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【ストーリー解析】シドニアの騎士 第九惑星戦役 第6話「起動」

2015/05/23 15:45 投稿

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シドニアの騎士 第九惑星戦役第6話「起動」のストーリー解析を行う。原作未読。→前回
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■評価
★★★ コミカル、テクニカル


[ニコニコ本編]http://www.nicovideo.jp/watch/1431922166

■総評
第6話はラブコメ回。非常に楽しい演出が多く、シドニアのギャグセンスが光る。一方で、重力子放射線射出装置に関するシリアスパートもあり、その接続のなかで、押さえるところは押さえた調和のとれたストーリーにもなっている。何度も見返せる面白い回である。

■基本情報
原作 - 弐瓶勉(講談社「月刊アフタヌーン」連載)
監督 - 瀬下寛之
シリーズ構成 - 村井さだゆき
脚本 - 村井さだゆき
アニメーション制作 - ポリゴン・ピクチュアズ
→Wikipedia

■登場人物
[主人公たち]
  谷風 長道(たにかぜ ながて) - 逢坂良太
  科戸瀬 イザナ(しなとせ イザナ) - 豊崎愛生
  緑川 纈(みどりかわ ゆはた) - 金元寿子
  白羽衣 つむぎ(しらうい つむぎ) - 洲崎綾
[シドニア幹部]
  小林(こばやし) - 大原さやか
  落合(おちあい) - 子安武人
  科戸瀬 ユレ(しなとせ ユレ) - 能登麻美子
[岐神開発]
  岐神 海苔夫(くなと のりお) - 櫻井孝宏
  岐神 海蘊(くなと もずく) - 佐倉綾音
[外生研]
  田寛 ヌミ(たひろ ぬみ) - 佐藤利奈
[東亜重工]
  丹波 新輔(たんば しんすけ) - 阪脩
  佐々木(ささき) - 本田貴子
[衛人操縦士]
  サマリ・イッタン - 田中敦子
  弦打 攻市(つるうち こういち) - 鳥海浩輔
  勢威 一郎(せいい いちろう) - 坪井智浩
[その他]
  不動産屋のお姉さん - 井口裕香
  模型屋の店主 - 藤吉浩二
  ノコギリクワガタ - 弐瓶勉

■ドライバー分析
第6話のドライバーは2つ。

1.長道とイザナがつむぎの部屋の近くに引っ越す(P)
2.重力子放射線射出装置の起動実験が行われる(G、E)

また、サブドライバーとして

3.イザナが長道の訪問にどきどきする(L-F-L)
4.つむぎが長道に甘える(L-L)
5.長道が星白の言っていたことを思い出す(G、F)
6.纈がプラモ屋で重力子放射線射出装置の模型を見て盛り上がる(P-L)

などがある。
第6話は、ラブコメな日常と、重力子放射線射出装置の起動実験。明るい前者と、シリアスな後者を並行させた、ハイブリッドなストーリーである。2つのストーリーは基本的には独立しているが、いくつかの要素がそれらをつなぐ役割を果たしている。
ラブコメ要素に注目しつつ、全体の構成にも目を向けていこう。

まず、第6話の時点で、ストーリーには「大シュガフ船との戦争(E)」という解決すべき問題がある。今回の重力子放射線射出装置の開発は、その問題を解決するための準備(G)と言えるだろう。

[重力子放射線射出装置の動力部分]

ただし、一方でその演出は不気味であり、重力子放射線射出装置が何か危険なものであるという感は否めない。また、ラストシーンではエナによって作られた砲塔部分が暴走を始め、新しい問題の始まり(E)になっている。解決策が一筋縄でいかない展開は面白い。

[実験後、砲塔から伸びるエナの触手]

中期的には、大シュガフ船とシドニアの戦力差は埋まる必要があるため、装置は完成に向かうだろう。しかし、短期的にはこの暴走の問題がストーリーを牽引することになりそうだ。

このシリアスな流れに対し、長道を中心としたラブコメ要素は非常に明るい。長道がイザナの胸を触ってしまうといったラッキースケベ展開や、つむぎの乱入、拗ねるイザナなど、実にコミカルなシーンが多い。

