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【ストーリー解析】ALDNOAH.ZERO 第21話「夢幻の彼方-The Fortune's Fool-」

2015/03/12 23:35 投稿

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ALDNOAH.ZERO第21話「夢幻の彼方-The Fortune's Fool-」のストーリー解析を行う。→前回 →次回
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■評価
★★ ミスマッチング


[ニコニコ本編]http://www.nicovideo.jp/watch/1425626665

■総評
第21話は、地球側の3体のカタフラクト戦と、火星側の不和といった展開。ストーリーは地球側と火星側に分離しており、さらにテーマ性も低い。ギミックは豊富だが、どこかしまりのない話になってしまっている(補足参照)。もう少し、地に足をつけたストーリー展開を願いたい。ちょっと厳しく★2つ。

■基本情報
原作 - Olympus Knights(アニメオリジナル)
監督 - あおきえい
ストーリー原案 - 虚淵玄(ニトロプラス)
シリーズ構成 - 高山カツヒコ
脚本 - 高山カツヒコ
アニメーション制作 - A-1 Pictures、TROYCA
→Wikipedia

■登場人物
[地球側陣営]
  界塚 伊奈帆(かいづか いなほ) - 花江夏樹
  網文 韻子(あみふみ いんこ) - 小松未可子
  ライエ・アリアーシュ - 三澤紗千香
  ダルザナ・マグバレッジ - 茅野愛衣
  不見咲 カオル(みずさき かおる) - 嶋村侑
  界塚 ユキ(かいづか ゆき) - 大原さやか
  鞠戸 孝一郎(まりと こういちろう) - 中井和哉

[火星側陣営]
  アセイラム・ヴァース・アリューシア - 雨宮天
  レムリナ・ヴァース・エンヴァース - 夏川椎菜
  エデルリッゾ - 水瀬いのり
  スレイン・ザーツバルム・トロイヤード - 小野賢章
  ハークライト - 平川大輔
  オルガ - 三宅健太
  ゼブリン - 木島隆一
  ラフィア - 生天目仁美
  マズゥールカ - 豊永利行
  クランカイン - 逢坂良太

■ドライバー分析
第21話のメインドライバーは2つ。

①伊奈帆たちが、火星の3体のカタフラクトを倒す(E-G)
②アセイラムやレムリナがスレインに背き、拘束される(P=(E)-G-E)

また、サブドライバーとして、

③スレインの目的の説明(P)
④デューカリオンが再び宇宙へ行くことが決まる(P)
⑤スレインの元に火星からクランカインがやってくる(P)

などがある。
第21話は、地球での大規模戦闘と、火星での姫の話。ストーリーは、地球側と火星側に分離している。スレインの目的の説明も軸にあるようだが、構成は全体的に中途半端な印象。感じとしては第19話(アセイラムが目覚めた回)に似ている。

地球側と火星側それぞれのストーリーを振り返ってみよう。

まず、地球側は予告されていた大規模作戦が展開された。ゼブリンのエレクトリス、ラフィアのスカンディア、オルガのオルテュギアを、伊奈帆らを含む地球連合軍が撃破する。事前の煽りのわりにはストーリーは普通で、伊奈帆の「とんち」で切り抜けた。

[敗れたゼブリン卿とラフィア卿]

ギミックとしては、「エレクトリスとスカンディアの動きを予測して射撃」、「電位を等しくして雷撃を回避」、「全て本物のオルテュギアの分身を一斉撃破」などネタは豊富だったが、ストーリー展開としては今までのパターンと同じだ。

[全軍による一斉射撃]

一応、ストーリー展開的には、「伊奈帆の目に負荷がかかっている(E)」という伏線が継続しているが、戦闘自体は単発的でシリーズ全体との接続はよく分からない。ストーリー展開的には、もう少しダイナミックな展開が必要だったかもしれない。

[戦闘で負担がかかった左目と、それを押さえる伊奈帆]

特に気になるのは、この戦闘を火星側や地球側がどう捉えているのかがよく分からないこと。この点は、補足で後述することにしよう。

さて、一方で火星側はマズゥールカからペンダントを受け取り記憶が戻ったアセイラムと、スレインの説明に疑念を持ったレムリナが協力するという展開。

アセイラムとレムリナの細かい会話は描かれていないが、アセイラムの部屋を訪れたレムリナは、アセイラムに空白期間の出来事を説明しアセイラムと入れ替わる。そして、今度はアセイラムがレムリナとしてスレインの真意を知ろうとする。

[レムリナに扮し、スレインに問いかけるアセイラム]

構成上はここで語られるのは、冒頭のアバンで振り返られた「スレインの目的」のようだ。スレインはレムリナ(アセイラム)に、「戦争があるのは2つの勢力があるからだ」「だから、一方を侵略するか、滅ぼさなければならない」「アセイラムの代わりにそれを成し遂げる」と語る。

