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【ストーリー解析】天体のメソッド 第12話「円盤のない街」

2014/12/27 03:48 投稿

コメント:2

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天体のメソッド第12話「円盤のない街」のストーリー解析を行う。→前回 →次回
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この町の空には、いつも。

■評価
★★★ トリッキー/スタンダード


[ニコニコチャンネル]http://ch.nicovideo.jp/sora-no-method

■総評
第12話は、円盤の来なかった世界から始まるトリッキーなスタート。ただし、展開は王道そのもので、エモーショナルラインも非常に分かり易い。随所に今までのシーンを思い出させるようなセリフや状況が登場し、演出も細かい。背景となる世界設定が若干分かりにくい(補足参照)のが難点だが、とりあえずは主テーマのノエルとの再会を念頭において見ると良いだろう。

■基本情報
原作 - カレイドシフト
原案・脚本 - 久弥直樹
監督 - 迫井政行
アニメーション制作 - Studio 3Hz
→Wikipedia

■登場人物

[主人公たち]
  古宮 乃々香(こみや ののか) - 夏川椎菜
  ノエル - 水瀬いのり
  水坂 柚季(みずさか ゆずき) - 豊崎愛生
  水坂 湊太(みずさか そうた) - 石川界人
  椎原 こはる(しいはら こはる) - 佳村はるか
  戸川 汐音(とがわ しおね) - 小松未可子

[乃々香の家族]
  古宮 修一(こみや しゅういち) - 土田大

■ドライバー分析
第12話のメインドライバーは、

①時間が夏休みに戻り、円盤や今までのことが無かった事になっている(E、F)
②汐音が乃々香を助けに来る(G)

である。また、サブドライバーとして

③修一、こはる、湊太、柚季らがノエルのことを覚えていない事の説明(P)

などがある。
第12話は、状況がリセットされるというトリッキーな内容。時間は夏休みまで戻り、円盤のない街に一人記憶を持つ乃々香が取り残される。ただし、その始まり方を除けば、ストーリー展開は非常に分かり易く王道的といえる。

第12話の狙いは、時間の戻った世界で乃々香を孤立させ、最後に助力者として汐音を登場させる事。エモーショナルラインは、ほぼ乃々香を中心にして描かれており、乃々香の感情の起伏に焦点が当てられている。少し具体的に見てみよう。

まず、冒頭のシーンは第1話と全く同じで、第1話かと勘違いしてしまうほどだ。時間は乃々香が霧弥湖に戻ってくる第1話の時点まで戻っており、乃々香と修一は引越しの荷物を抱えて霧弥湖を目指している。第1話と状況は全く同じ。しかし、トンネルに差し掛かったとき乃々香がノエルのことを思い出す。

[トンネルの中でノエルのことを思い出す乃々香]

第12話のタイトル「円盤のない街」は、単に円盤が無くなった街ではなく、「もし円盤がこなかったら」という世界のようだ。修一との会話で、不可思議な状況に気が付き始める乃々香は、急いでこはるや柚季、汐音の元を訪れる。

[こはるや柚季から話を聞く乃々香。しかし、2人はノエルのことを覚えていない]

[汐音の家を訪れる乃々香。しかし、別の人が住んでいる]

乃々香の期待とは裏腹に、誰一人ノエルの事を覚えておらず、乃々香は次第に孤立する。思い出と重なるセリフや状況も中々面白いが、特に印象に残ったのは、その後の真夜中の乃々香のシーンだ。

悲観的な状況の中で、乃々香は眠れず真夜中にリビングに降りる。そこで乃々香は、花織の椅子に腰掛け、流星群の日に天文台で見たノエルの涙を思い出す。

[花織の椅子に座りノエルの涙を思い出す乃々香]

「このままでいいわけない。あの時ノエルは、泣いてたんだから」

このシーンからは、ノエルの見せた涙が乃々香の中にいかに強い想いを残したのかが分かる。第11話のラストシーンは、乃々香達がノエルと再会することの必要性を強く訴え、それが第12話の乃々香の中にも残されている。第1話でノエルが座っていた花織の椅子に乃々香が腰掛けるのも面白い。乃々香は所々で母親から力をもらっている。第7話で花織の死と向き合えたことも影響しているだろう。

