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【ストーリー解析】シドニアの騎士 第九惑星戦役 第2話「能力」

2015/04/30 05:08 投稿

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シドニアの騎士 第九惑星戦役第2話「能力」のストーリー解析を行う。原作未読。→前回 →次回
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■評価
スタンダード ★★★


[ニコニコ本編]http://www.nicovideo.jp/watch/1429251873

■総評
第2話は、長道とつむぎの出会い。ガ549の戦闘や説明会などを通じて、つむぎの紹介と長道との関係の構築をする。ストーリー展開は非常に丁寧で、融合個体の有用性と危険性、内面をバランスよく描いている。つむぎがかわいいと思えたらストーリーとしては大成功。新ヒロイン誕生回。

■基本情報
原作 - 弐瓶勉(講談社「月刊アフタヌーン」連載)
監督 - 瀬下寛之
シリーズ構成 - 村井さだゆき
脚本 - 村越繁
アニメーション制作 - ポリゴン・ピクチュアズ
→Wikipedia

■登場人物
[主人公たち]
  谷風 長道(たにかぜ ながて) - 逢坂良太
  科戸瀬 イザナ(しなとせ イザナ) - 豊崎愛生
  緑川 纈(みどりかわ ゆはた) - 金元寿子
  仄 煉(ほのか れん) - 喜多村英梨
  白羽衣 つむぎ(しらうい つむぎ) - 洲崎綾
[シドニア幹部]
  小林(こばやし) - 大原さやか
  落合(おちあい) - 子安武人
  科戸瀬 ユレ(しなとせ ユレ) - 能登麻美子
[岐神開発]
  岐神 海苔夫(くなと のりお) - 櫻井孝宏
  岐神 海蘊(くなと もずく) - 佐倉綾音
[外生研]
  田寛 ヌミ(たひろ ぬみ) - 佐藤利奈
[東亜重工]
  丹波 新輔(たんば しんすけ) - 阪脩
  佐々木(ささき) - 本田貴子
[寮母]
  ヒ山 ララァ(ひやま ララァ) - 新井里美
[衛人操縦士]
  サマリ・イッタン - 田中敦子
  弦打 攻市(つるうち こういち) - 鳥海浩輔
  勢威 一郎(せいい いちろう) - 坪井智浩

■ドライバー分析
第2話のメインドライバーは2つ。

1.つむぎがガ549を撃破する(E-G)
2.長道とつむぎが出会う(E-G-L-F-L)

また、サブドライバーとして

3.つむぎが一般船員に紹介される(P=E)
4.小林らが不死の船員会を葬る(E-E)

などがある。
第2話は、長道とつむぎの出会いのストーリー。出来事としては、ガ549の討伐戦や、融合個体の説明会が目立つ。だが、そこには一貫して長道とつむぎの心理的ストーリーが展開されている。今回は、星白の流れを汲む彼女(?)に焦点を当ててストーリーを分析してみよう。

第2話は、第1話から続くガ549の討伐戦からスタートする。第1話の終盤に登場したガ549は本体貫通弾に対する耐性を持ち、長道達は一点突破を狙うも状況はかなり厳しい。そこで登場したのが融合個体・白羽衣つむぎである。

[ガ549を撃破する白羽衣つむぎ]

タイトルの「能力」から考えれば、ガ549の討伐戦はつむぎの能力を証明するために用意された戦闘と言えるだろう。(当然、小林の許可があり、試験運用と言えるだろう。)しかし、つむぎが単純に兵器としてガ549を撃破したかというとそうではない。

つむぎの存在を考える時、彼女がきちんとした人格を持った「人間とガウナの中間の生物」や「子供」であることはストーリー上重要な意味を持つ。なぜなら、それは「存在が受け入れられるか否か(L)」というドライバーを持つからだ。

存在が受け入れられるかという問題は、長い間地下で暮らしてきた長道にも当てはまる。当初、長道は「光合成のできない人間」として、冷たくあしらわれていた。だが、ガウナの討伐によってシドニアの船員から次第に認められるようになる。