[じゃじゃーん、ゲホゲホ(笑)]

ただし、これらのラブコメなストーリーは、必ずしもシリアスな起動実験のストーリーと分離しているわけではなく3つの点で接続されている。

1つ目は、科戸瀬ユレとイザナのつながりだ。ユレとイザナの会話シーンは、どちらかというと長道の訪問に続くラブコメ側のシーンだが、この出来事はユレの側から見ると、少し違う風景が見える。

[お風呂で通話するユレとイザナ]

過去を振り返ると、第1期第9話において、ユレは“オロシの儀”(落合の補助脳からデータを取り出す作業)というプレッシャーのかかる仕事の前に、イザナに電話をかけていた。それは不安を抱えたユレが、イザナに安心を求める行為だったと言える。

今回、どちらが電話をかけたのかは分からないが、お風呂であることを考えるとユレから電話をかけた可能性もあるかもしれない。

ユレは重力子放射線射出装置の開発という大きな仕事を抱えており、イザナとの通話は、ユレの不安や疲れを和らげたことだろう。シリアス差を和らげるという点では、視聴者とユレの立場は近い。(ちなみに、イザナはユレがどんな仕事をしているのか知らない。そのこともユレにとっては癒される理由のひとつだ。)

[シビアな日程で兵器開発を行うユレ(右)]

小林や落合(海苔夫)、落合クローン、ヌミといったダークサイドの人物たちの中で、ユレは主人公たちに近く、2つの間をつないでいる。こういった役割はヒ山などにも当てはまる。

2つ目は、纈の動きについて。纈に関する接続は分かりやすく、悪く言えばあからさまに、良く言えば丁寧に2つのストーリーをつないでいる。

纈がプラモ屋を訪れるシーンは、非番の纈を描くだけでなく、重力子放射線射出装置の説明にもなっている。プラモ屋のオヤジが重力子放射線射出装置を作っていたことは偶然だが、ストーリー上は後半につながる必然的な出来事だ。

[ドヤ顔の店主と、一目で重力子放射線射出装置と見抜く纈]

また、纈が帰り道に長道を目撃することで、起動実験側だけでなく、ラブコメ側のストーリーにも接続している。纈も長道を狙っている一人だが、色気よりプラモというあたりが纈らしい。細かいことだが、こういった接続があるかないかで、ストーリーのまとまりは変わってくる。

[プラモ屋の帰りに長道を目撃する纈。ちなみにプラモは『一五式衛人』]

そして、3つ目は長道が星白の言葉を思い出すシーンである。

第6話をラブコメとして見たとき、長道を中心とした相関図は、

①イザナ→長道
②つむぎ→長道
③纈→長道

といった片思いによって作られている。イザナは長道をめちゃくちゃ意識していたし、期せずして邪魔に入ったつむぎも、混合掌位でときめいたり、添い寝したがったり、長道にべたぼれの状態だ。

[長道とつむぎの混合掌位]

だが、肝心の長道は、そういった片思いに応えることはない。なぜなら、長道はずっと星白の影を追っているからだ。つまり矢印で書けば、

④長道→星白

の状態である。しかし、星白が亡くなってる以上、長道の思いが遂げられることはない。だから、長道を中心としたラブコメの流れは、最終的に行き場のない悲しみへとつながっている。(誰の思いも遂げられない状態。)

引越しが終わった後、長道がたそがれていたのは、星白のことを思い出していたからかも知れない。長道が遠くを見つめるシーンは、紅天蛾について考えるシーンにも似ている。

[長道のところにやってくるつむぎ]

ただ、長道の思いは単なる感傷と言うにはやや複雑だ。なぜなら、星白のその後には多くの謎が残されているからだ。星白の死は決して終着点ではなく、戦死という事実の一方で、紅天蛾やエナ星白という謎の生命体が現れ、つむぎという融合固体の娘も生まれた。

