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【ストーリー解析】シドニアの騎士 第九惑星戦役第11話「邂逅」

2015/06/26 07:50 投稿

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シドニアの騎士 第九惑星戦役第11話「邂逅」のストーリー解析を行う。原作未読。→前回
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■評価
★★★ スタンダード


[ニコニコ本編]http://www.nicovideo.jp/watch/1434942682

■総評
第11話は、イザナの救出と紅天蛾戦。ストーリー展開はスタンダードで、結末は最終回に持ち越された。ストーリーの背景には、長道とイザナ、長道と星白という2つの大きなストーリーが存在し、それがストーリーの魅力を高めている。いざ、最終回へ。

■基本情報
原作 - 弐瓶勉(講談社「月刊アフタヌーン」連載)
監督 - 瀬下寛之
シリーズ構成 - 村井さだゆき
脚本 - 山田哲弥
アニメーション制作 - ポリゴン・ピクチュアズ
→Wikipedia

■登場人物
[主人公たち]
  谷風 長道(たにかぜ ながて) - 逢坂良太
  科戸瀬 イザナ(しなとせ イザナ) - 豊崎愛生
  緑川 纈(みどりかわ ゆはた) - 金元寿子
  白羽衣 つむぎ(しらうい つむぎ) - 洲崎綾
[岐神開発]
  岐神 海苔夫(くなと のりお) - 櫻井孝宏
  岐神 海蘊(くなと もずく) - 佐倉綾音
[東亜重工]
  丹波 新輔(たんば しんすけ) - 阪脩
  佐々木(ささき) - 本田貴子
[ガウナ]
  紅天蛾(べにすずめ) - 洲崎綾

■ドライバー分析
第11話のメインドライバーは次の2つ。

1.長道がガウナに襲われながらも、イザナを救出する(E-G)
2.つむぎが紅天蛾に倒されかけ、長道が窮地から救う(E-G-E-G)

そして、次回に続くドライバーとして、

3.継衛改二に紅天蛾が侵入し、長道の前にエナの星白が現れる(E、L)

がある。
第11話は、イザナの救出劇と紅天蛾との戦闘。最終的に、紅天蛾が継衛改二に侵入し、長道-星白ラインのストーリーが復活した。第11話の多くの部分は戦闘に関するものなので、表層のストーリーは比較的単純だ。先に、戦闘に関する時系列をまとめると、

(1)つむぎと紅天蛾が交戦する(E-G)

(2)イザナたちがガウナに襲われる(E)

(3)長道がイザナたちを助ける(G)

(4)長道が追っ手のガウナを辛うじて撃破する(E-G)

(5)つむぎが紅天蛾を圧倒するが、逆にエネルギーを吸われて窮地に陥る(E)

(6)長道がつむぎを助ける(G)

(7)継衛改二に紅天蛾が侵入する(E)

となる。イザナの救出劇も、紅天蛾との戦闘も一筋縄ではいかない展開で、ストーリーとしては標準的だ。(隊長がうっとうしい感じがするが、何らかの伏線か?)

ただ、これらの背景には、第1期から続く2つの大きなストーリーが存在し、それらが衝突する形で第11話は牽引されている。両者の試金石となるつむぎの役割にも注意しながら、ストーリーを分析していこう。

1つ目の大きなストーリーは、「長道とイザナ」に関するストーリーだ。これは第11話の中では、「長道がイザナを救う(E-G)」という形で表れている。ただし、これが単に「偵察隊を救う(E-G)」という意味だけではなく、「恋人を救う(F-L)」という恋愛ストーリーであることは言うまでもないだろう。

[助けに来た長道(継衛)を見て涙を流すイザナ]

第1期を振り返ると、イザナのアプローチはたびたび気がついてもらえず、片思いの状態(L-F)が続いた。しかし、次第に長道にとってもその存在は大きくなり、第2期第9話で終に両想い(L-L)になった。

第九惑星戦役は、その完成された両想いを前提とし、それが物理的に脅かされる展開だと言える(L-F-L-L-E)。

この展開は、つむぎの行動を見ても良く分かる。つむぎと紅天蛾は容姿が似ているので、両者の対決は一見、新旧ヒロイン対決やキャットファイトのように見えてしまうかもしれない。しかし、つむぎが戦う目的は、つむぎと紅天蛾の関係にあるというよりは、千秋郷で目撃した長道とイザナの想いを守ることにある。

