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【ストーリー解析】ALDNOAH.ZERO 第24話(最終話)「いつか見た流星-Inherit the Stars-」

2015/04/05 23:31 投稿

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ALDNOAH.ZERO第24話(最終話)「いつか見た流星-Inherit the Stars-」のストーリー解析を行う。アルドノア・ゼロついに完結。→前回
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■評価
★★★ スタンダード


[ニコニコ本編]http://www.nicovideo.jp/watch/1427450297

■総評
第24話(最終話)は、戦争の終結。長らく果たされなかったアセイラムの和平の願いが遂に実現し、戦争は終結する。ストーリーとしては前半部にツッコミどころがあるものの、主人公3人の関係がしっかり盛り込まれ、安定した結末を迎えた。また、長尺の戦闘シーンには見ごたえもあり、ロボットアニメとしても良かったのではないだろうか。シリーズ全体を通して常にベストとは言えなかったが、ちゃんと完結した事は喜ばしい。

■基本情報
原作 - Olympus Knights(アニメオリジナル)
監督 - あおきえい
ストーリー原案 - 虚淵玄(ニトロプラス)
シリーズ構成 - 高山カツヒコ
脚本 - 高山カツヒコ
アニメーション制作 - A-1 Pictures、TROYCA
→Wikipedia

■登場人物
[地球側陣営]
  界塚 伊奈帆(かいづか いなほ) - 花江夏樹
  網文 韻子(あみふみ いんこ) - 小松未可子
  ライエ・アリアーシュ - 三澤紗千香
  ダルザナ・マグバレッジ - 茅野愛衣
  不見咲 カオル(みずさき かおる) - 嶋村侑
  界塚 ユキ(かいづか ゆき) - 大原さやか
  鞠戸 孝一郎(まりと こういちろう) - 中井和哉

[火星側陣営]
  アセイラム・ヴァース・アリューシア - 雨宮天
  レムリナ・ヴァース・エンヴァース - 夏川椎菜
  エデルリッゾ - 水瀬いのり
  スレイン・ザーツバルム・トロイヤード - 小野賢章
  ハークライト - 平川大輔
  バルークルス - 竹内良太
  マズゥールカ - 豊永利行
  クランカイン - 逢坂良太

■ドライバー分析
第24話のメインドライバーは

①アセイラムが和平を宣言し戦争が終わる(E-G、L-L)
②アセイラムに頼まれた伊奈帆がスレインを助ける(E-G)

である。また、サブドライバーとして

③月面基地の残党がデューカリオン部隊と戦う(E-G)
④スレインがレムリナを逃がす(E-G、L-F)

などがある。
第24話は、長尺の戦闘描写に見ごたえがあり、ストーリーも主人公であるアセイラム、伊奈帆、スレインの関係に沿っている。ただ、若干腑に落ちない点もあり、手離しでは喜べない状況だ。シリーズ全体を振り返ると共に、最終話を分析していこう。

[1]アセイラムの和平の願い

第24話およびシリーズ全てを貫く最も大きなドライバーは「アセイラムの和平の願い」だ。アセイラムの和平の願いは第1話「火星のプリンセス-Princess of VERS-」に始まり、最終話まで常にストーリーを牽引し続けてきた。

一見、アセイラムの宣言によって戦争が終結する事は、あっけない出来事のように見える。しかし、アセイラムが地球と火星の双方に宣言を行えたのはこれが初めてである。

[和平を宣言するアセイラム]

第1期においてアセイラムは暗殺計画や通信の妨害によりその機会を失い、第2期では多くの時間を昏睡状態で過ごした。アセイラムは、自由な立場を得ると常に戦争を止めようとしており、その行動は一貫している。

大きな枠組みで言えば、第24話はアセイラムにとって第1話への回帰になっている。覚えている人も多いと思うが、第1話にはある姉弟が空に無数に流れる星を見て(それは揚陸城であったのだが)「世界中の人が仲良く平和に暮らせますように」と願うシーンがある。

[流星に平和を願う姉弟(第1話)]

その姉弟は第24話にも登場し、またいくつかの流星(伊奈帆とスレイン、あるいは他の残骸)を見ている。第24話のタイトルである「いつか見た流星-Inherit the Stars-」はこの第1話の流星に由来し、第1話での姉弟の願い(アセイラムと同じ願い)が、皮肉でなく実現したことを指している。

[アルドノア一号炉の起動に臨むアセイラムと、それを見守るデューカリオンクルーたち]

