ストーリー解析ブロマガ

【ストーリー解析】シドニアの騎士 第九惑星戦役 第9話「任務」

2015/06/13 20:38 投稿

  • タグ:
  • ストーリー解析
  • シドニアの騎士
  • アニメ
  • 2015年春アニメ

シドニアの騎士 第九惑星戦役第9話「任務」のストーリー解析を行う。原作未読。→前回
→次回
記事一覧

■評価
★★★ テクニカル、ストロング


[ニコニコ本編]http://www.nicovideo.jp/watch/1433751392

■総評
第9話はラブコメ編の完結と、それを踏まえての待望のシリアス展開。ラブコメにも、シリアス展開にも身を乗り出す、良い構成である。ストーリーは前後半でうまく結合されており、恋愛+戦闘というシドニアの本来のコンビネーションが戻ってきた。面白い。

■基本情報
原作 - 弐瓶勉(講談社「月刊アフタヌーン」連載)
監督 - 瀬下寛之
シリーズ構成 - 村井さだゆき
脚本 - 村越繁
アニメーション制作 - ポリゴン・ピクチュアズ
→Wikipedia

■登場人物
[主人公たち]
  谷風 長道(たにかぜ ながて) - 逢坂良太
  科戸瀬 イザナ(しなとせ イザナ) - 豊崎愛生
  緑川 纈(みどりかわ ゆはた) - 金元寿子
  白羽衣 つむぎ(しらうい つむぎ) - 洲崎綾
[シドニア幹部]
  小林(こばやし) - 大原さやか
  落合(おちあい) - 子安武人
  科戸瀬 ユレ(しなとせ ユレ) - 能登麻美子
[岐神開発]
  岐神 海苔夫(くなと のりお) - 櫻井孝宏
  岐神 海蘊(くなと もずく) - 佐倉綾音
[東亜重工]
  丹波 新輔(たんば しんすけ) - 阪脩
  佐々木(ささき) - 本田貴子
[寮母]
  ヒ山 ララァ(ひやま ララァ) - 新井里美
[衛人操縦士]
  サマリ・イッタン - 田中敦子
  弦打 攻市(つるうち こういち) - 鳥海浩輔
  勢威 一郎(せいい いちろう) - 坪井智浩

■ドライバー分析
第9話のメインドライバーは次の2つ。

1.長道とイザナが千秋郷で一泊過ごし、親密になる(L-F-(L)、E-G)
2.イザナが惑星ナインの偵察任務に出撃し、ガウナと遭遇する(E)

また、サブドライバーとして、

3.つむぎが長道とイザナの関係を垣間見てしまう(L-F-(L))

などがある。
第9話では、これまで続いてきた長道とイザナの関係がひとつの到達点に至る。また、後半からは一転して深刻な局面に突入し、思わず身を乗り出してしまう緊張感のある展開となる。全体を通して、ストーリーのバランスは非常に良い。前後半のストーリーを詳しく見ていこう。

第9話の前半のストーリーにとって重要なのは、2つの結論(結末)が与えられたことだ。

ひとつは、「長道とイザナは両思いである(L-L)」ということ。もうひとつは、「つむぎは、影ながら失恋した(L-F)」ということだ。

ストーリー前半では、イザナがメインヒロインとして王道を行き、つむぎはどちらかというとコミカル要員のような印象を受ける。しかし、その実態は、相補的なラブストーリーであると言えよう。

第9話までの流れを、ラブストーリーとして見たとき、キーになるのは、イザナやつむぎではなく、2人に対する長道の接し方だった。

長道は千秋郷の任務に当たる際、それをあくまで任務であるといって、イザナに対する気持ちを表そうとはしていない。この傾向は、イザナが女性化してから特に顕著だ。表面的に言えば、「長道は首を爆破されたくないので、仕方なく従っていた」と捉えることも出来るだろう。

[首に爆弾(物理)を抱えているとされる長道]

しかし、その後の流れを追っていくと、長道の表面上の態度は必ずしも、長道の心の内をそのまま表してはいなかったように見える。

例えば、イザナを千秋郷に誘った際にうっかりイザナに触れたときや、イザナの手を握り返したシーンで長道は頬を染めている。これは、長道がイザナのことを意識していた証拠だろう。

[イザナの手を握り返す長道]

イザナは、長道のそんな態度を見て、「長道が自分の意思で、自分を誘ってくれた(L)」と考えていたのかもしれない。しかし、そんな気持ちは一旦、裏切られることになる。

正確に言えば、長道はイザナに嘘をついていたわけではないし、千秋郷の任務は、ユレの命令を従った結果と言える。しかし、それがイザナにとって、大きな期待を抱かせたことは事実だ。

[つながれていた余韻を残すイザナの手]

イザナは任務がユレの指示であることを知って怒った。それは、「長道が自分の意思で誘ってくれたと思っていたのに、そうではなかった(と思った)」からだ。(それ以前にも、長道のはぐらかすような態度にイザナは怒っている。)

長道はどちらかというと奥手で、今までも別の動機や、偶然の力によって恋愛を進めてきた。客観的に言えば、星白のときもそうだ。長道は星白を漂流から救ったが、自らデートに誘ったりはしなかった。

