アイドルマスターシンデレラガールズ第25話(最終話)「Cinderella Girls at the Ball.」のストーリー解析を行う。原作、未プレイ。アイドルマスターシンデレラガールズ完結。
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■評価
★★ ミスマッチング
[ニコニコ本編http://www.nicovideo.jp/watch/1445222359]
■総評
第25話(最終話)は、シンデレラの舞踏会。その期待に反して、ストーリーの強度は低い。ただ、ストーリーのテーマや構成を考えていくと、謎解きの様に欠如しているものが何であるかも見えてくる。非常に不恰好な最終話ではあるが、その背後の構想を補完してその世界観を楽しんで欲しい。
■基本情報
監督 - 高雄統子
シリーズ構成 - 高雄統子、髙橋龍也
脚本 - 高橋龍也(第1、2、3、7、8、16、22話担当)
アニメーション制作 - A-1 Pictures
→Wikipedia
■登場人物(※セリフなしを含めるとその他多数)
[シンデレラプロジェクト所属アイドル]
島村 卯月(しまむら うづき) - 大橋彩香
渋谷 凛(しぶや りん) - 福原綾香
本田 未央(ほんだ みお) - 原紗友里
前川 みく(まえかわ みく) - 高森奈津美
多田 李衣菜(ただ りいな) - 青木瑠璃子
城ヶ崎 莉嘉(じょうがさき りか) - 山本希望
赤城 みりあ(あかぎ みりあ) - 黒沢ともよ
諸星 きらり(もろぼし きらり) - 松嵜麗
双葉 杏(ふたば あんず) - 五十嵐裕美
三村 かな子(みむら かなこ) - 大坪由佳
緒方 智絵里(おがた ちえり) - 大空直美
神崎 蘭子(かんざき らんこ) - 内田真礼
新田 美波(にった みなみ) - 洲崎綾
アナスタシア - 上坂すみれ
[その他のアイドル]
城ヶ崎 美嘉(じょうがさき みか) - 佳村はるか
神谷 奈緒(かみや なお) - 松井恵理子
北条 加蓮(ほうじょう かれん) - 渕上舞
佐久間 まゆ(さくま まゆ) - 牧野由依
安部 菜々(あべ なな) - 三宅麻理恵
木村 夏樹(きむら なつき) - 安野希世乃
白坂 小梅(しらさか こうめ) - 桜咲千依
片桐 早苗(かたぎり さなえ) - 和氣あず未
高森 藍子(たかもり あいこ) - 金子有希
輿水 幸子(こしみず さちこ) - 竹達彩奈
姫川 友紀(ひめかわ ゆき) - 杜野まこ
小早川 紗枝(こばやかわ さえ) - 立花理香
高垣 楓(たかがき かえで) - 早見沙織
川島 瑞樹(かわしま みずき) - 東山奈央
十時 愛梨(ととき あいり) - 原田ひとみ
輿水 幸子(こしみず さちこ) - 竹達彩奈
日野 茜(ひの あかね) - 赤崎千夏
小日向 美穂(こひなた みほ) - 津田美波
星 輝子(ほし しょうこ) - 松田颯水
堀 裕子(ほり ゆうこ) - 鈴木絵理
上条 春菜(かみじょう はるな) - 長島光那
市原 仁奈(いちはら にな) - 久野美咲
上田 鈴帆(うえだ すずほ) - 春野ななみ
浜口 あやめ(はまぐち あやめ) - 田澤茉純
脇山 珠美(わきやま たまみ) - 嘉山未紗
難波 笑美(なんば えみ) - 伊達朱里紗
龍崎 薫(りゅうざき かおる) - 春瀬なつみ
佐々木 千枝(ささき ちえ) - 今井麻夏
櫻井 桃華(さくらい ももか) - 照井春佳
宮本 フレデリカ(みやもと ふれでりか) - 髙野麻美
速水 奏(はやみかなで) - 飯田友子
塩見 周子(しおみしゅうこ) - ルゥ・ティン
鷺沢 文香(さぎさわ ふみか) - M・A・O
大槻 唯(おおつき ゆい) - 山下七海
橘 ありす(たちばな ありす) - 佐藤亜美菜
松永 涼(まつなが りょう) - 千菅春香
[美城プロダクション・スタッフ]