[長道にイザナを助けに行くよう促す第11話のつむぎ(左)と、2人の気持ちを知ってしまった第9話のつむぎ(右)]

つむぎの助力によって脅威が取り除かれ、結ばれるべき2人が結ばれる。それが長道とイザナに関するストーリーのハッピーエンドだ。

だが、ストーリーはそう単純ではなく、第11話には、それと真っ向から衝突する2つ目のストーリーが存在する。

2つ目の大きなストーリーは、「長道と星白」に関するストーリーだ。長道と星白の関係もまた、シドニアの騎士を代表するテーマの1つであり、第1期から継続して描かれている。

長道と星白の恋愛物語は、初期からストーリーの後押しを受け一直線に進み、第1期第5話の漂流を経て両想いに至った(L-L)。しかし、その直後、星白の戦死によって、悲劇の結末を迎えることになる(F)。(傍らにいることで、時間をかけて愛を育てたイザナとは対照的だ。)

死によって完結した星白との恋は、長道にとって永遠の悲劇であり、決してその結末が変わることはない。しかし、もし星白が、形を変えて生き続けていたなら……。エナ星白と紅天蛾は、悲劇に終わったはずの恋物語に、あるはずのない続きを生み出していた。

[より人間に近い容姿で現れた紅天蛾]

特に気になるのは、ラストシーンの紅天蛾のインターフェースらしきエナ(シドニアのエナ星白とは別物)が、長道の操縦席に現れているシーンだ。それが何を意味するのかははっきりしないが、これは紅天蛾から長道へのアプローチ(好意であるかは謎)であるように見える。

[継衛改二の操縦席に現れた紅天蛾(のエナ)]

ストーリー分析的には、紅天蛾の行動は長道への愛情表現(L)に分類することができる。その場合、長道に与えられた選択肢は、それを受け入れるか(L)、拒絶するか(F)だ。

紅天蛾は星白ではない。だから、もし長道が紅天蛾の行動に応えたとしても、厳密には星白との恋を取り戻すことは出来ない。

しかし、それは長道と星白の叶わなかった恋を補完する、擬似的なハッピーエンドを与えるだろう(L-L-FにL-Lが追加される)。(実際、第1期の後半で、長道とエナ星白の恋愛物語は正ヒロインルートとして描かれた。)

逆に、もしそれを拒絶するなら、長道と星白の関係は、もう一度悲しい結末を迎えることになる。だから、基本的には、長道が形を変えて現れた星白を拒絶する理由はない。

これらの2つのストーリーは、シドニアの騎士を代表する2人のヒロインに関するストーリーであり、出来ることなら、両者がハッピーエンドになれば一番良いだろう。

[イザナと星白。かわいい]

だが、それらが恋愛として描かれる限り、それらが両立することはない。第11話の中で、2つのストーリーは衝突し、どちらか1つの結末に向かっている。そこで鍵になるのが、紅天蛾に描かれた「悪性」である。

第11話における、2つのストーリーを比較したとき、両者の間でつむぎの扱いが全く異なることに気がつくであろう。

長道とイザナに関するストーリーにおいて、つむぎは非常に献身的な働きをしている。しかし、長道と星白に関するストーリーでは、逆に、紅天蛾がつむぎに対し、不意をついてエネルギーを奪い、残忍な攻撃を加えて致命傷を与えようとしている。これらのシーンは紅天蛾の悪性を強調するシーンであると言えるだろう。

[つむぎを攻撃する紅天蛾]

つまり、長道とイザナ、長道と星白という2つのストーリーの衝突は、恋愛物語としてではなく、「悪を倒す」という別の原動力によって決着する。(それは同時に、長道が星白との恋において、悲しい結末を受け入れなければならないことを意味する。)

