ストーリー解析ブロマガ

【ストーリー解析】シドニアの騎士 第九惑星戦役 第1話「葛藤」

2015/04/29 00:22 投稿

コメント:4

  • タグ:
  • ストーリー解析
  • シドニアの騎士
  • アニメ
  • 2015年春アニメ

シドニアの騎士 第九惑星戦役のストーリー解析を開始。遅れ気味ではあるが、第1話「葛藤」からスタート。原作未読(ネタバレの心配なし)。→前回 →次回
記事一覧

■評価
★★★ スタンダード


[ニコニコ本編]http://www.nicovideo.jp/watch/1428901228

■総評
第2期第1話は、落合の復活から融合個体・白羽衣つむぎ(しらうい つむぎ)の登場まで。幕開けに相応しいダイナミックな展開で、インパクトは抜群。シドニアの危機と長道の恋路がバランスよく配置され、多重性のある展開になっている。面白い。

■基本情報
原作 - 弐瓶勉(講談社「月刊アフタヌーン」連載)
監督 - 瀬下寛之
シリーズ構成 - 村井さだゆき
脚本 - 村井さだゆき
アニメーション制作 - ポリゴン・ピクチュアズ
→Wikipedia

■登場人物
[主人公たち]
  谷風 長道(たにかぜ ながて) - 逢坂良太
  科戸瀬 イザナ(しなとせ イザナ) - 豊崎愛生
  緑川 纈(みどりかわ ゆはた) - 金元寿子
  仄 煉(ほのか れん) - 喜多村英梨
  白羽衣 つむぎ(しらうい つむぎ) - 洲崎綾
[シドニア幹部]
  小林(こばやし) - 大原さやか
  落合(おちあい) - 子安武人
  科戸瀬 ユレ(しなとせ ユレ) - 能登麻美子
[岐神開発]
  岐神 海苔夫(くなと のりお) - 櫻井孝宏
  岐神 海蘊(くなと もずく) - 佐倉綾音
[外生研]
  田寛 ヌミ(たひろ ぬみ) - 佐藤利奈
[寮母]
  ヒ山 ララァ(ひやま ララァ) - 新井里美
[東亜重工]
  丹波 新輔(たんば しんすけ) - 阪脩
  佐々木(ささき) - 本田貴子
[衛人操縦士]
  サマリ・イッタン - 田中敦子
  弦打 攻市(つるうち こういち) - 鳥海浩輔
  勢威 一郎(せいい いちろう) - 坪井智浩

■ドライバー分析
第1話のメインドライバーは次の2つ。

1.海苔夫、海蘊、ユレらが落合に人格を乗っ取られる(E)
2.新たなガウナが出現し、融合個体・白羽衣つむぎが出撃する(E-G)

また、サブドライバーとして、

3.エナ星白が消え、長道が落ち込む(L-F)
4.イザナと長道が社に参る(P=L-F-L)

などがある。
第1話でインパクトがあるのは、何と言っても落合の復活と、白羽衣つむぎの登場だ。両者は、第2期のストーリーを牽引する超重要キャラクターと言えるだろう。第1話の大雑把な時系列は、

(1)落合の復活(E)

(2)エナ星白の譲渡(F)

(3)ガ549出現(E)

(4)白羽衣つむぎ登場(G)

という流れ。この中で、最も重要なのが(1)の落合の復活だ。

第1期において、海苔夫のストーリー上の役割はあまり大きくなかった。(最もストーリーに関与したのは第6話~第7話にかけての「連結型ガウナの討伐戦」だ。だが、星白の死を境に、海苔夫は戦線を離れ、最終的には長道と和解に近い形で終わっている。)

その中で、少々異例だったのは、海苔夫が落合の研究に興味を示したことだ。それは自身の弱さを克服するためだったが、ストーリーの外側から見れば、「落合」というパンドラの箱を開けるための行動であったことは明白だろう。

[シドニア血線虫に迫られる海苔夫]

(海苔夫に関するストーリーは終わったとは言えないが、今後描かれるか機会があるかは謎だ。乗っ取られた体が元に戻らなければ、海苔夫のストーリーに戻ることはない。落合の脅威は大きいので、海苔夫のターンはなかなか回ってこないだろう。)

どちらかというとヘタレな海苔夫に比べ、落合は筋金入りのマッドサイエンティストだ。落合は、小林、斎藤、ヒ山らと同じく、600年前に初めてカビを入手した調査隊のメンバーであり、研究はその頃から始まっているのかもしれない。これまでに判明した事実によれば、