また、ストーリー序盤でも、「豊富な資源を持つ地球とアルドノアの力で新しい世界を作る」と言っており、それが「スレインの目的」のようだ。それに対しアセイラムは「私の知っているスレインではなくなってしまった」と即時停戦を求めスレインに銃口を向ける。

[変装を解き即時停戦を求めるアセイラム]

ここでのセリフの背景がよく分かるのは第8話の回想シーンだろう。第8話の回想シーンで、スレインは「人間がいると自然が損われてしまう」と聞き悲しむアセイラムに、「人間と自然は努力すれば共存できる」と言って励ましたことがあった。

このエピソードは「地球と火星」のような対立する2つのもののメタファーになっており、スレインが「努力すれば共存できる」ということをアセイラムに教えた場面である。(アセイラムの和平の願いも、「努力すれば共存できる」という同じ立場に立っている。)

[アセイラムに地球の自然について教えるスレイン(第8話)]

だから、「一方を侵略するか、滅ぼしてしまえばいい」というのは、アセイラムの中のスレイン像とは違うだろう。しかし、スレインはもう「ヴァース帝国の人間ではない」と言い2人の身柄を拘束する。

(ヴァース帝国の人間ではないというのは、新しい帝国の人間という意味だろう。とするとヴァース帝国も滅ぼすつもりなのだろうか)

火星側のストーリーは、このようなアセイラムとスレインのすれ違いを描いているが、説明的な感は否めない。

[レムリナとアセイラムを拘束するというスレイン]

第21話は、地球側と火星側がほぼ分断された形でストーリーが進行する今ひとつな展開だった。最後に、クルーテオの息子、クランカインの登場というサプライズはあったものの、もう少し1話単位の構成を頑張ってほしい。

[突然火星から訪れたクルーテオの息子、クランカイン。その役割はいかに]

■補足:ストーリーの問題点について
さて、ここからは第21話のストーリーの問題点について。特に大きいのは地球側と火星側の接続とテーマについてだ。

①地球側と火星側の分離
第21話の最大の問題点は、地球側ストーリーと火星側ストーリーが分離していることにある。並行するストーリーは必ず接続されている必要があるわけではないが、ストーリーが分離すれば必然的にストーリーの強度は低下する。(2つが同時に描かれる必然性がないため。)

具体的に言えば、第21話の中でスレインたちが戦闘について言及したのは、序盤のハークライトの報告だけだ(戦闘地はケニアのヴィクトリア湖周辺らしい)。古参の火星騎士3人の共同戦線の重要度が戦略上低いとは考えにくく、その敗北がスレインに与えるインパクトは描写する必要があったように思える。

[戦闘後のシーン。何の反応も描かれない]

また、伊奈帆たちにとっても同様で、戦闘のギミックだけではなく、その戦闘を伊奈帆たちがどう感じているのかが描写される必要があっただろう。(例えば、脅威を感じているのか、それともスレインを倒す気力を高めているのかなど。)それは、伊奈帆たちが何のために戦っているのかの説明でもある。この点も描写はほぼ無かった。

[描かれるのは次の戦闘への布石や、本部への不満だけだ]

例えば、次のようなテーマは、もっと姿をのぞかせても良かっただろう。

②戦争と反戦というテーマ
第21話には、戦争と反戦、スレインの思想とアセイラムの思想という対比がある。どうしてそこに地球側の戦闘をリンクさせないのか不思議だ。

地球での戦闘は、「一方を侵略するか、滅ぼさなければならない」というスレインの思想の代表的出来事であり、それに伊奈帆たちは対抗している。しかし、見方を変えれば、この思想は地球連合軍にも当てはまる。だから、伊奈帆たちは戦いながらジレンマを抱えているとも言える。

新しい世界を築こうとするスレイン、和平を願う無力なアセイラム、抵抗する伊奈帆たち。この3者の対比はとても重要な構図だ。

本編は単なる場面の切り替えにすぎず両者は分離してしまっている。この対比が中心にこなかったのはとても勿体無い。もし、「力で制圧しようとするスレイン(E)に対し、アセイラムは和平という理想(G、L)で、伊奈帆たちは持ちうる武力で対抗する(G)」というストーリーであれば、両者のカットはもっと融合し、クライマックスも重ねることができただろう。

[スレインと侵略戦争]

[アセイラムと伊奈帆]

(その代わりに、分身が全部本物や、アセイラムがレムリナの姿になるなどのギミックが重視されている。これらはテーマと関係がない。)

これらの対比は戦争がどう決着するのかという最終場面にも効いてくる。スレイン優勢の前半、それに対抗する力としてのアセイラム、伊奈帆の後半ぐらいのメリハリは必要だったのではないだろうか。

③アセイラムとレムリナ
また、それ以外にもアセイラムとレムリナのやり取りも変だ。そもそもアセイラムとレムリナがどれぐらいお互いに知っているのかは分かっていなかった。また、レムリナがアセイラムの部屋を知っている描写もあったわけでは無い。

それにも関わらず、レムリナはアセイラムの姿でアセイラムに銃口を向け、その後はアセイラムに協力し、ひと言も口をはさまないという展開になっている。

[アセイラムに向けられる銃口。やりたかっただけ?]