少し別の視点から言うならば、それは「人間に対する憧れ(L)」でもある。子供っぽくいえば、幼稚園や小学校に入る際の期待とでも言えば良いだろうか。ストーリー分析的に言えば、つむぎには

・人間と仲良くなりたい(L)
・ガウナを倒す(G)

という2つのドライバーが働いている。第2話のストーリーは、「ガウナを倒す(G)」という戦闘面だけでなく、前者のつむぎの内面に大きな配分が割かれている。

つむぎが戦場に現れたとき、操縦士たちは彼女の敵味方の判別がつかなかった。それは融合個体の存在が、上級船員のみが知る機密であり、司令補の纈すらその存在を知らされていなかったからだ。

[一般船員にとって未知の存在であったつむぎ]

それが原因となり、弦打はつむぎを敵性として判断して射撃した(E)。これは、ディスコミュニケーション(F)であると同時に、長道がつむぎを助ける為のギミック(L、G)といえるだろう。

このような「危機から救う(E-G)」ことによって、恋愛感情や信頼が生まれる(L)という流れは本質的で、人間の基本的性質に根差すものだ。そして、それは今回、人間と仲良くなりたいとつむぎの願いを叶える最初のステップになっている。

[象徴的な長道とつむぎの出会い]

また、戦闘の終盤、つむぎが戦闘で本気を出した際も、その原因は波状攻撃によって数人を死亡させたガ549への怒りだった。それはおそらく落合による教育(人間の利益のための行動を、道徳的に翻訳したもの)のたまものだろう。

[つむぎを“操縦”する落合]

つむぎが精神的に成長すれば、人間とガウナの中間である以上、ガウナを倒すことの正当性に疑問を持つかもしれない。だが、つむぎはまだ幼い。

つむぎは長道に助けられた際、「ありがとうございます、継衛にお乗りの方」と言っていた。しかし、後の説明会では、群集の中から長道を見つけて「谷風さんとお話がしたい!」と説明を忘れるほど喜んでいる。(気になって名前や容姿を調べていたのだろう。)

一般船員たちがつむぎの存在に否定的な一方で、長道はつむぎを受け入れた、(落合を除く)初めの人間と言えるだろう。これは、融合個体がシドニアにとって有用かという戦略的な視点ではなく、1人の融合個体つむぎの気持ちに応えるものだ。つむぎにとって、長道は初めて出来た憧れの人でもあるのかもしれない。

[長道を見つけてはしゃぐつむぎと、驚く長道]

さらに、長道は説明会でのつむぎの傷心を癒すかのように、つむぎに会いに岐神開発に向かっている。これは、よりはっきりとつむぎの気持ちに応えるプロセスと言えるだろう。(長道はつむぎが戦闘に駆り出されることについて可哀相とも言っていた。)ここで初めて、つむぎのかわいいインターフェースが描かれるのも、幼い女の子としての内面をよく表している。

[長道や人間に興味深々のつむぎ]

このように、第2話は融合個体・白羽衣つむぎの能力と危険性だけでなく、それを覆って余りある内面に関するストーリーが展開されている。この内面に関するストーリーは、作品テーマである「ガウナと人間の対話」にも通じている。第2話も非常にバランスの良いストーリーと言えるだろう。

これからつむぎには多少の試練がありそうだが、ヒロインの一人として大いに成長してくれそうだ。

[つむぎとの触手プレイ触れ合いに大満足の長道]

■補足1.不死の船員会抹殺について
さて、一方で、第2話が不死の船員会抹殺という衝撃の展開で終わったことにも触れておこう。この事件に関連して、第1、2話の時系列をまとめてみると次のようになる。

(1)落合が復活する

(2)落合が岐神開発を継ぐ(海苔夫の父は暗殺された?)