(実は、第1期第6話で、偶然回遊船に閉じ込められたときにも、長道が星白の手を強く握り締めてしまうシーンがある。強く手を握るのは、長道の自然な愛情表現のひとつと言えるだろう。長道が、イザナの生身の左手ではなく、義手の右手だったのは幸いだった。また、星白はその直後の召集任務で命を落としている

[星白の手を強く握りすぎてしまった長道(第1期第6話)]

長道は、今までおそらく気恥ずかしさのために、あるいは恋愛に臆病になっているために、自分の気持ちを表に出さず、答えを先延ばしにしてきた。しかし、そうすることが時に、相手を傷つけてしまうことがあるとは思っていなかったかもしれない。

長道を本気にさせたのは、怒ったと思っていたイザナが涙を浮かべていたことだ。あくまで任務という枠の中で行動してきた長道だが、そこで初めて、自分がイザナを傷つけてしまったことを知る。

[涙を浮かべていたイザナ]

そこで長道がどう応えたかは、まだ明らかではないが、それがイザナにとって幸福なものであったのは間違いないだろう。千秋郷から帰った2人の態度は、両者が気持ちを確かめあったことを良く表している。

[これはやってますね……(断言)]

このように、イザナ側のストーリーは、誤解をきっかけに、長道の隠されていた気持ちが明白になる、「雨降って地固まる」のハッピーエンドを迎える。

さて、後半のストーリーに入る前に、もうひとつのラブストーリーであるつむぎにつても分析しておかねばなるまい。

長道とイザナのラブストーリーが、長道の気持ちの表裏に根ざすストーリーだとすれば、長道とつむぎのラブストーリーは、ちょうどその逆になっている。

今まで長道はつむぎに対して、一緒に寝たり、掌位をしたり、落ち込んでいるところを励ましたり、とにかく優しかった。それは幼いつむぎが恋をするのに、十分な出来事だったと言えるだろう。

[表情を読まれて、恥ずかしがるつむぎ(第8話)]

しかし、それは決して長道の恋心に裏打ちされたものではなかった。つむぎは、まだ優しさと恋愛としての好意の区別がついておらず、本当の意味での「恋」を知らなかった。

つむぎが弦打を引き回したり、定期保守点検でヤキモキしていたのは、つむぎにとって、初めての恋の苛立ちだっただろう。(弦打ドンマイ!)

長道は優しくて、全てのことに応えてくれる。そんな期待がつむぎにはあったのかもしれない。しかし、千秋郷でつむぎが目の当たりにしたのは、つむぎが知らない長道の一面、イザナに対する本気の態度だった。

[長道の気持ちを聞いてしまった罪悪感にかられるつむぎ]

それはつむぎに、人には普段は語らない気持ちや、「恋」や「失恋」があるのだと、気がつかせただろう。そして、自分に対する長道の優しさが、恋愛の類ではないということも。

「もし、自分が人間(の女の子)だったら」。それは「自分は長道の恋人ではない」と自覚していなければ、発せられることはない疑問だ。

ただし、ポジティブな見方をするなら、このエピソードはつむぎの成長譚とも言えるだろう。つむぎは、最初のころ「人間のことをもっと知りたい」と言っていた。つむぎはまだ幼い、それゆえにこれからも成長を続けてくれるだろう。(最終的には、それが何かの鍵になるかもしれない。)

[窓の外を見るつむぎと纈]

こうして、長道の優しさに恋したつむぎと、長道に本当の恋を求めたイザナのストーリーは同時に結末を迎える。

さて、このような2つの結末を持つラブストーリーは、第9話の後半で、恋愛の流れを汲みながら、再びシリアスな方向へと進展する。

ストーリー後半で、イザナが惑星ナインの偵察任務に選ばれたことは必然的だ。なぜなら、イザナは今最も失いたくない存在だからだ。(仮に、偵察任務がモブ操縦士によって行われたならストーリーはもっと間の抜けたものになってしまっただろう。)

エモーショナルラインを見ると、イザナに関するストーリーはポジティブからネガティブへ、つむぎに関するストーリーはネガティブからポジティブへ遷移している。

[惑星ナインの偵察任務に選ばれたイザナ]

(余談だが、イザナの新型レーダーの能力を考えれば、イザナの選任は適切で、操縦士が辞める件は必ずしも必要なかっただろう。)

イザナの出撃を長道が心配するのはもちろんのことだが、つむぎに関するストーリーも面白い。団欒の場では、今までと同じく陽気なつむぎだが、失恋が尾を引いていないはずは無い。それに対して、後半のストーリーは、恋愛そのもののフォローではなく、イザナを心配することを通じて長道とつむぎが手を取るという包括的な解決を与えている。

[イザナの心配をするつむぎの手を取る長道]

これによって、つむぎは元の家族、仲間の立ち位置に戻り、ストーリーは恋愛から、イザナが生きるか死ぬかの局面に集中される。それゆえにストーリー後半は、必然的に起こる危機を前に非常に緊張感が高い。隼風のドッキングにも冷や汗をかいた。