美城常務 - 田中敦子
今西部長 - 小松史法
千川ちひろ(せんかわ ちひろ) - 佐藤利奈
プロデューサー - 武内駿輔
■ドライバー分析
第25話(最終話)のメインドライバーは3つ。
1.シンデレラの舞踏会が行われる(P=L-L)
2.プロデューサーと美城常務がお互いの考えを語り合う(P=E-G)
3.エピローグ:アイドルたちのその後の説明(P)
また、サブドライバーとして
4.凜、未央、卯月がニュージェネレーションズとしてステージに立つ(L-L)
5.多くのアイドルがステージに立つ(L-L)
などがある。
第25話は、シンデレラの舞踏会とエピローグである。いずれも多くのアイドルたちが登場し、アイドルたちの絆と活躍を描く。しかし、第一感としてストーリーの強度は全25話の中でもかなり低い部類に入る。今回は、良い意味でも、悪い意味でも、最終話とは何だったのかを分析しその全体像を捉えてみよう。
□最終話のストーリー
まず、最終話のストーリーを分析すると、決定的に欠けているものがある。それは視点とストーリー(ドライバー)である。
第25話の構成は、2つのライブシーンを中心に、導入部、ニュージェネレーションズの「流れ星キセキ」、シンデレラプロジェクトの「M@GIC」、エピローグという構成になっている。しかし、それらを一貫して代表する視点は見当たらない。
最初の導入部は、どちらかといえば美城常務やプロデューサーの目線でストーリーが進む。これは「美城常務の問題」が解決すべき問題として残されているからであり、プロデューサーがその解決者となるからだ。
[美城常務とプロデューサー]
しかし、ライブが進むと視点は、凜、未央、卯月へと移っていく。(ここで言う視点とは、視聴者が誰を見るかだと思ってもらえれば良い。)ここで凜、未央、卯月は、それぞれを支えてくれた奈緒や加蓮、美嘉、美穂に送り出され、「ニュージェネレーションズとして舞台に立てること」を喜んでいる。
[奈緒、加蓮たちに送り出されてステージに向かう凜、卯月、未央]
ただ、この「3人でステージに立ちたい(=卯月を欠きたくない)」というストーリーは、第24話のクリスマスライブですでに解決された問題ではなかったか。クリスマスライブが卯月の単独公演で終わったとは思えないので、3人はすでにクリスマスライブで共演していたように思う。だから、凜、未央、卯月たちの「やっと3人でステージに立てる」というストーリーにはあまり説得力がない。
そして続く全体曲の「M@GIC」と、エピローグではさらに視点が消失する。同じライブ回でも、第13話の夏ライブや、第22話の秋ライブでは、緊張で倒れてしまった美波や文香、ライブを見る卯月など、ストーリーを代表する視点がはっきりと存在した。(難しく言えば、プロタゴニスト。)しかし、今回のライブには、そういった心理的ストーリーとそれを代表する視点が存在しない。
[彼女たちは何のために歌う?]
ストーリーにおける視点は、それが誰のストーリーであるのかを強調する。例えば、当番回はそれぞれのユニットやゲストだし、第21話~第25話は凜、未央、卯月が中心となる。(例えば、これがもし、卯月の単独視点で描かれたなら、ストーリーはもっとはっきりとした意味を持っただろう。)
ストーリーは視点やドライバーが不足すると、ストーリーが「何の話であったのか」という解釈が困難になる。第25話に「シンデレラの舞踏会が行われた話」という説明以上の解釈を与えるのは難しい。もちろん、形式的に言えば、「アイドルたちの夢が叶う話」と言うことは出来る。しかし、そう彼女たちが望んでいることが改めて描かれていたかというと疑問だ。もう少し具体的な線として、シンデレラプロジェクト全員で歌うことの意味、エピローグでそれぞれが活躍していくことの意味が説明される必要があったように思う。
[This is really a happy ending?]