つまり、長道は星白について考えるほどに、単にその死だけでなく、ガウナの謎や、星白が語った「ガウナと人間の対話の可能性」へと考えはつながっていく。

[星白のことを思い出す長道と、漂流の思い出]

これは長道に残された使命と言えるかもしれない。この「ガウナと人間の対話の可能性」は、重力子放射線射出装置のような「ガウナの殲滅(G)」を目指す方法とは別な方法として「ガウナとの戦闘(E)」という大きな問題の解決策を提示している。それは、起動実験側のストーリーが持つテーマとは反対のもので、その点で2つのストーリーは結びつけられる。

このようにラブコメ側のストーリーは、イザナやつむぎから始まる矢印をたどっていくと、最終的にはガウナとの対話の可能性というシドニアの騎士のテーマに着地する。だから、ストーリーは、ガウナとどう向き合うかという1つのテーマでまとめられているとも言えるだろう。

第6話は多くの笑いを誘うシーンがありつつも、以上の3点できちんと接続が図られており、まとまりのあるストーリーになっている。中々面白い。

■ラブコメ展開について

さて、せっかくなのでもう少しラブコメ展開について触れておこう。現在のヒロインの座争奪戦の順位は、

纈<<<つむぎ<イザナ<<<(超えられない壁)<<<星白

といった具合だ。ここでつむぎとイザナのどちらがよりヒロインかを考えてみよう。

基本的には、両者とも片思いのような状況だが、今回のイザナやつむぎに関するストーリーを分析してみると、イザナとつむぎには若干の違いがある。それは長道が2人をどう扱っているかだ。

まず、イザナに関しては、イザナが長道を意識している一方で、長道はあまりイザナを異性としては見ていない。ただ、今回アクシデントで胸をつかんだことで「胸がある!?」という若干の意識付けにはなっているだろう。あと、おにぎり<イザナであることは証明された(笑い)。

[長道の焦りは、まずいものを掴んでしまったという焦り]

そして、面白いのが長道が引越し先を決めて帰ったシーン。「イザナも一緒に引っ越さないか」という長道に対してイザナは、それがあくまでつむぎのためで、自分のことなんてどうでもいいと思っているのではないかと拗ねている。

それに対し長道は、イザナに謝りお伺いを立てており、ここでイザナは完全に精神的に優位に立っている。長道はイザナをあくまで異性としては見ていないが、精神的には、イザナは対等かそれ以上の立場にある。例えるなら、妻の尻にしかれている夫みたいな立場だ。

[いいよ。引っ越してや・っ・て・も(笑)]

それに比べ、つむぎはあくまで対等な立場にはいない。つむぎは言ってみれば、お父さんや、年上のお兄さんに甘える女の子のような感じだ。それが恋のようなものであることは確かだが、長道にとってそれは恋愛とは程遠い。

例えば、イザナが一緒に寝たいと言ったら、長道は簡単にはOKしないだろう。逆に言えば、長道が一緒に寝るのをOKしたのは、つむぎを子供扱いしているからだ。イザナのような異性の扱いとは違う。

[一緒に寝たいという願いを聞き入れる長道]

(より正確に言えば、長道はイザナを友達と思っており、異性として意識することには抵抗がある。)

そのため、長道の側から見れば、ヒロイン力はつむぎよりもイザナの方が高いだろう。長道とイザナの付き合いは長く、星白が復活しなければイザナにもワンチャンあるかもしれない。ヒロインの座争奪戦も中々盛り上がっていて面白い。

■おまけ、イザナのおっぱいについて
イザナの胸は本当に大きくなったのか?!初期と比較してみる。

[第1期第1話(左)と第2期第6話(右)]

『実際、イザナのバストは平坦であった』。だけど、すこーし大きくなった気がする。モデリングとしては若干曲率が変わった?でも、触ってみないと分かりませんねえ。

ちなみに、不動産屋のお姉さんはちょい役とは思えない存在感。井口さん目立ちすぎです(笑)。

[ちょい役とは思えないモデリング。高等部にはガムテープが]

■残された謎

①落合とつむぎはどうやって通信しているのか?
②落合の研究室にいた小さな騎士は何か?
③落合はなぜ100年前、極端な行動に出たのか?
④ガウナとはどういう生物なのか?
⑤カビとは何か?
⑥市ヶ谷総一郎とは誰か?
⑦閑の体には秘密が?
⑧閑が衛人操縦士を目指した理由とは?
⑨有機転換炉には秘密が?