・100年前の第四次ガウナ防衛戦でカビザシを捨て、シドニアを危機に陥らせた
・シドニアの中央記録の大半を消去した(補助脳にバックアップが残っていた)
・融合個体を開発した。ただし、操縦方法に問題があった

などの前科があり、危ない研究もしている。ただし、第四次ガウナ防衛戦の詳細は明らかではなく、まだ動機には多くの謎がある。

[落合は第四次ガウナ防衛戦で捕らえられた(第8話)]

ストーリー分析的な立場から言えば、落合は確実に倒されるべき存在として描かれている(Eドライバーに従う)。第1話はそのイントロダクションと言っても良いだろう。それには3つの理由がある。

1つ目は、落合が倫理に反する行動を多くとっていることだ。小さい騎士の存在は謎(補足で後述)だが、海蘊は残忍な形で一度殺されているし、シドニア血線虫を使った肉体支配も倫理的に問題がある。また、外生研の田寛ヌミに対する暴言や、種として人間を蔑むなどの行動も同じだ。

[演出の残虐性は、落合の悪を際立たせる]

さらに、ストーリー分析上は、落合が長道から(タイミング的に)エナ星白を奪い取ったことも見逃せない。第1話の時系列は、第2期第12話の小惑星戦闘と重なっており、長道はエナ星白と丁度いい感じになっていた最中だった。だが、マーカーを手土産に訪れた外生研にエナ星白の姿はなく、長道は落ち込んでいる。

単なる科学者としてみた時、落合が融合個体の母体としてエナ星白を回収することは、倫理面以外は問題ない。だが、恋路の邪魔という意味でも落合は悪役だと言える。(ただ、落合にその意識はないだろう。)

[コミュニケーションを交わすエナ星白と長道(第10話)]

長道と星白の恋という未完のストーリーにおいて、落合は構造的な障害であり、エナ星白や白羽衣つむぎが落合の支配下にある限り、長道と星白のストーリーが完結するのは難しいだろう。

科学者落合の存在は、シドニアにとって大きな戦力だ。ストーリー中盤、小林から纈を通じて「エナ星白には関わるな」という指令が下った背景には、落合の研究がもたらす正の側面があるだろう。(小林の許可なしに融合個体の研究は出来ない。)

だが、中長期的には落合は必ず、シドニアにとって危険な存在になる。それは、落合の持つ思想が、長道たちの持つテーマとは相容れないからだ。

シドニアの騎士には、戦闘や恋愛要素だけでなく、長道と星白が担う「ガウナと人間の対話」という大きなSFテーマがある。融合個体・白羽衣つむぎもその流れを汲む、架け橋的存在だ。

しかし、落合は外生研を訪れた際、ヌミに対して「人間は汚らしく、不完全な生き物であり、あり方を変えるべき」、「不滅の肉体を持つ完全な生命が1つあればよい」という発言をしている。これは、「人間もガウナも必要ない(完全な生命が1つあればよい)」という対立する思想だ。

[人間は汚らしい生き物だと言う落合]

落合は、倫理的にも、長道と星白の恋路の邪魔という意味でも、作品を貫くテーマの上でも、長道とは対立する。現段階では、この食い違いは実害を生んではいない。だがいずれ、この差は明確な選択の差としてストーリーに現れてくるだろう。

■補足

①シドニア血線虫について
落合の説明によれば、シドニア血線虫には「人間の脳や人工知性をまるごと転写できる」という。海蘊が海苔夫のことを「落合様」と呼んだ事から判断すると、海苔夫には落合の脳が転写されたシドニア血線虫が、海蘊には人工知性が転写されたシドニア血線虫が入り込んでいるようだ。

[シドニア血線虫に操られている海蘊]

ただし、海蘊の肉体が再生したことについては謎がある。首を落とされた際にショートカットになったようだが、どうやって復活したのだろうか。それともクローンなのか。

②小さな騎士について
海苔夫と海蘊を襲った小人の正体は謎だ。小人化した落合かとも思ったが、女性のような体つきをしているようにも見える(左足は義足)。研究室を守るロボットなのか、それとも何らかの意図を持った人物なのかは分からない。顔がはっきりと描写されないのも気にかかる。研究室が封鎖されていたことを考えると生物ではないのか?

