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【ストーリー解析】シドニアの騎士 第九惑星戦役 第12話「決戦」

2015/07/06 04:47 投稿

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  • 2015年春アニメ

シドニアの騎士 第九惑星戦役第12話「決戦」のストーリー解析を行う。原作未読。→前回
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■評価
★★★ ストロング/ミスマッチング


[ニコニコ本編]http://www.nicovideo.jp/watch/1435559128

■総評
第12話(最終話)は、紅天蛾の撃破とエピローグ。テーマ性豊かな前半に比べ、後半はややとってつけたような展開になっており、前半と後半には強度の差がある。大きなストーリーとしては未完の点が多く、ストーリー上は最終話である必然性がない。満足の行く人も、行かない人もいると思うが、真の完結は第3期以降に持越しである。

■基本情報
原作 - 弐瓶勉(講談社「月刊アフタヌーン」連載)
監督 - 瀬下寛之
シリーズ構成 - 村井さだゆき
脚本 - 村井さだゆき、村越繁、山田哲弥
アニメーション制作 - ポリゴン・ピクチュアズ
→Wikipedia

■登場人物
[主人公たち]
  谷風 長道(たにかぜ ながて) - 逢坂良太
  科戸瀬 イザナ(しなとせ イザナ) - 豊崎愛生
  緑川 纈(みどりかわ ゆはた) - 金元寿子
  仄 焔/煉(ほのか えん/れん) - 喜多村英梨
  白羽衣 つむぎ(しらうい つむぎ) - 洲崎綾
  紅天蛾(べにすずめ) - 洲崎綾
[シドニア幹部]
  小林(こばやし) - 大原さやか
  落合(おちあい) - 子安武人
[岐神開発]
  岐神 海苔夫(くなと のりお) - 櫻井孝宏
  岐神 海蘊(くなと もずく) - 佐倉綾音
[東亜重工]
  丹波 新輔(たんば しんすけ) - 阪脩
  佐々木(ささき) - 本田貴子
[寮母]
  ヒ山 ララァ(ひやま ララァ) - 新井里美
[衛人操縦士]
  サマリ・イッタン - 田中敦子
  弦打 攻市(つるうち こういち) - 鳥海浩輔
  勢威 一郎(せいい いちろう) - 坪井智浩

■ドライバー分析
第12話(最終話)のメインドライバーは

1.長道たちが紅天蛾を倒す(E-G)
2.紅天蛾が長道に好意を寄せる(L-F)
3.衛人隊が長道たちをガウナの大群から助ける(E-G)

である。また、その他のドライバーとして

4.惑星ナインの制圧が完了する(G)
5.長道が里帰りし、ヒロキに勲章授与を報告する(P)

などがある。
第12話(最終話)は、紅天蛾の撃破とシドニアへの帰還。ストーリーは比較的速やかに収束し、後半はエピローグになっている。ただし、「シドニアの騎士」という全体のストーリーから言えば、多くの未解決問題が残っている。

第12話自体の構成、未解決問題についてそれぞれ分析してみよう。

まず、第12話のストーリー前半は、紅天蛾や残存ガウナを撃破するという内容。一応、ストーリーの結末は、増援部隊がガウナを撃破する(長道たちが救出される)ということになるが、ガウナ側の反撃がないため、展開としてはあっさりとしている。

[救援に駆けつけた衛人隊]

そのため前半のストーリーの急所は、その前の「紅天蛾の撃破」と言えるだろう。紅天蛾の撃破には、戦闘的側面だけでなく、恋愛的側面があり、その強度は高い。

紅天蛾のエナ(以降、紅星白)のとった怪奇な求愛行動は、それが単なる攻撃ではないことを示している。長道たちの行動は、基本的にガウナの脅威に対抗するものだが、紅星白の行動は必ずしも危害を加えるためのものではない。(もっと簡単に長道を殺す方法はあるのだから。また、「コミュニケーションのとり方が分からないだけ」という星白の発言ともつながる。)

[花開く紅天蛾の求愛行動]

(イザナの行動も、基本的には長道の生命を救うためのもので、恋愛的な行動とは言えない。一方で紅天蛾には、モニターに移るイザナの姿をさえぎるような演出がされ、それが恋愛的なものとして描かれている。)

恋愛物語としてみれば、紅天蛾はただ長道を求めてコクピットに浸入してきたのかもしれず、それが単純に排除の対象とは言えない。

長道は、せまる紅天蛾に対し「星白の真似をするな」と拒絶しようとした。しかし、長道は過去に「もし、ガウナが元の人間の人格や記憶も再現したら、元の人間との違いは何か?」とヌミに問うたこともある。もし、紅天蛾がエナ星白のように平和的な存在なら、姿を真似すること自体が悪とは思えない。

[長道とエナ星白(第1期第9話)]

長道が必ずしも、紅星白を嫌ってはいないことは、長道のためらいの表情からも分かる。長道のためらいは、紅星白どんな形であれ星白の姿をしたものを倒すことへのためらいだろう。

[本体から切断され悲しむ紅星白と、その表情を見る長道]