[案の定現れたガウナと、偵察任務に投入された隼風]

第9話の後半は、イザナとつむぎの流れをしっかり引き継いでおり、良い展開である。

また、ストーリーには新型の融合固体(?)の開発をすすめる落合という新たな問題もあり、シドニアの騎士のストーリーはラブコメ編を終えて、再び問題の発生によって牽引されるスリリングな展開に入っている。目が離せない。

[新しい融合個体(?)の開発を進める落合]

■残された謎

①落合とつむぎはどうやって通信しているのか?
②落合の研究室にいた小さな騎士は何か?
③落合はなぜ100年前、極端な行動に出たのか?
④ガウナとはどういう生物なのか?
⑤カビとは何か?
⑥市ヶ谷総一郎とは誰か?
⑦星白の体には秘密が?
⑧星白が衛人操縦士を目指した理由とは?
⑨有機転換炉には秘密が?

■おまけ
今週のベストショットは、やっぱりこれですね。
<ぐぬぬ。
[あれ、第9話を見ている俺かな?(笑)]

■ストーリー詳細

(第8話回想)

L ユレに命令され、長道がイザナを誘い千秋郷を訪れる。

(回想終わり)

(岐神開発研究施設跡)

P 外壁の修復作業が進められている。

P 長道とイザナは休みで、弦打がつむぎに声をかける。 
P それがつむぎの怒りを買い、弦打が掌位で引き回される。

(千秋郷)

L いい雰囲気になりかけたイザナと長道が千秋郷を巡る。
E イザナは長道が任務の「フリ」をしていると思っている。

(つむぎの部屋)

P つむぎと纈が千秋郷に潜入する計画を立てている。
P しかし、海蘊がつむぎを定期保守点検に迎えに来る。

(千秋郷、風呂付宿泊施設)

P 長道が宿泊施設や防護扉をチェックする。

(つむぎの保守点検層)

P つむぎが中々終わらない保守点検にヤキモキしている。

(千秋郷、風呂付宿泊施設)

L 防護壁が開き、一面の星空が見える。

L イザナは気持ちが盛り上がっている。

L 長道が無重力対応風呂に入ってみようかと言う。
FE しかし、イザナの反応で長道はイザナが女性化したことを思い出し、話をそらしてしまう。

E 怒ったイザナはお風呂に一緒に入ろうと長道に迫る。
E 焦った長道がリュックにつまずいて、任務を示したタブレットがイザナの手に渡る。

EF イザナは長道が本心ではなく、ユレに言われて千秋郷に誘ったのだと知って怒る。

G 長道が帰ろうとするイザナを引き止めようとするが、イザナが暴れる。

F イザナは「長道は僕のことを、どうでもいいと思っているんでしょ」と言う。
L イザナが目に涙を浮かべてることに気がついた長道は、慌ててそれを否定しようとする。

(千秋郷付近の小部屋)

P その模様を纈とつむぎが食い入る様に見ている。

(谷風邸)

F つむぎが落ち込んでいる。そこに纈が話しかける。
P つむぎが千秋郷に潜入するのはやめようと言って帰ってきたらしい。

F つむぎは、長道がイザナに何と言ったのか聞こえてしまったらしい。

(翌日、谷風邸)

P 長道とイザナが家に帰ってくる。

L 長道とイザナはお互い気恥ずかしそうにしている。何かあったらしい。

(寮食堂)

P ヒ山がシドニアがレム恒星系に突入したというニュースを聞いている。

(小林の部屋)

P 小林が落合(クローン)から報告を受けている。シドニアは惑星ナインを手に入れようしている。

(岐神開発)

E 落合が新たな融合個体らしきものを作っている。

(東亜重工)

P 長道が装備を視察している。
P 丹波によれば、惑星ナインの偵察任務でハヤカゼの運用試験を行うという。

E そこに居合わせた偵察任務の操縦士らしき女性が、長道に食ってかかる。

(谷風邸)

P 長道達が夕食をとっている。
P つむぎは一応元気らしい。

E 纈からイザナに、「偵察隊の(例の)女性が任務を放棄したため、イザナが繰り上がりで偵察任務にあたることになった」という連絡が入る。

(東亜重工/シドニア近宙域)

G イザナを含む4名が偵察部隊として出撃する。

E ハヤカゼが射出される。

G ハヤカゼと偵察部隊が連結し、惑星ナインを目指す。

(操縦士待機室)

E 長道がイザナの心配をしている。

E 散歩でもして来いと言われ、長道はつむぎの部屋にいく。

(つむぎの部屋)

G つむぎもイザナを心配している様子で、長道がつむぎの手を取る。

(惑星ナイン)

P 偵察隊が惑星ナインの衛星軌道に入る。

E イザナが最新のレーダーを使い、遠くにもやのようなものを発見する。
G 隊長がヘイグス粒子砲を放つ。

E 不可視かされた巨大なガウナが姿を現す。

GE 偵察隊はハヤカゼを破棄し、ガウナに突っ込ませる。しかし、効果が無い。

E イザナが命の危機に陥る。 

(つづく)

→前回
→次回
記事一覧

コメント

コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。

いまブロマガで人気の記事