このように、アルドノア・ゼロのシリーズ全体の構成は、アセイラムの願いに始まり、願いに終わるという形になっている。

[2]ザーツバルムの悪の系譜

そのアセイラムの願いに対して、常に反対の立場をとってきたのが、ザーツバルムの悪の系譜だ。第1話において、アセイラムはライエの父ウォルフ・アリアーシュらによって攻撃を受け、表舞台からの退場を余儀なくされた。

[父の墓を参るライエ]

ザーツバルムの悪の根幹には、先の戦争で失った婚約者オルレインの存在があり、ザーツバルムは自身の行動を「復讐」と呼んでいた。しかし、ザーツバルムはスレインの父トロイヤード博士の恩に報いたり、第2期で次々と感謝を述べる騎士たちが現れるなど、人望の厚い人間でもあった。

[第1期の巨悪ザーツバルム(第9話)と、戦死した婚約者オルレイン(第10話)]

だが、ザーツバルムは第1期のラスト、第12話「たとえ天が堕ちるとも-Childhood's End-」においてノヴォスタリスクの攻防に破れ、悪の表舞台から去ることになる。そして、その系譜を受け継いだのが、トロイヤード博士の息子スレインである。

第20話の回想シーンにおいて、ザーツバルムはスレインに生命維持装置に入ったアセイラムを見せ「これが限界だ。すまん、スレイン」と言っていた。それはザーツバルムの「復讐」の結果ではあったが、昏睡状態のアセイラムとスレインの関係は、ザーツバルムと戦死したオルレインの関係に似ている。

第15話「旋転する罠-Toll for the Brave-」において、スレインがザーツバルムを暗殺した際、ザーツバルムはそれを受け入れた。それはスレインの行動が、ザーツバルムと同じく帰らぬ人のための「復讐」だったからではないか。

[ザーツバルムを葬ったスレイン(第15話)と、昏睡状態のアセイラム(第20話)]

ザーツバルムにとっての戦死したオルレインと、スレインにとっての昏睡状態のアセイラムには重なる部分があったのだと思う。ザーツバルムとスレインは、共に「帰らぬ人」のための行動し戦争を仕掛けている。

もちろん、アセイラムが目覚める可能性はゼロではなかったが、ザーツバルムへの復讐を果たし、アセイラムの憂う事の無い世界を作り上げられれば、その戦いは終わったのかもしれない。

アルドノア・ゼロにおける悪は、第1期はザーツバルムによって、第2期はスレインによって支えられている。

[3]復讐というエゴイズム

だが、ザーツバルムとスレインは同じ矛盾を抱えている。それはオルレインやアセイラムがザーツバルムやスレインの行動を肯定するとは限らないということだ。

ザーツバルムやスレインは謀略をめぐらせ、火星軌道騎士たちの旗頭として戦争を導いてきた。しかし一方で、ザーツバルムやスレインはそれが罪であることも自覚している。第12話でザーツバルムが見せた自身の頭を指差す行為は、それが復讐の帰結であることを示している。(また、スレインを導く意味もあっただろう。)

[スレインに対し、頭を打てと指差すザーツバルム(第12話)]

第15話でザーツバルムがスレインからの暗殺を受け入れたことも、贖罪、あるいは復讐の炎からの解放、罰を受け入れるといった意味があったかもしれない。

第24話でスレインは、アセイラムの和平の宣言に対し、早々に投降を命じて一人月面基地に残っている。結局、その後ハークライトやバルークルス、ステイギス隊は出撃し、スレインもまたタルシスで出撃するのでストーリー上は違和感のある流れだが、これは「罪を被るのは自分ひとりで十分」という考えに基づくものだろう。

ザーツバルムにせよ、スレインにせよ、どこかで自身の抱える矛盾を自覚し、自らの業からの解放を求めている。伊奈帆との死闘を演じ、地球に降下したスレインは、銃口を向ける伊奈帆に対し、ザーツバルムと同じく自身の頭を指差すポーズをとった。それは、スレインにとって伊奈帆を撃った事や、地球を侵略したことの罪を受け入れる行為だろう。

[ザーツバルムと同じく頭を狙えと指差すスレイン]

もし伊奈帆がスレインを撃ったなら、スレインはザーツバルムと同じく、伊奈帆の報復によって自身の罪に決着をつける事が出来ただろう。それはある意味、幸せな事かもしれない。しかし、伊奈帆がスレインを撃つ事はなかった。

[4]忠実な騎士、伊奈帆

第24話の終盤、伊奈帆はスレインに、アセイラムからに「スレインを不幸の連鎖から救って欲しい」と頼まれていた事を明かす。この「不幸の連鎖」とは、まさに先代皇帝ギルゼリアの地球侵攻から始まる、オルレイン→ザーツバルム→アセイラム→スレインという不幸の連鎖であろう。