■ストーリー詳細

(第5話回想)

(イザナの家)

P イザナがお風呂でユレと話をしている。
P 寮を追い出された長道が泊めて欲しいと連絡してくる。

L イザナは驚く。

(回想終わり)

P 長道がイザナの家にやってくる。
P イザナは「さっきから配管周りで変な音がしている」という。

P イザナが長道におにぎりを作る。

LE イザナがおにぎりを渡そうとすると、畳が持ち上がりこけそうになる。
LG 長道がイザナをかばい2人とも倒れる。おにぎりは無事だったが、長道の手がイザナの胸に。

L イザナがものすごく照れる。長道もあせる。
F(L)とそこに突然床からつむぎが現れる。

L つむぎは寂しくなってやってきたらしい。長道たちはつむぎを優しく迎える。

(研究所)

P ユレとヌミが新兵器の開発を行っている。新兵器はほぼ完成したらしい。
E ただし、エナで構築した部分の制御がまだ不完全だという。

E 小林は予定通り起動実験を行うとユレに伝える。

(シドニア近宙域、混合掌位訓練)

P 一七継衛改と一八式衛人3機の混合掌位訓練が行われる。

P そこに海蘊が乗ったつむぎが現れる。つむぎの方が4騎掌位より圧倒的に速い。

P 格納庫の佐々木が落合に「融合個体の飛行原理を解明しているのでは?」とけん制する。

L つむぎと長道の継衛改が2騎掌位を行う。すさまじい機動性を見せる。

(格納庫)

P 海蘊が長道によろしくと握手する。

(住居管理局)

P 時間の空いた長道は、住居管理局に物件を見に行く。

P 配管マニアのお姉さんが物件を探してくれる。

(プラモ屋)

P 纈がプラモ屋にやってくる。
P 店主のおっさんが、自作で「重力子放射線射出装置」を作っている。

L 纈が喜ぶ。

(プラモ屋の帰り道)

P 五式衛人プラモを買った纈は、帰りに長道を目撃する。長道の引越し先が決まったようだ。

(イザナの家)

P 長道が先に帰っており、イザナも帰ってくる。
L イザナは長道に「良かったらここに住んだら」と提案する。

F しかし、その矢先、長道がイザナに新しい引越し先を見せる。

L 長道はつむぎのために、外周壁で配管の通った物件を探していたようで、イザナもそこに住まないかと提案する。

Fイザナは長道が自分のことをあんまり気にかけてないと思って、ちょっとすねてみせる。
L 焦った長道が機嫌をうかがってきたので、イザナは満足しその提案を受ける。

(外周壁の家)

P 長道とイザナが下見に行く。

P 長道がつむぎを呼び、つむぎがやってくる。

(引越し初日の夜)

P 長道が外でたそがれている。そこにつむぎがやってくる。
P 長道はノコギリクワガタを見せる。

P つむぎがノコギリクワガタを手に取ると、ノコギリクワガタは飛んでいってしまう。
G つむぎは「クワガタにとって、私たちは対話不能な恐ろしい捕食者でしかないのかもしれない」と言う。
G 長道はそれに星白の言葉を思い出す。

P 長道は寝室に戻る。
L そこにつむぎがやってきて一緒に寝させてほしいという。
L(F)仕方なく長道は一緒に寝る。しかし、寝心地はよくない。

(新兵器、起動実験)

P シドニアが小惑星の近傍を通る。

P 新兵器とは、エナの性質を利用した、重力子放射線射出装置らしい。

LG 小林やユレ、落合らが集まって起動実験を行う。
LG 重力子放射線によって小惑星が破壊される。

E 実験は成功したが、エナで作られた砲塔の部分から触手が伸びる。

(つづく)

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