(3)エナ星白が岐神開発に譲渡される

(4)融合個体の開発が始まる

(5)落合が科戸瀬ユレに協力を依頼する

(6)小林から融合個体の開発許可が下りる※)

(7)融合個体から人工カビの増産に成功

(8)白羽衣つむぎの開発成功

(9)落合の補助脳から全記録の回収に成功※)

(10)小林らが不死の船員会を抹殺

※同時進行や前後の違いはあるだろう。

不死の船員会抹殺の直接の引き金は、落合の補助脳のデータの回収だ。補助脳を元々所有していた落合(海苔夫)が復活し協力することにより、それは実現した。

[落合の補助脳から記録を取り出す小林ら]

第1期第12話で、小林は「補助脳から全記録を吸い出せれば、奴ら(不死の船員会)などもうシドニアに必要なくなるだろう」と言っていた。このことから考えると、不死の船員会が小林の知らない情報を握っている可能性があったが、それは補助脳に記録されていた情報以下だということか。

自ら手を汚さないとは言え、落合(クローン)による残虐な抹殺は、小林の冷徹さを感じさせる。こういった小林のやり方は、斎藤ヒロキとの仲違いの過去とも関係しているだろう。今のところ、小林と長道はうまくやっているが、両者の違いは後々効いてきそうだ。また、小林と落合の因縁も気になる。

[落合(クローン)によって、惨殺された不死の船員会]

■補足2、つむぎに関する事項

①つむぎの戦闘力について
今回、つむぎはヘイグス粒子砲と肉弾戦でガウナを撃破した。融合個体である彼女が、ガウナに対して高い攻撃力をほこるのは、単に出力が高いだけとは言えないだろう。

第1期第10話の説明によれば、融合個体はカビに似た放射線を放出しているといい、実際に、人工カビはMSCF(最厳重警備隔離施設)に保管された融合個体の死体から製造されていた。岐神開発が人工カビの増産に成功したのも、原料が融合個体であると考えると説明がつく。

[MSCFに保管された融合個体の死体。これも性別は女性に見える(第10話)]

つむぎが肉弾戦でガウナの本体を破壊できるのは、このカビと同等の成分を持つからだろう。そのことは、同時にガウナがカビに引き寄せられるという性質にもつながるのだが、今のところそれは問題になっていない。

②つむぎの操縦方法について
同じく第1期第10話において、「過去の融合個体には操縦方法に問題があった」ということが伝えられている。また、融合個体に対する船員たちの反応を見ていると、100年前にすでに運用が試みられていたようにもみえる。

落合はそれに対し、一般船員への説明の中で「あの時(100年前)の失敗は不完全な制御方法にあった」と語っている。これは、逆に言えば、現在はそれを克服したということのようだ。第2話を振り返ってみると、落合は操縦時や説明会の最中、つむぎとテレパシーのようなもので会話しているように見える。これが新しい制御方法ということなのだろうか。

[説明会の最中、落合は口を動かさずにつむぎと会話している]

また、落合は「緊急時には直ちに停止させることが出来る」とも言っている。原理は不明だが、それらが新しい技術ということのようだ。

また、少し深読みすると「人格」を持つこと自体が新しい技術なのかもしれない。MSCFに保管された融合個体はおぞましい形をしており、とても意思疎通ができそうには見えない。意思疎通ができなければ指示を出すことは難しい。

ただ、その「人格」をどのように作ったかは必ずしも明確ではない。仄シリーズのような圧縮した知育を受けるという形なのか、それとも人格の転写技術なのか。あるいは、エナ星白の人格をベースにした可能性もあるかもしれない。

③ガ549を撃破した際の表情について
つむぎは、ガ549を撃破した際、歯をむき出しにした激しい表情を見せている。これはどう解釈するべきだろうか。戦闘の流れから言えば、ガ549に対する「怒り」というのが順当のようにみえる。ただ、他にも

・高出力の行動だったので、大きな負荷がかかって苦しかった
・説明会で質問されたような、ガウナを倒す事に抵抗があった

という可能性もなくはない。表情からは、暴力性や、制御の利かなさといった印象も受ける。後半のかわいらしいシーンとは対照的である。

[ガ549を撃破したときの表情]

④つむぎの製造方法について
多少のネタバレ感があるので次回の記事で考察する。

■おまけ、今週のイザナちゃん
今週のイザナはキュッキュちゃんにドン引き。ヒロインの座危し!(笑)