第12話のテーマは、この「乃々香の想い」と「否定的な状況」の対立と言えるだろう。乃々香はいつも困難を克服しようとする勇気を持っている。しかし、同時に一人ではそれを貫けない弱さもある。そんな乃々香だからこそ、その強さと弱さが乃々香の中で対立することになる。

続く、乃々香が中学校で柚季たちにノエルの話をするシーンでは、乃々香が

「どんなことでもいいの。ノエルのこと、ノエルと一緒に過ごした時の事。少しでもいいから思い出して、そうじゃないとノエルが……」

と言っている。

[柚季たちにノエルの存在を訴える乃々香]

このセリフの続きはおそらく、「(ノエルが)消えてしまう」だろう。今まで、願いが叶えばノエルは「消える」と言われてきた。第11話の時点では、それはまだ「いなくなる」という意味に留まっていたが、第12話ではより深刻に「ノエルの存在が無かった事になる」という意味になっている。乃々香には「なんとかしないと」という気持ちと同時に、「ノエルが消えてしまう」という不安がある事が分かる。

このシーンで湊太は乃々香に「思い込みかもしれない」と言い、乃々香はその可能性を否定できない。そして結果的に、乃々香は不安を膨らませ、天文台のラストシーンへと続く。

天文台で乃々香は、携帯電話にノエルのことを残す際、

「もし、私だけしかノエルの事を覚えていないのなら、私がノエルの事を忘れてしまったら本当に消えてしまうかもしれない。だから、私が知っている限りのノエルのことを残します」

と言っている。この行動は乃々香が弱気になっている証拠だ。第11話で乃々香は「ノエルのことを絶対に忘れない」と言っていた。その気持ちは揺るがないが、乃々香には味方がおらず、「もうノエルには会えないのかもしれない」という可能性を感じ始めている。一見強そうに見える乃々香だが、時にこはるが、時に汐音が、時に花織が乃々香を支えてきた。そういう存在が今はいない。

[記録を残した後、泣き出してしまう乃々香]

そして、乃々香が諦めかけた時、新しい世界で初めて汐音が現れる。汐音の家に別人が住んでいるというフェイクを入れての汐音の登場、これは非常に王道的な展開と言えるだろう。

[乃々香の前に現れた汐音]

「私が覚えているのは……、私が覚えているのは流星群の夜に見たあの子の涙。あの子が、ノエルが大好きなのはそんな顔じゃないでしょ?」

そう汐音は乃々香に微笑みかけ、乃々香はそれに救われる。(現実的には、汐音も不安になっていてもおかしくない。おそらく、先に乃々香がノエルの事を話しているのが聞こえたのだろう。)

[汐音がノエルのことを覚えていることを知った乃々香]

第12話の全体の構成は、乃々香のエモーショナルライン(感情の列)でまとめられる。乃々香を不安にさせていく前半部分は、すべてこのラストシーンの為にあるといって良いだろう。これからストーリーは、柚季や湊太やこはるもノエルの事を思い出す展開へと続くと思われる。(柚季たちも何かが足りないと感じ始めているようだ。)

最終回で、ノエルが乃々香達の一員になれるか、再会した後お別れになるのかは微妙なところ。助走はばっちりで、展開がとても楽しみだ。

■補足:乃々香が置かれた状況の謎について

さて、第12話の最大の謎は「なぜ、時間が戻ってしまったのか?」ということだろう。「願いが叶うとノエルが消える」ということは今までに説明されてきた。しかし、時間の戻った状況は簡単ではない。ここからは、少し脇道にそれて、乃々香の置かれた状況とはいったい何なのかということについて考えてみたい。(ただし、これは単なる推測なので、適当に読んで欲しい。)

大雑把に考えると、時間が戻った理由には次の3つの可能性が考えられる。

1.それがノエルが「消える」という意味だから
2.ノエルが「泣く」というイレギュラーな事態が起こったから
3.乃々香達の想いが平行世界に干渉したから

まず、1つ目は「円盤が願いを叶える」というシステムの仕様であるという説だ。ノエルが「消える」という意味が、「ノエルがいなかったことになる」という意味なら、ノエルがきれいさっぱり消えている事はそれで説明がつく。

実際、新しい世界では、汐音が小学校の時に引っ越したことが明かされているが、これは汐音がノエルに会わなかったことを意味する。(汐音が霧弥湖に近い北美市に残った理由は、7年前にノエルから乃々香が帰ってくるという「伝言」を受け取っていたからだ。なので、汐音は乃々香の伝言を受け取らず、父の職場の近くに共に引っ越したのだろう。)

また、しいはら本舗が円盤向けに改装していないなど、あらゆる場面で円盤やノエルは無かったことになっている。

[きりごんも無事生還!]