□美城常務に関する謎
結論から言えば、私は何らかの理由で、作品の話数が1話少なくなったのだと考えている。つまり、全25話ではなく、全26話の構成だったのではないかと。
少なくともそうでなければ、ユニット名に「Cinderella」の頭文字を仕込んだり、第24話で「S(mile)ING!」にストーリーを重ね合わせる周到な製作姿勢とは辻褄が合わない。(回想シーンの挿入や、2度のspecial programも不可解だ。)
その根拠となるのは、第25話の「美城常務に関するストーリー」の謎である。多少、推測が多くなっていくので、必ずしも客観的な主張ではないことに注意して欲しい。
まず、第25話を見たとき、最初に違和感を感じたのは、美城常務がプロデュースする「プロジェクトクローネ」がシンデレラの舞踏会に参加していたことだった。
美城常務は今まで、プロデューサーのやり方や「Power of Smile」というコンセプトに何度も反対してきた。それは第25話の中でもさほど変わらない。だとすれば、なぜ美城常務はシンデレラの舞踏会にクローネを参加させたのか。
[舞踏会に参加するクローネと、それを見る美城常務]
否定する企画にクローネを出演させる、これは矛盾だ。美城常務は「これほど大規模になるとはな」と他人事のように言っているが、アイドルプロデュース事業を統括する統括重役でもある。そもそも常務が許可を出さなければ、その企画自体が立ち行かないもののはず。
にもかかわらず、シンデレラの舞踏会は、新ブランドの中核を担うクローネまでが出演する346プロダクションの一大イベントになっている。このことを説明するには、美城常務の問題を解決するためのストーリーがどうしても必要だ。
確かに、第24話で美城常務は卯月のライブに立ち合い、何らかの影響を受けただろう。しかし、シンデレラの舞踏会がこのような形で開催されるには、もっと根本的に美城常務が変わる必要があったように思う。美城常務はいつ心変わりしたのだろうか。
それをここでは、幻の第25話と呼ぶことにしよう。
□美城常務が持つテーマ
もし、シリーズが全26話構成(第25話が美城常務解決編、第26話がシンデレラの舞踏会)であったなら、それが1話短縮されることは致命的だ。
最終話を、美城常務の解決に当ててしまうと「何で最終話が美城常務の話なんだ」となるし、いきなり舞踏会にすると「美城常務の問題はどうなったんだ」となってしまうからだ。
実際問題として、第25話の美城常務問題は、半ば未解決気味になっており、先に述べたとおり、クローネが参加していることも、美城常務の突然の軟化にも説明がつかない。つまり、この仮説の元では後者が採用されたということになる。
だが、第25話には不完全ながら、美城常務問題を解決するアイデアも取り込まれている。それは幻の第25話を構成するエピソードの断片とでも言うべきものだ。それは実際の最終話の中盤、美城常務とプロデューサーの次の会話パートに現れる。少々長くなるが、まず引用から。
美城「これほど大規模になるとはな」
P「多くの部署と協力できましたので。常務のプロジェクトクローネとも」
美城「才能のあるものは評価する。だが君の考えは気に入らない。私は以前、君のパワーオブスマイルをお伽噺と言った。だが撤回しよう。お伽噺にすらなっていない。あるところに一人の少女がいたとしよう。何のとりえも持たない不遇の灰かぶり。少女は憧れる。綺麗なドレス、きらびやかな舞踏会。優しい王子に手をひかれ、共に城の階段を登ることを。物語には目指すべき目標が必要だ。皆が憧れる光り輝く目標が。だからこそは城は気高く美しく、そこに立つものたちはそれに相応しい輝きを持つものでなくてはならない。君のような輝きを失ったものを守るようでは、いずれ城の威厳は失墜し、廃れていくだろう」
P「城を目指す少女は、何かを願うものです。想いの形はそれぞれに違う。そのすべてが星のように大切な輝きだと、私は思います」
美城「星?君はその星すべてを見出せると言うのか?」
P「いいえ、私に見えて常務に見えないこともあれば、その逆もあります。渋谷さんとアナスタシアさんの別の可能性を常務が示されたように、部署という枠にとらわれていた私には思いもよらなかった可能性です。触発された他のメンバーたちも、それぞれの可能性を広げ、輝きを増しています。そして、それも無限にある彼女たちの輝きのひとつに過ぎないのではないかと」
美城「私の理想も、そのひとつに過ぎないというのか」
P「一番大切なのは、彼女たちが笑顔であるかどうか。それが私のプロデュースです」