[うわああああああああ、長道がまさぐられてるぅぅぅぅぅぅ]

■残された謎

①落合の研究室にいた小さな騎士は何か?
②落合はなぜ100年前、極端な行動に出たのか?
③ガウナとはどういう生物なのか?
④カビとは何か?
⑤市ヶ谷総一郎とは誰か?
⑥閑の体には秘密が?
⑦閑が衛人操縦士を目指した理由とは?
⑧有機転換炉には秘密が?
⑨小林たちはなぜ事前に大シュガフ船の存在を知りえたのか?

■ストーリー詳細

(宇宙空間、ガ549との戦闘)

G 融合個体・白羽衣つむぎが戦闘に加勢する。

(不死の船員会)

P 不死の船員たちがどよめく。

(回想、岐神開発、融合個体の完成前)

P ユレが岐神開発を訪れ、未完成の融合個体を目にする。
G(E)海苔夫はユレに、融合個体完成のために小林の説得に協力して欲しいと言う。

(回想終わり)

(宇宙空間/司令室、ガ549との戦闘)

G つむぎが肉弾戦でガウナの表面を破壊していく。

E つむぎを敵と判断した弦打がつむぎへ攻撃する。
G それを長道が防ぎ、つむぎを助ける。

L つむぎが長道に感謝する。

E ガウナの波状攻撃により、3機の衛人が撃墜される。
G つむぎがそれに怒り、ガ549を一撃で葬る。

P 艦長が海苔夫に融合個体についての説明を促す。

(不死の船員会)

P 不死の船員たちが小林の弾劾を決める。

(格納庫)

P 長道が右腕を怪我している。

(高所)

G 長道はイザナに融合個体がかわいそうだと話す。

(岐神家、オロシの儀)

P 海苔夫(落合)の助力により、小林たちは落合の補助脳から落合の研究とシドニアの中央記録を全て取り出すことに成功する。

P 小林は落合の研究データへのアクセス権を自分だけに限定する。

(ホール)

P 海苔夫とつむぎが一般船員たちに融合個体の説明をする。

P 否定的な立場をとる一般船員に対し、海苔夫が安全を訴える。
P つむぎも一般船員に向けて(用意された)説明をする。

L だが、その途中、つむぎが長道を見つけて喜び、はしゃいでしまう。
E その振動が大きく、一般船員が脅威を感じる。

FG 海苔夫は長道と話したいと言うつむぎを制止し、説明を続けるよう命じる。

EF 一般船員が不満をあらわにし始めたため、説明会は終了される。

(岐神開発)

GL 長道とイザナが岐神開発を訪ねて、つむぎと対面する。

L つむぎは大喜びし、長道とつむぎは仲良くなる。

(不死の船員会)

P 不死の船員会が小林の弾劾決議を行い、弾劾を正式に決定する。
E そこに落合(クローン)が現れ、不死の船員たちを皆殺しにする。

P それは小林の指示によるものだった。

(つづく)

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コメント

ギルバート
No.1 (2015/04/30 13:38)
記事お疲れ様でした。驚きの早さ!

アニメでは語られることのないであろう余談として、
説明会で弦打が怪我をしてたのは、長道が機体を壊したことに怯えているのを見てみて、
弦「なんで谷風ほどのエースがあんなにビクビクしてるんだ?」
弦「まるで整備士に怯えてるみたいだ・・・」
弦「その整備士って人類最強じゃね?」
佐々木「・・・おい、誰が人類最強だって?」  
弦「ギャアアアアア!」

という一幕が原作にあったからです(笑)

P.S.今期はシドニアだけなのでしょうか?
ginji (著者)
No.2 (2015/04/30 20:21)
>>1
ほんとだ!確かに怪我してますね。佐々木に〆られている場面が目に浮かびます(笑)

今期はシドニアだけで行きます。スケジュールの問題と、ぐっとくる作品がないというのが理由です。逆にシドニアは予習復習して臨みたいという感じです。
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