまり西洋化の価値観と
折り合いをつけていくのかという点を
探っているところが興味深かったわけです。
第七章では、なんと言っても台湾が実効支配している
「東沙島」にカプランが乗り込んで行って
見聞きするシーンが印象的でした。
もちろん地政学を研究している人間としては、
第二章のカリブ海と南シナ海の対比がとても
「スパイクマン/ミアシャイマー」していて、
思わずニヤリとせざるをえませんでした。
この本は『インド洋圏』の時と同じく、
「旅行記」という体裁をとっている本なのですが、
ページ数の少なさの割にはなかなか考えさせてくれるすぐれた本です。
中心的なテーマは一応「中国の軍事的台頭」
というところに焦点が当てられているわけですが、
最初と最後でこの地域の複雑さを教えてくれる
効果的なエピソードが紹介されていて、
一筋縄ではいかない国際政治の難しさを教えてくれています。
明日はある出版社の仕事の関係から、
この原著者のカプランに私が電話インタビュー(!)
をすることになっているのですが、
その時のこぼれ話などは、毎週火曜日の夜に
生放送している私の番組、28日(火)の特番でも、
少しだけお話させていただきたいと思っております。
ということで、カプランの『南シナ海』、ぜひよろしくお願いします。
▼奥山真司ブログ:「地政学を英国で学んだ」
( おくやま )
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スタンダードジャーナル編集部
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