だが紅天蛾の行動には、常に攻撃性が伴い、それが長道に反撃を決断させている。もし、長道が紅天蛾に首を絞められ、呼吸停止になることがなければ、問題は生じなかったかもしれない。また、長道には傷ついたつむぎを助けるという使命もある。

[傷ついたつむぎを助ける長道]

長道の行動から分かることは、長道の価値判断の中で、「仲間を守る(シドニアの人々を守る)こと」が最も上位であるということだ。紅天蛾が星白の姿形を真似たとしても、恋愛的価値観が、「シドニアの騎士」としての価値観を越えることはない。

[イザナの安否を心配するつむぎと、つむぎに感謝するイザナ]

紅天蛾の撃破は、第1期の終幕と同じく、紅天蛾の持つ攻撃性と長道の価値観の違いがもたらす帰結と言えるだろう。

ストーリー後半のエピローグが、勲章を授与された長道がヒロキに報告に向かうという展開であることは、「シドニアの騎士」というテーマとしては、一応の整合性がある。エピローグは、第1期の開始を振り返り、「長道がシドニアの騎士になる(L-L)」というまとめ方になっている。

[八騎掌位勲章を授与される長道]

(エピローグの中で、ヒ山が小林に「長道を利用するのはやめろ」というシーンのあたりも、一方で「長道を利用する小林」という構図があることを強調し、テーマを補強している。)

最終回に、衛人隊の総攻撃(みんなで力を合わせて)や、原点回帰が盛り込まれたことは構成として理解可能だ。(セリフはちょっとわざとらしい。)

[長道を育てた斎藤ヒロキ]

ただ、後半の流れには違和感もある。なぜなら、「シドニアの騎士」というテーマは、第2期での扱いが決して大きくなかったからだ。もしかすると、アニメ制作上はっきりと答えを出せない事情があるのかもしれないが、恋愛的ストーリーに関しては、何の解決も、完結も与えられてはいない。

千秋郷のエピソードは、長道とイザナを結びつけ、つむぎとの不和を与えた。長道やイザナ、つむぎが乗り越えるべきなのは、惑星ナインの制圧という戦術的ミッションではない。

紅天蛾の存在は、3人にとっての試練であり、過去からの刺客だ。本編では長道、星白、イザナ、つむぎについて、

・長道が裸の紅星白(紅天蛾のエナ)に動揺する
・つむぎが長道にお姫様だっこされて照れる
・イザナが長道が裸の紅星白を抱える姿に怒る

といったシーンが描かれているが、これらはラブコメ的な一幕に過ぎない。


[3人のヒロインを抱えるてんこ盛りエンド]

ヒロインの魅力は必ずしも、恋人としての魅力だけではない。第2期を通じての「成長」はもっと深い部分に存在し、エピローグではそのことに触れる必要があったように思う。もしエピローグで、

・長道とイザナの相互の気持ち
・長道に対するつむぎの気持ち(あるいは長道からのフォロー)

が描かれたなら、それは恋愛的ストーリーとしても一定の完結をしていただろう。残念ながら、エピローグでの長道の目は紅星白に向いており、以降も長道とイザナ、つむぎの関係が描かれることはなかった。(つむぎは登場すらしない。)

[落合に紅星白について尋ねる長道]

切なさと儚さを兼ね備えた星白、恋人として長道を支えるイザナ、長道と倫理観を共有するつむぎ。各ヒロインは、競合するものではなく、それぞれにテーマを持っている。ストーリー分析的に言えば、千秋郷の夜、つむぎが見せた切なさや、長道とイザナに何があったかは未完のままだ。(エピローグ全体が未完の構成といえる。)

[千秋郷の日のつむぎと長道、イザナ]

第2期を1つのシリーズとして見たとき、エピローグに求められるのは、3人と長道の魅力的な関係性であり、孤独な「シドニアの騎士エンド」ではないだろう。今回のエピローグは第2期との整合性が低く、やや挿入的だ。

[長道の帰るべき日常はどこ?]

もし、エピローグが第2期の出来事に着地するものであったなら、ストーリーの強度はもっと高かっただろう。前半と後半にはテーマ性の面で強度の差があり、シドニアの騎士エンドの選択はミスマッチに思える。

今回区切りのつかなかった心理的ストーリーについては、第3期以降の展開を待つ他ない。原作の準備率は良く分からないが、第3期が待たれる。

■補足:残されたストーリー要素についてのまとめ

第2期は多くのことが未完であり、ストーリーは半ばである。特に明らかなものを第3期のためにまとめておく。

①大シュガフ船との戦争
まず1つ目は、大シュガフ船との戦争。また、それに用いる重力子線射出装置もまだ未完成である。惑星セブンの入植者たちが、襲われた件についても続報はなく、ほとんどのことが手付かずだ。大シュガフ船との戦闘がどのようなものになるのかには期待感がある。

②落合の野望
落合が準備している融合個体らしきものについても未完のままだ。落合は「究極の生命への転生」が夢であると語っており、それが実現する日は近い。大シュガフ船との戦争を考えると、戦力になる可能性もあるだろう。しかし、落合は人間を下等な生物とみなしており、シドニアにとって脅威となる可能性は高い。