[落合の研究室の謎の小人]

③棘のないサボテンについて
落合の研究室には棘のないサボテンが置いてあった。単なる雰囲気作りなのか、意味があるかは微妙なところ。ただ、落合はそれを海苔夫の部屋に持ち帰っており、何らかの思い入れか価値があるようだ。趣味だとしたら意外に人間らしい一面なのか?

[机の上にサボテンが置かれている]

④ガ549について
ストーリーの後半、本体貫通弾に耐性のあるガ549が出現する。この進化、あるいは対応が、単にストーリー上の都合なのか、ガウナに付随する能力であるのかは現時点では良く分からない。もし、仮に対応しているのだとすれば、多くのガウナが情報を共有していることになり、ユニバーサルに1つの意志を持つような印象を受ける。

[本体貫通弾に耐性を持つガ549]

⑤融合個体について
融合個体については第2話で詳しく扱う。

[かわいい声の融合個体・白羽衣つむぎ]

■残された謎について
ブラッシュアップしていくつかを外した。第1期から継続して以下のような謎がある。

①落合の研究室にいた小さな騎士は何か?
②落合はなぜ100年前、極端な行動に出たのか?
③ガウナとはどういう生物なのか?
④カビとは何か?
⑤市ヶ谷総一郎とは誰か?
⑥閑の体には秘密が?
⑦閑が衛人操縦士を目指した理由とは?
⑧有機転換炉には秘密が?
⑨小林たちはなぜ事前に大シュガフ船の存在を知りえたのか?

■おまけ、今週のイザナちゃん
エナ星白の不在はイザナのチャンス!でも、長道には全然その気がないようで。おっぱい?おっぱいが足りないのか!?長道!

[そろそろ長道が僕の生足の魅力に気がつきますように……]

■ストーリー詳細

(衛人訓練学校)

P 長道が後輩たちに仮象訓練装置で操縦の手本を示す。

(岐神家、封鎖領域)

E 海苔夫と海蘊が、立入禁止の落合の研究室に立ち入る。

E 海蘊が謎の小さい騎士に襲われ死亡する。
E 海苔夫も襲われる。

(岐神家)

E 海蘊と海苔夫が、シドニア血線虫に体を乗っ取られている。
P 海苔夫には、落合の思念が転写されたシドニア血線虫が入り込んでいるようだ。

P 海苔夫(落合)が、長道の存在を知る。

(外生研)

E 海苔夫と海蘊が外生研を訪れ、エナ星白を確認する。
E 海苔夫がヌミに、人間の生物としてのあり方について語る。

E 海苔夫がヌミに、シドニア血線虫をもぐりこませる。

(衛人訓練学校/寮/回想)

F エナ星白が外生研から姿を消し、長道はショックを受けている。

(エスカレーター)

P 長道は、海苔夫からエナ星白が岐神開発に譲渡されたことを知らされる。

(寮)

L イザナがヒ山からお弁当をもらい、長道との神社参りの準備をする。
F しかし、翌日長道は、纈にエナ標本の事で呼び出されて行ってしまう。

(高所)

P 長道は纈から艦長の伝言として、エナ標本にこれ以上関わらないように言われる。
P 長道もそれを受け入れる。

(神社)

L イザナの元に長道が駆けつけ、イザナは機嫌を取り戻す。

(東亜重工)

P 佐々木と丹波によれば、岐神開発が人工カビの量産に成功したらしい。

(司令室/格納庫)

E 大質量のガウナ・ガ549が出現し、厳戒態勢に入る。
G 継衛・改に搭乗する長道を含む、9名の操縦士たちが出撃する。

(宇宙空間)

E ガウナの特殊な構造により、本体貫通弾が通用しない。
G そこで、一点への集中攻撃に切り替える。
E しかし、反撃に合い集中攻撃が難しい。

G そこに突然、海苔夫が操縦する融合個体・白羽衣つむぎが応援に駆けつける。

(つづく)

→前回
→次回
記事一覧

コメント

ginji (著者)
No.2 (2015/04/29 03:19)
>>1
ぼちぼち追いつきます。お待たせしました!
CROWWORD
No.3 (2015/04/30 02:40)
1期の記事を読んで以来、楽しみにしてました。
これからアニメと一緒に楽しませていただきます。
ginji (著者)
No.4 (2015/04/30 05:33)
>>3
それはそれはありがとうございます。原作ファンの方にも、新鮮な感じで楽しんでいただけると幸いです!
コメントを書き込むにはログインしてください。

いまブロマガで人気の記事