美城「君とは噛み合わないな。私は城を、君は灰かぶりの夢を第一と考えている。われわれは平行線のままだ」
要約すれば、この会話の中で美城常務は「アイドルの世界には皆が憧れる目標(城)が必要」だと、プロデューサーは「1人1人の想い、すべてが大事」だと言っている。だから、平行線なのだと。この「平行線」という言葉からは、美城常務の問題が未解決のままと言う印象を受ける。だが、そうすると不可解なのは最後のセリフだ。
美城「彼女たちはわれわれの平行線すらも越えていくのか?」
P「はい」
この「アイドルたちが平行線を越えていく」というテーマは、シンデレラガールズの中で初めて出てきたテーマだ。これがおそらく、美城常務問題を解決する切り札であったと推測される。では、この「アイドルたちが平行線を越えていく」とはどういう意味なのか。
[舞台裏で考えを語り合う美城常務とプロデューサー]
会話の中で、プロデューサーは、アイドルたちが「無限の可能性」を持っており、プロデューサーや美城常務が見出しているのはその1つに過ぎないと言っている。そして、その無限の可能性の中から選び出す際に大事なのはアイドルたちが「笑顔」であるかどうかであると。
これは具体的なエピソードで言えば、第20話の「凜とアーニャのクローネ入り」を指している。プロデューサーが、凜とアーニャのクローネ入りを承諾したとき、その判断基準はやはり「笑顔」であった。もし、凜とアーニャがそれを望むなら、プロデューサーは凜とアーニャが自分の手を離れることも厭わない。これはアイドルたちが平行線を越えた一つの例と言えるだろう。
これらの会話の中で、美城常務が統括重役ではなく「1人のプロデューサー」として描かれていることに注意しよう。つまり、これは常務と社員ではなく、2人のプロデューサー(要するに全てのプロデューサー)に関するストーリーだ。
「アイドルたちが平行線を越えていく」というテーマは、言い換えるなら「アイドルたちは、1人1人のプロデューサーが見出す輝きの総体として存在する」ことを意味している。それは別な言い方をするなら、プロデュースの垣根を越えてアイドルたちは存在するということだ。
美城常務がその世界の中の1人のプロデューサーとして描かれるなら、彼女を変える原動力は、この「アイドルたちが平行線を越える」というテーマの中にあるだろう。そこに幻の第25話の構想がある。
[美城常務は何を思う?]
□幻の第25話
もし、美城常務を変えるのが「アイドルが平行線を越える」というテーマならば、美城常務にとってのアイドルとは、常務がプロデュースする「プロジェクトクローネ」のメンバーたちに他ならない。
美城常務は秋のライブ以降、積極的にクローネの現場を訪れるようになった。それは彼女が常務ではなく、クローネのプロデューサーであることを自覚し始めたからだろう。その中で彼女が見てきたものは何だったのか。
[トライアドの練習に立ち会う美城常務(第23話)]
(そもそもストーリー構成上、クローネの立ち位置は弱い。ブランドの中核を担うと鳴り物入りで登場したものの、ストーリー上活躍したのはお腹が痛くなった文香と看病したありす、アーニャに話しかけた唯ぐらいだ。また、リーダー格と思しき奏にも結局役割は与えられなかった。だからこそ、クローネが美城常務の平行線を越えていくというシナリオは魅力的に映る。)
美城常務にとって、クローネは自身の方針に見合う選抜メンバーたちだ。しかし、思い返してみればクローネのメンバーたちは、美城常務自身が育てたアイドルではない。そうクローネのメンバーは、みんな「他の部署」からやってきた。
この「他の部署」の存在や、そこにいるであろうプロデューサーについては、ストーリー上ほとんど語られない。しかし、常務の白紙化宣言の後、自由な方針を失った「他の部署」の人たちが、シンデレラプロジェクトのプロデューサーが推進する「シンデレラの舞踏会」に、期待を寄せていたことは、想像に難くない。
[常務の方針に従う社員たち(第16話/第17話)]
今まで多くの社員たちが難しい顔で、美城常務に従ってきた。その問題はストーリー上では明確には解決されていないが、「シンデレラの舞踏会」への協力が社員たちにとっても1つの解答だったと見ることは出来る。そして、そのことは、煽りを受けてきた美嘉や楓、瑞樹や愛梨といったアイドルたちにとっても変わらない。
[舞踏会のOPを務める楓や瑞樹、愛梨]
「シンデレラの舞踏会」が346プロダクションに沸き起こった一大ムーブメントになろうとする中、その外側にいるクローネのメンバーたちはそれについてどう思うだろうか。メンバーの中には凜やアーニャのように舞踏会に直接参加するものもいる。また、奈緒や加蓮のように出身部署のメンバーやプロデューサーが参加することもあっただろう。