[収監されているスレインに、アセイラムの願いを明かす伊奈帆]

もし、伊奈帆がスレインを撃っていたなら、その連鎖は例えば、スレイン→伊奈帆→レムリナと続いていたのかもしれない。

アセイラムは第9、10話においてライエに襲われた際も、ライエに謝罪し、罰を与えようとはしなかった。アセイラム自身は無力だが、その志は常に和平の願いと共通している。その意志を汲み、盾として、剣として、手足となって支えてきたのが伊奈帆という存在だ。

[共に顔面が潰れるタルシスとスレイプニール]

伊奈帆は、シリーズを通してザーツバルムやスレインの攻撃を防ぐだけでなく、最終的にアセイラムの代行者としてスレインを救っている。それは、スレインの望んだ復讐や罰による結末ではなく、アセイラムの望んだ「救済」という結末だ。

[2人の戦いを見つめるアセイラム]

スレインにとって伊奈帆は恋敵であり、最後の戦闘も伊奈帆に対する嫉妬があったと思う。しかし、伊奈帆にとってどこまでそういう意味があったかは謎だ。

一般的に言えば、伊奈帆はアセイラムが好きだったと言えるだろう。しかし、伊奈帆は忠実な騎士である以上のことを望まない。またアセイラムも、クランカインとの婚約を決め、伊奈帆との関係を進めようとはしなかった。

[スレインとの面会のあと空を見る伊奈帆]

だが、伊奈帆との思い出を語るアセイラムの横顔からは、感謝と愛情が伝わってくる。そういう意味では、伊奈帆の圧倒的勝利と言えるだろう。また、アセイラムにとって伊奈帆は地球に対する憧れ(空や鳥を見ること)を叶えてくれた人物でもある。

[伊奈帆との思い出を語るアセイラム。頬が珍しく紅くなっている]

[5]スレインにとっての物語

伊奈帆の戦闘中、スレインは「未来なんて必要ない」と言っていた。しかし、伊奈帆から助けられた後、スレインはアセイラムから伊奈帆を通じて「生きること」を勧められたことになる。そこには全てのものの共存を目指すアセイラムの理想がある。

[伊奈帆からアセイラムの願いを伝えられるスレイン]

アセイラムを失ったスレインが、罪を背負いながら生きていく事は簡単ではないだろう。第22話でレムリナは、そういうアセイラムのやり方を「傲慢」だと言った。なぜなら、スレインはこれからも心の中にアセイラムに対する想いを抱え続け、アセイラムから自由にはなれないからだ。

だが、生きることがアセイラムの望みなら、スレインは再び第1期のように「アセイラムの望み」のために生きることになる。それはスレインにとっての救済になりえるだろう。アセイラムに背いて死ぬか、アセイラムと共に生きるか。それを幸福と呼ぶか、不幸と呼ぶかは難しい。

[鉄格子の隙間から青空を見るスレイン]

また、第24話のエピローグにおいて、アセイラム暗殺の主謀者がスレインとして語られている点は面白い。そこに誰のどのような介入があったのかは明らかではないが、悪の一本化が図れたからこそ、和平の交渉もうまく行くという側面はあるだろう。そういう意味では、最終的にはスレインも和平に貢献したのかもしれない。

■補足、ストーリー上の謎
本線とやや離れて細かな点を考えてみる。

①レムリナの扱い
第24話で最も不思議なのは、エピローグではっきりレムリナが出てこないことだ。唯一それっぽいのは耶賀頼先生の診察シーンの患者だが、レムリナの設定はシリーズを通して謎の部分が多い。

[唯一映るレムリナ?らしき人物(左)]

アルドノア・ゼロの構成は、ラストの結末から言っても、アセイラム、伊奈帆、スレインの3人の人間関係を中心に構成されている。それに比べるとどうもレムリナは後付け感がある。(初期プロットに存在しなかった可能性もある。)

実際レムリナは第1期で存在すら明かされなかったし、第2期においてもアセイラムとの関係が分かるシーンは皆無だった。アセイラムがレムリナとどの程度親しかったのかは謎のままだ。
レムリナは、スレインにもアセイラムにも相手にされず、ちょっと不憫な子である。ストーリー上は、アセイラムの不在を埋める駒にすぎなかったということだろうか。

[レムリナは結局スレインを支える存在にはなれなかった]