[ドーモ、シチョウシャ=サン。オチアイデス。]

落合は小林に対し「時間を稼いでくれ」とつぶやいていたこともあり、転生が実現すれば小林は用済みともとれる。

また、落合は海苔夫や海蘊、ヌミの体を乗っ取っている罪があり、それらが発覚しないままストーリーが終わるとは考えにくい。今は友好的な態度をとっている落合だが、どこかで転機が訪れるだろう。

③ガウナの秘密、カビの秘密
「シドニアの騎士」の最も大きな謎はガウナの性質に関するものだ。それは星白の持つ「ガウナと人間の対話」というテーマにも関係するもので、最終的なエンディングを飾ることになるだろう。エナ星白と紅星白という2人の星白の行く末も気になる。

[内容物・エナ]

なぜガウナは星白(人間)を模写したのか、ガウナは何を求めているのか。人工物と思われる施設に存在したカビとは何なのか。ガウナに関する謎は、ガウナを殲滅しようとしている今のシドニアの方針とは対立するため、今後もストーリーに影響をもたらすだろう。

最終的に、長道はガウナの秘密を通じて、星白との関係を完結させることが出来るだろう。

④100年前の事件について
100年前の第四次ガウナ防衛戦で何があったかは、まだ詳細に語られていない。これらのことは、ストーリーを下支えする要素として健在だ。小林とヒロキの対立、落合が何をしたのかなど、シドニアの闇とも言うべき過去の出来事は、長道と小林の関係にもつながる。
ガウナを殲滅しようとする小林の思想は、いずれ平和主義の主人公たちとは対立するだろう。

[カパァ……(特に意味はない、わけではない)]

他細かいことについては、

⑤落合の研究室にいた小さな騎士は何か?
⑥市ヶ谷総一郎とは誰か?
⑦星白の体には秘密が?
⑧星白が衛人操縦士を目指した理由とは?

などが残っている。大きな問題はほぼすべて解決していないので、今後解決されていくものと思われる。

■最後は、やっぱり司令補でお別れ
纈ちゃんもお疲れサマー。すっかり司令補が板につきましたね。

[パッドは東亜重工!(ドヤァ……)]

■ストーリー詳細

(第11話回想)

(惑星ナイン)

E 継衛改二が紅天蛾に襲われる。
L そして、星白の形をしたエナが操縦席に現れる。

(回想終わり)

E(L)星白の形をしたエナが長道のヘルメットを脱がして首を絞める。
GE イザナが継衛の頭部を切り離すしかないと提案するが、長道は呼吸困難になる。

L 星白の形をしたエナが触手を伸ばし、長道に口づけする。

G イザナが継衛の操作系統にアクセスし、継衛の頭部を切り離す。

F 星白の形をしたエナは経路が切断され、涙を浮かべる。
G 長道は、躊躇いながらも紅天蛾の本体を人工カビ刀で突き刺し破壊する。

(紅天蛾撃破後)

G 長道は傷ついたつむぎの元に向かう。

E つむぎを助け出した長道だが、そこに大量のガウナが迫る。

G 絶体絶命に思われたが、そこに衛人隊が到着し、衛星軌道から火力支援を始める。

(回想、司令室)

P 纈が小林に長道たちを囮にしたガウナの掃討作戦を具申する。

(回想終わり)

G 次々と到着した衛人隊はガウナをすべて撃破する。

(惑星ナイン)

L つむぎとイザナは喜びを分かち合う。

L 長道は継衛の腕にはつむぎ、操縦室には星白の形をしたエナ、継衛内部にはイザナを抱えて帰還する。

(惑星ナイン、衛星軌道)

P 長道たちは衛人隊と合流し、シドニアへと帰還する。

(格納庫)

P 長道は回収されるエナ星白のコンテナを見つめる。

(後日、惑星ナイン軌道上)

P シドニアが惑星ナイン衛星軌道上に到着する。

(岐神開発)

E 落合は新しい融合個体(?)を見ながら、「究極の生命への転生が実現する」と喜ぶ。

(祝賀会)

P 長道は小林から八騎掌位勲章を授与される。

P お祝いムードの中、落合が現れる。
L 長道は落合に回収したエナの星白について尋ねる。
E 落合は「大切に補完されている」「大事なものには予備が必要」と意味深に答える。

(通路)

P ヒ山が小林に、「これ以上、長道を利用するのはやめて」と言いに来る。
P 小林は長い戦争を戦うには英雄が必要だと答える。

(精米工場)

P 長道が精米工場を通って、昔住んでいた地下に向かう。
P 途中で米をもらう。

(地下)

L 長道は勲章を手に、ヒロキのことを思い出す。

P 長道に出撃指令がある。

(格納庫)

P 衛人隊が出撃する。

(エンディング、今までの回想)

(回想、地下)

P 長道は勲章を地下に置いていく。

(おわり)※第3期に続くと思われる

→前回
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