だから、そのような状況の中で、秋のライブでシンデレラプロジェクトのメンバーと感動を共有した、舞踏会に協力的な「他の部署」出身の彼女たちが、
「私たちも舞踏会に出たい」
と思うのは必然的なことだ。舞踏会には、常務の仕事を蹴った楓や夏樹も出ている。だから美城常務にとって、面白いはずがない。だが、それは美城常務にとって、凜とアーニャのクローネ入りを打診されたプロデューサーと同じ立場。アイドルが示す平行線の向こう側ということになる。(もし、それを奏が代表するなら尚良いだろう。)
[奈緒と加蓮は美嘉の部署の後輩でも、凜たちの友人でもある]
彼女たちがそう望むなら。それが美城常務が折れる骨子だったかもしれない。「彼女たちはわれわれの平行線すらも越えていくのか?」。それはクローネの参加を認める、美城常務のプロデューサーとしての言葉ではないのか。
経営的に見れば成功しそうだし、クローネが出た方が来場者が集まる。そういう重役としての打算もあったかもしれない。しかし、第25話で語られたテーマがもし美城常務の方針を変えたとすれば、クローネに所属する1人1人のアイドルたちの「願い(=笑顔)」がそれを成し遂げたと考えるべきだろう。それが「アイドルが平行線を越えていく」ということなのだから。
[シンデレラの舞踏会に賛同したシンデレラガールズと、クローネのメンバーたち]
その先にあるシンデレラの舞踏会は、部署の垣根を越えたアイドルたちの祭典であり、方針の異なるプロデューサーたちの祭典でもある。もし、これに類する美城常務のストーリーが存在したのなら、シンデレラの舞踏会はまさに346プロダクションを代表する1大イベントと言えるだろう。
プロデューサーは、舞踏会の規模拡大は各部署との連携によるものだと言った。それは美城常務に対するレジスタンスと言うより、「多くのプロデューサー」たちのプロデュースの総体であるように見える。もちろん、そこには美城常務のプロジェクトクローネも含まれる。(そして、メタに言えば、プロデューサー業を営む視聴者も含まれる。)
[舞踏会に出演する多種多様なアイドルたち]
それは「アイドルマスターシンデレラガールズ」の世界観そのものだ。美城常務を説得するのに、これほどの切り札はない。その共演こそが「アイドルマスターシンデレラガールズ」というコンテンツ(346のアイドル事業)が本来持つ「テーマ」なのだから。
[舞踏会のフィナーレを務めるシンデレラプロジェクト]
だから、第25話をニュージェネレーションズや、シンデレラプロジェクトといったプロジェクト単位のストーリーだと解釈すると見誤る。シンデレラプロジェクトが導いてきたものは、共演の舞台としての346プロダクションの再生であり、メタ的には、(私たちの)1つ1つのプロデュースがアイドルたちの輝きを作るという、「アイドルマスターシンデレラガールズ」の世界観そのものだからだ。
[そして、and you...]
実際、第25話のエピローグの中には、例の美城プロダクションのコンセプトが復活しているのが見て取れる。また、常務の専務への昇格、プロデューサーとの友好関係は、美城プロダクションの各部署が、再び自由なプロデュースを認められたことの現われだろう。
[例の標語が掲げられた346プロダクションのポスター]
そのような視点から見ると、第25話のエピローグで、シンデレラプロジェクトのメンバーたちが色々なアイドルたちと仕事をしているのは、「その後の活躍」ではなく、まだ見たことがない「多様なプロデュース」、「新たな可能性」、「新しいアイドルのカタチ」の模索を表現しているのかもしれない。
[美波、ありす、文香(左)/裕子、友紀、きらり(右)というユニット]
このような構想を補完してみると、第25話がいかに不恰好であるか分かるだろう。そこには美城常務のストーリーも、クローネのストーリーも、346プロダクションのムーブメントも、その中心となるシンデレラプロジェクトのストーリーも存在しない。だから、強度が低くなる。
緻密な構成を続けてきたシンデレラガールズへの信頼から言えば、これはやはり何らかの形で1話分のストーリーが失われたのではないかという気になる。最終話は批判を免れないと思うが、出来れば最終話そのままではなく、それらが持つテーマ性、ストーリーまで含めて楽しんで欲しい。そして、またいつか。
[See you next Cinderella Girls...]