もし、紅天蛾がエナ星白のように友好的で、つむぎのように人間の気持ちを理解する存在だったなら、2つのストーリーに優劣をつけるのは困難だっただろう。

紅天蛾の悪性は、そのアプローチに「乗ってはいけない誘惑」という属性を与え、長道を結末へと導いている。操縦席への侵食が、艶かしく不気味に描かれているのも、それが健全なものではないことを示す演出であると言えるだろう。

[健全な裸(右)とそうでない裸(左)]

振り返ると、第1期最終話においても、長道が紅天蛾を倒す原動力となったのは、恋愛ではなく、イザナや仲間を守りたい、あるいは烽の仇をとるという「シドニアの騎士」としての使命だった。

長道がシドニアの騎士として、正しい価値観の元にあることは、星白の死(星白との恋愛物語の終わり)が揺らがないことも意味する。長道と星白に関するストーリーは、恋愛の復活という偽エンドではなく、星白のもう1つのテーマ、「ガウナとの対話」に関係する真のハッピーエンドに向かっているのだろう。

それが訪れるのは、まだ先になりそうだが、イザナの救出と紅天蛾の誘惑は、長道と星白の恋愛に1つの終止符を打ちそうだ。

■残された謎

①紅天蛾の体はどうなっているのか?
②落合とつむぎはどうやって通信しているのか?
③落合の研究室にいた小さな騎士は何か?
④落合はなぜ100年前、極端な行動に出たのか?
⑤ガウナとはどういう生物なのか?
⑥カビとは何か?
⑦市ヶ谷総一郎とは誰か?
⑧星白の体には秘密が?
⑨星白が衛人操縦士を目指した理由とは?
⑩有機転換炉には秘密が?

■おまけ、今週のつむぎちゃん
海蘊「性能はつむぎの方が上ですわ^^」
海苔夫「どちらが究極の生命に近い存在か思い知らせてやれ^^」

[あの、それフラグです~(泣)]

■ストーリー詳細

(第10話回想)

(惑星ナイン)

E 偵察隊を救出するため惑星ナインに向かった長道とつむぎは、突如紅天蛾に襲われる。

(回想終わり)

G つむぎが紅天蛾の相手を買って出る。
G 長道はイザナの捜索へと向かう。

(惑星ナイン地表)

E イザナと隊長は、隼風の装甲を使い地表に不時着している。
E 隊長が不用意に歩き回り、2人は人型ガウナに遭遇してしまう。 

(上空)

G つむぎが紅天蛾と戦っている。

(地表)

E イザナと隊長が人型ガウナに追い回される。
E さらにガウナの群れまでやってくる。

G そこに間一髪で長道が現れ、2人を救出する。

E しかし、大量のガウナに追われることに。

(司令室)

P 長道と通信が回復し、現状を確認する。

(地表)

E 継衛改二がガウナにつかまり、地表に墜落する。
E さらに大量のガウナが迫る。

G 長道が弾体加速装置で大半のガウナを打ち落とす。

E しかし、弾切れになる。

G 残り3体のガウナを人工カビ刀で切り裂く。

(東亜重工)

P 佐々木たちが人工カビ刀のデータを収集する。

(上空)

G つむぎと紅天蛾が交戦中。能力はつむぎの方が上で、紅天蛾を追い詰める。

G 紅天蛾はほぼ大破し、つむぎは止めを刺しに向かう。

(地上)

E しかし、そこでつむぎは本体と別に人間のようなエナ部分を目撃する。

E 紅天蛾はつむぎの意表をつき、エナの槍でつむぎを突き刺す。
E つむぎは紅天蛾によってエネルギーを吸い取られる。

GE つむぎが槍を切り払い逃れるが、紅天蛾はつむぎが持っていたエネルギーの3倍以上を有している。

E つむぎは一気に劣勢に立たされ、瀕死の状態になる。

G だが、そこに長道が現れ、紅天蛾に攻撃を仕掛ける。

E 継衛改二は、紅天蛾のヘイグス粒子砲によりメインモニターを破壊される。
E さらに、紅天蛾に羽交い絞めにされ、機体がエナ に侵食される。

G 長道は胸部滑腔砲を放ち、紅天蛾の腹部を破壊し本体を露出させる。

E だが、エナの侵食は早く、操縦室内にまで侵食される。
L そして、そこに星白の体をしたエナが現れる。

(つづく)

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