そこで正確に言えば、乃々香は「ノエルと再会した日まで時間が戻った」のではなく、「ノエルと出会わなかった世界に変わり、その中で乃々香がノエルの事を思い出したシーンから描かれている」ということになる。

しかし、この説で引っかかるのは、「乃々香達の願いはどうなったのか?」ということだ。確かに、前の世界では乃々香達の願いは全て叶った。しかし、新しい世界でその願いが叶っているかというと微妙な感じがする。

新しい世界では、柚季と湊太が比較的仲良しで、柚季、湊太、こはるの関係は良好だ。しかし、新しい世界では汐音が孤立してしまっている。もし、乃々香や汐音がそのまま前の世界のことを思い出さなかったとすると、乃々香や汐音は仲良しに戻れない可能性もある。そう考えると、新しい世界では必ずしも5人の願いは叶っていないと言えるだろう。

また、柚季と湊太の壮大なケンカは、そもそも円盤が原因の部分もあるので、円盤が初めから無かったら願いが叶っていたというのはちょっと気まずい。

[すぐに電話をしたり、どついたり仲の良い柚季と湊太]

そのため、1つ目の説では「新しい世界では願いが叶っていない」という点に疑問が残る。それは願いを叶えるという円盤の存在意義にも関わることだ。(円盤が願いを叶えた事が無為になっている。)
ただし、この1つ目の説は「ノエルが消える」ということに焦点が当てられているため、天体のメソッドのテーマと合致しており、比較的有力であろう。

次に、2つ目はノエルが円盤のシステムから外れてしまったことに対する帳尻あわせだという説だ。ノエルは元々、円盤システムのエージェントであった。そんな彼女が暴走してしまったので、それをリセットしたという説である。

この場合、前述の新しい世界で願いが叶っていないことには何も問題が無い。そもそも、願いを叶える事自体がリセットされたと考えられるからだ。

[ノエルの涙はシステムにとって想定外だった?]

しかし、この説の場合引っかかるのは、円盤にそれだけの力があるのなら、はじめから世界を作り変えればいいのではないかということだ。(例えば、その力を使い花織が死なずにすむ世界を作れば、乃々香が引っ越す事もなく、5人はずっと友達でいられただろう。)
ノエルというエージェントを送ってささやかに願いを叶える事と、都合が悪くなると世界を改変する大規模な操作の間には大分隔たりがあるように見える。

また、この説では円盤のシステムはノエルの暴走を許可しないことになり、乃々香たちがノエルと再会する際の障害になってしまう可能性がある。ノエルの涙はイレギュラーだったと思うが、こういったSF的なテーマは、心理描写を重視する天体のメソッドのテーマとは若干ずれているかもしれない。

最後に3つ目は、新しい世界は平行世界であるという説だ。第11話までの乃々香達の世界はあのまま継続し、その思念が超時空的に「円盤の無かった世界」に干渉し、その世界の乃々香と同期したという説だ。

この場合、ストーリーは前の世界で叶わなかったことを、円盤のない世界で叶えるというストーリーになる。(記憶だけを飛ばすのでタイムリープに似ているが、円盤が来ていない点がタイムリープとは異なる。)

[第11話の世界は今も続いている?]