■ストーリー詳細
(シンデレラの舞踏会当日)
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P ステージの準備が始まっている。
P(卯月たちのモノローグ)
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(舞踏会開始)
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P シンデレラガールズが先陣を切り、舞踏会が開幕する。
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(特別観覧席)
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P 今西部長が美城常務に、現場の視察をしてはどうかと助言する。
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(シンデレラプロジェクト控え室)
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P 卯月、凜、未央が喜んでいる。
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(舞台裏、廊下)
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P シンデレラプロジェクトのメンバーほかが各ステージに向かう。
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P プロデューサーがみんなに「笑顔で楽しんでください」と言う。
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(各ステージ)
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P 鈴帆、笑美、仁奈たちが会場を盛り上げている。
P 他にも裕子たちのステージなど色々なステージがある。
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L 観客たちはそれに満足している。
P 美城常務はその様子を見る。
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(舞台裏)
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P 美城常務とプロデューサーが話す。
E 美城常務はやはりプロデューサーの考えに賛同できないという。
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P(クローネも含む沢山のアイドルたちがステージに立っている)
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G プロデューサーは美城常務に、常務を含め色々な人が関わることでアイドルたちの可能性を見出すことが出来たと話す。
E 美城常務は立場は平行線のままだと言う。
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(舞台裏)
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P 加蓮、奈緒、美嘉、美穂から、凜、未央、卯月たちがステージを引き継ぐ。
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(ステージ)
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L 凜、未央、卯月がステージに立ち「流れ星キセキ」を歌う。
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(舞台裏)
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L ステージが終わり、みんなに3人は拍手で迎えられる。
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(舞台裏)
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P シンデレラプロジェクトのメンバーたちが円陣を組む。
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(ステージ)
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L シンデレラプロジェクトのメンバーたちが「M@GIC」を歌う。
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(観客席)
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G 観客に混じり美城常務がステージを見ている。今西部長がそれを見つける。
G 美城常務は「たまには城から出て星を見上げるのも悪くない」と言う。
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(エピローグ、春)
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(346プロダクション)
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P シンデレラプロジェクト2期生の準備が進んでいる。
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(ダンスレッスンルーム)
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P 美波と文香、ありすがレッスンしている。
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(撮影現場)
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P アーニャとフレデリカ、奏が撮影をしている。
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(ミニライブ会場)
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P 蘭子がステージを盛り上げている。
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(TV番組収録)
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P かな子が明るく出演している。
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(ライブリハーサル)
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P 智絵里と幸子がリハーサルをしている。
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(CM撮影)
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P 杏が仕事している。
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(生放送の後)
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P きらりと裕子、友紀が話している。
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(撮影)
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P 莉嘉と美嘉が共演して撮影している。
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(ミニライブ)
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P みりあがミニライブに出演している。
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(ミニライブ)
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P 李衣菜と夏樹がミニライブに出演している。
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(番組収録)
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P みくたちが番組収録に望む。
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(美城専務の部屋)
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P ちひろが専務に昇格した美城専務を訪れる。
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(秘密の花園、舞台初日)
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P 未央、茜、藍子が舞台に立つ。
L 未央が喜ぶ。
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(ステージ)
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P 凜、奈緒、加蓮が撮影している。
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(新曲発表会)
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P 卯月が美穂らとユニットで新曲を発表している。
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(春ライブ、シンデレラステージ)
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P シンデレラプロジェクトのメンバーたちがシンデレラガールズとして舞台に立つ。
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(おわり)
■おまけ、今週のMVP
今週のMVPは鈴帆やでええええええええええええ!!これは最高だった。輝いてるよ!電飾とか色んな意味で!
[うおっまぶし!]
でも、個人的には、やっぱり未央ちゃん。はあ、何て美しいんやろ……。
[やっぱ、ちゃんみおがNo.1やったんや!]
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