この点は、後で回想が入るのかもしれないが、レムリナがスレインをどう思っているのか、アセイラムがレムリナをどう思っているのかは少なくとも必要な描写だろう。

また、最後にスレインがアセイラムとレムリナを拘束したことについても、何の悶着も無く片付いている。レムリナにしてもアセイラムにしても銃口を向けただけという印象が強い。これではインパクトだけの画作りだ。

スレインとレムリナ、レムリナとアセイラムの関係は、主人公たち(アセイラム、伊奈帆、スレイン)の関係に継ぐ重要な構図だ。もう少し、それぞれが持つテーマを描く必要があるだろう。(例えば「純愛と裏切り」や、「姉妹愛と家系の優劣」といった面白いテーマがある。)

---

第21話は、重要なテーマをたくさん持ちながら、ギミックを選考させて形式的なストーリーになってしまっている。もったいない。新キャラの登場もよいが、ちゃんと終わるのか少々心配になってきた。

■残された伏線

①伊奈帆の左目には問題が?
②起動因子の細かい発動条件とは?
③トロイヤード博士がザーツバルムを助けた経緯とは?
④戦艦デューカリオンを作ったのは誰?
⑤トロイヤード博士の研究内容とは?
⑥スレインが火星側に助けられた際の事故とは?
⑦ハイパーゲートの暴走はなぜ起こった?

■おまけ、今週のラフィア卿
今週のおまけはショートカット美女、ラフィア卿です。

[支えられませぬ!///(好きです)]

■ストーリー詳細

(回想)

P 伊奈帆がマズゥールカにペンダントを渡す。
P また、スレインの目的を探ってほしいと頼む。

P アセイラムがペンダントによって記憶を取り戻す。
P レムリナがアセイラムがいないことに気がつく。

(回想終わり)

(スレイン揚陸城)

P ハークライトがスレインに戦果を報告する。
E スレインは豊富な資源とアルドノアの力を合わせ新しい世界を作るという。

(デューカリオン、ブリッジ)

P マグバレッジと不見咲が作戦について相談する。

(デューカリオン、作戦室)

P 鞠戸や伊奈帆らが次の作戦について検討する。
P 3体のカタフラクトについて考える。

(レムリナの部屋)

P スレインからレムリナに「戦果を挙げた騎士に言葉をかけてほしい」と連絡がある。
P レムリナはスレインにアセイラムのことについて探りを入れる。
P レムリナはスレインの受け答えに不信感を抱く。

(地球)

G 地球連合軍が配置に付く。

E オルテュギアが分身し主力部隊と交戦する。

GE 強襲部隊がスカンディアに対し煙幕を浴びせるが、エレクトリスの高電圧で煙を排除される。

(アセイラムの部屋)

P 記憶を取り戻したアセイラムが部屋を出ようとする。
P そこにアセイラムの姿をしたレムリナがいる。レムリナはアセイラムに銃口を向ける。

(地球)

G 伊奈帆がスカンディアとエレクトリスの動きを予測し、ユキの砲撃によってスカンディアに損傷を与える。
G さらに、伊奈帆が空から降下し、エレクトリスを撃破する。

E スカンディアの炸裂矢により、伊奈帆が損傷を受ける。

G ユキたちが煙幕弾と集中砲火によりスカンディアを撃破する。
E それを受け、オルテュギアの大群が伊奈帆たちを襲う。

(レムリナの部屋)

P レムリナ(後にアセイラムと判明)がスレインにアセイラムのことを尋ねる。

P スレインは「新しい世界」のためにレムリナにはアセイラムを演じてもらう必要があったと言う。
E スレインは戦争をなくすためには、侵略して1つになるか、一方を滅ぼすしかないと言う。

G レムリナ(アセイラム)はスレインが「変わってしまった」と言い変身を解く。
G アセイラムはスレインに即時停戦を求める。

(地球)

G 伊奈帆がオルテュギアは分身全部が本物だと分析する。
G 伊奈帆が全軍の照準をコントロール下におき、全てのオルテュギアを一斉撃破する。

E 伊奈帆の目に影響が出る。

(レムリナの部屋)

E スレインはアセイラムの求めを断り、アセイラムとレムリナを拘束する。

(デューカリオン)

P デューカリオンに本部から次の宇宙の作戦に使う装備カタパルトモジュールが送られる。

(月面基地)

P スレインの元に航宙船の入港許可を求める通信が入る。
P 航宙船はヴァース帝国からのもので、クルーテオの息子・クランカインが乗っている。

(つづく)

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