この説では、ノエルが「消える」ことは(第11話のように)単に姿を消すことを意味し世界の改変は行われていない。また、新しい世界で願いが叶っていないのは、円盤が現れなかった世界だからということで両者に説明がつく。

もし、円盤が超時空的に平行世界を旅しており時空の一点にしか現れないのだとすれば、前の世界には円盤が現れて、新しい世界には円盤が現れなかったと考えるとつじつまが合う。

ただ、この説も少し壮大すぎて、説明するのは難しいし、やはり天体のメソッドのテーマから少し外れている気もする。また、元の世界の乃々香達は、結局ノエルに出会えずじまいというのも気にかかる。(ただし、今の世界から逆に超時空的に同期する可能性は残される。)

このように考えてみると、この3つの説にはそれぞれ少しずつ微妙な点がある。次回のストーリーは、「ノエルと再会する」という方向に進むと思われるが、大雑把には5人が団結してノエルを呼ぶということになるだろう。

どのようなSF的世界観なのかは、若干主テーマからずれてしまうが、興味のある人はそのあたりにも注目して見ると良いかもしれない。

■残された伏線
残された伏線はほとんどない。

①汐音の撮ったノエルの写真は伏線?

■ストーリー詳細

(乃々香が霧弥湖に引っ越してくる日)

P 乃々香と修一が車で霧弥湖に向かっている。
E トンネルに差し掛かったとき、乃々香はノエルのことを思い出す。
E しかし、修一はノエルのことを覚えておらず、時間も引越しの日に戻っている。

(車の中)

P 乃々香は円盤のない街に驚く。

(しいはら本舗)

P 乃々香はしいはら本舗で降りる。
E しかし、しいはら本舗は円盤を全く扱っていない。

E 乃々香はこはるに会う。しかし、こはるにも記憶がない。
P 時間は完全に夏休みに戻っている。

(バスターミナル)

P 乃々香は柚季を見つける。

(しいはら本舗前)

P こはるは湊太と、乃々香と円盤のことを話す。
E しかし、湊太も今までのことを覚えていない。

(バスターミナル)

P 乃々香は柚季と話す。
E しかし、柚季も今までのことを覚えていない。

(北美市)

P 乃々香は汐音の家に向かう。
E しかし、汐音の家には別の人が住んでいる。

(公園)

E 乃々香は悩む。

(天文台)

P 乃々香は天文台に向かう。
E しかし、天文台は荒れ果てており、ノエルがいた痕跡はない。

(乃々香の家)

P 乃々香はよく眠れず、夜物思いにふける。
E(G)母親の椅子に座り、乃々香はノエルが泣いていた事を思い出す。

(翌日)

P 乃々香は始業式に向かう。

(北美中学校)

P 乃々香は北美中学校に転入する。しかし、こはるたちとは別のクラスになる。
E 乃々香はこはるから汐音は小学校の頃に引っ越したと聞く。

G 乃々香はこはるたちに話があると言う。

(外)

G 乃々香はこはる、柚季、湊太の3人にノエルのことを思い出してほしいと言う。
E しかし、こはるたちは全然思い出せない。

E 湊太に思い込みじゃないかと言われ、乃々香は不安になる。

(天文台)

GF 乃々香は天文台で、ノエルについて覚えていることを携帯電話に記録する。

(湖の辺)

P 柚季、湊太、こはるはそれぞれ乃々香の言っている事を気にする。

(天文台)

E 乃々香は諦めかける。
G そこに汐音が現れ、ノエルの事を知っていると言う。
G 乃々香は喜ぶ。

(つづく)

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コメント

pinetree
No.1 (2014/12/27 10:50)
こんにちは いよいよ最終回に備えてまた全部見直しました。 改めて良くできた物語だと思いました 11話でそのまま終わってもとても印象的な作品になると思います。

12話は意外な物語進行でしたが全てリセットされて、すんなり分かりやすい内容でした。 でも最後の汐音の言葉が気になります 期待を膨らませる言葉でしたが最終回は単なるハッピーエンドにはしてほしくないですね・・ さてどうなるのでしょう 
ginji (著者)
No.2 (2014/12/27 14:31)
>>1
第12話が分かりやすい内容だったので、最終回はひと悶着あるでしょうね。きっとノエルが帰ってきて終わり・・・ではないでしょう。次回予告がネタバレ防止になっているし、やってくれる気がします。

突拍子もない案ですが、最終回アンハッピーエンド→しかし、映画化決定!になったら最高ですね(笑)。それぐらい見ていたいアニメです。
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