②バルークルス推して参るの謎
スレインに忠誠の厚いハークライトが投降しなかった理由はまだ分かる。だが、バルークルスは戦う理由があっただろうか。ただ、旗頭としてザーツバルムを慕うものは多かったので、スレインを慕うものがいてもおかしくはないだろう。バルークルスが応援に来たときのスレインの喜びようは忘れられない。

[2人は結局、結構いい奴だった]

ちなみに「オリンポスの砂嵐には抗うなかれ」というのはどこの諺か分からないが、バルークルスは火星人なので火星のオリンポス山のことを指した火星の諺かもしれない。他にも火星の地形の名前はカタフラクトなどに多数用いられている。

③月面基地爆破の謎
第24話の前半で、スレインが一人残り月面基地を爆破していたが、理由が良くわからない。降伏するならアセイラムのように通信で宣言すればよかったし、そもそも基地に爆破装置がついている意味や、無力化する意味が分からない。前半の流れは、わざわざそういうひねりを入れなくても良かった気がする。

④戦艦デューカリオンとは何だったのか?
戦艦デューカリオンが建造された背景は謎のままだ。ヘブンズフォールで大破したデューカリオン(カタフラクト)からアルドノアドライブを回収した地球連合軍が秘密裏に開発したというのが分かり易い筋書きだが、地球にアルドノア・ドライブの運用技術があったとはちょっと思えない。
地球連合軍がデューカリオンをどういう扱いにしていたのかも謎だ。

⑤アルドノア起動因子の謎
アルドノアの起動権を与えるというのがどういう行為によってなされるのか結局謎のままだった。強制停止するためには直接触れなくてはならない一方で、心停止に伴って停止するなど、遠隔なのか直接なのかも分からない。また、伊奈帆やスレインに対し経口摂取による起動権の授与があったということもあり、仕組みは謎のままだ。ストーリーに直接関係があっただけに、設定は公開してほしいところ。

■おまけ
最後は一番かわいいライエちゃんでお別れです。え、違う?いや、一番かわいいよ!

[see you next aldnoah...]

■ストーリー詳細

(回想、マズゥールカ揚陸城/放送)

G アセイラムが新女王として、クルーテオとの婚約と和平を宣言する。

(回想終わり)

(地球/宇宙)

P 軌道騎士たちや、バルークルスたちが戸惑い、様子を伺う。

(戦線)

E しかし、放送後も月面基地からの反撃は止まない。

(デューカリオン)

P デューカリオンの面々が、アセイラムの放送は本人だと話し合う。

(地球連合軍)

P 地球連合軍も様子をみる。

(月面基地)

P スレインがレムリナの元に向かう。
LG レムリナはスレインに、私の王族の血があれば夢は叶うのではと言う。

(月面基地、廊下)

P レムリナは戦争の光を綺麗だとつぶやく。
P スレインは、本当に大切なものは何も見えていなかったと言う。

(格納庫)

P バルークルスとハークライトが帰ってくる。

FG スレインは兵士たちに、月面基地を放棄し、投降せよと命じる。

F スレインはレムリナをシャトルに乗せ、月面基地に残る。

(月面基地、司令室)

P スレインが月面基地を自爆させる。

(宙域)

E ハークライトやステイギス隊が投降の命令を受け入れず、月面基地に引き返す。

GE スレインも伊奈帆の機を発見し出撃する。

E 伊奈帆とスレインが戦う。

E 月面基地の部隊がデューカリオンを襲う。
E バルークルスも参戦する。

G デューカリオン部隊が応戦する。

EG 伊奈帆とスレインが近接戦闘に移行する。

(マズゥールカ揚陸城)

P エデルリッゾとアセイラムが2人の戦闘を目撃する。

(宙域)

G ハークライトとバルークルスが散る。

(大気圏)

EG 中破したタルシスが地球に落下するが、それを伊奈帆が追従し助けようとする。

(地球)

P 地球に流れ星が落ちる。

(地球、ある砂浜)

P スレインが砂浜に打ち上げられている。
P 伊奈帆がスレインに銃口を向ける。
P スレインは自身の頭を指差す。

(後日、地球)

P アセイラムの協力があり、アルドノア一号炉が建造される。

P 戦争はスレインを反逆者として終わり、地球と火星が和平を結んでいる。

L 軌道式典にかつての同胞たちが集まり、アセイラムの起動を見守る。

(ある刑務所)

P スレインが、収監された伊奈帆に会いに行く。
EGL どうして助けたと聞くスレインに、伊奈帆はアセイラムに頼まれた事を話す。

(式典)

L 式典でアセイラムは、クランカインに空が青い理由を話し、伊奈帆のことを思い出す。

(ある刑務所)

G スレインも空を眺める。

(おわり)

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