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【ストーリー解析】天体のメソッド 第9話「さよならの意味」

2014/12/07 00:06 投稿

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天体のメソッド第9話「さよならの意味」のストーリー解析を行う。→前回 →次回
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流した涙は、さよならの意味。

■評価
★★★ スタンダード


[ニコニコチャンネル]http://ch.nicovideo.jp/sora-no-method

■総評
第9話はノエル編のイントロダクション。ノエルと円盤、「願い」と「別れ」についていち早く気がついた汐音と、それにまだ気がついていない乃々香のすれ違いを描く。ストーリー密度は比較的余裕があり、構成は分かり易い。ストーリーとしては汐音が目立つ内容だが、今後中心になるであろうノエルの表情にも注目して見て欲しい。

■基本情報
原作 - カレイドシフト
原案・脚本 - 久弥直樹
監督 - 迫井政行
アニメーション制作 - Studio 3Hz
→Wikipedia

■登場人物

[主人公たち]
  古宮 乃々香(こみや ののか) - 夏川椎菜
  ノエル - 水瀬いのり
  水坂 柚季(みずさか ゆずき) - 豊崎愛生
  水坂 湊太(みずさか そうた) - 石川界人
  椎原 こはる(しいはら こはる) - 佳村はるか
  戸川 汐音(とがわ しおね) - 小松未可子

[乃々香の家族]
  古宮 修一(こみや しゅういち) - 土田大

■ドライバー分析
第9話のメインドライバーは、

①汐音がノエルのために、乃々香達から離れようとする(E、L-F、(E-G))
②乃々香が汐音を説得しようとするが失敗する(E-G-E、L-F)

である。また、サブドライバーとして、

③乃々香達がプラネタリウムを完成させるが、みんなで見ることはできない(L-F)
④ノエルが倒れる(E)
⑤ノエルに関する問題についての説明(P)
⑥クラスメイトがプラネタリウム制作を手伝ってくれる(P)

などがある。
第9話は、ノエルの問題についての説明回。ストーリーは「北美祭」というイベントを元に展開され、その中でノエルの問題に気が付いた汐音と、まだそれを知らない乃々香のすれ違いを描く。

ストーリー構成はやや間延びしており、雰囲気としては同じく汐音と乃々香のすれ違いを描いた第3話(オリエンテーリング回)と似ている。前回が1つの山場だったので、仕切りなおしで、ノエル編への導入といった位置づけである。

今回の時点でストーリーが抱える問題は次の2つ。

(1)ノエルの帰還の問題
(2)それを知ってしまった汐音と乃々香とのすれ違いの問題

今回は、後者を中心に描き、それが前者の問題の発覚へと繋がる。では、2つの問題とストーリーについてもう少し詳しく見ていこう。

まず、ストーリーの大枠を支えているのは「北美祭」のプラネタリウム企画である。乃々香たちは、昔のように5人で力を合わせて、プラネタリウムを成功させようとしている。最も、単純なストーリーはそれを成功させて、みんなで「にっこり」になることである。

[乃々香達に協力してくれるクラスメイトたち]

しかし、それはノエルの帰還の問題と関係し、副次的に汐音の問題を引き起こす。それが第9話の基本的な構造だ。これらの問題を解決し、真のエンディングに向かうのが今後の流れということになる。

ストーリーの序盤、汐音はノエルのいる天文台に向かい、ノエルに「願いを叶えたら円盤はどうなるの?」と尋ねている。この時点で汐音は「ノエル=円盤」ということをはっきり意識しており、最もノエルの秘密に近い人物になっている。それに対しノエルは、

「願いを叶えたら、また新しい願いに呼ばれていくんだよ。みんなに呼ばれたときと同じだよ」

と答えており、これが前回のラストシーンに続く(1)の問題の提示になっている。ここで、汐音は「願い」が叶うことによって、ノエルとの別れが訪れてしまうことを確信する。

[『願いが叶ったら、新しい願いに呼ばれていく』というノエルと、その意味を知る汐音]

(思い返せば、汐音は第6話でノエルに「(円盤の)写真を撮っているのは、もっと知るため」と言っていた。汐音はノエルと円盤について最も注意を払っている。)

ノエルが叶えようとしている「願い」は、必ずしも汐音には明言されていないが、汐音はそれが「みんながにっこりになること」であると考えているだろう。(今回のストーリー中盤で、ノエルは「こはると柚季と柚季がにっこりになって、汐音もにっこりになって。これがみんなの願い!」と言っており、汐音の推測はかなり正しい。)

だからこそ、汐音は乃々香と「一緒にはいられない」と言って、前回のラストシーンから乃々香を避けている。だが、乃々香はそのことをまだ知らないため、第3話のときと同じように、汐音と乃々香の間には情報のギャップがある。それが第9話の2つ目の問題(2)につながる。

ストーリーの終盤、乃々香は北美祭に来ない汐音をなんとか探し出し、その理由を問う。もし、ここで汐音がノエルのことを話せたなら、乃々香はきっと分かってくれただろう。(汐音の気持ちは、第8話で乃々香がノエルに言った「お別れなんて言いたくないよ」に似ている。)しかし、汐音はそれを話すことを躊躇い、乃々香の説得は失敗する。

[真っ直ぐに気持ちをぶつける乃々香と、それに揺れ動く汐音]

ただし、次回に繋がるのは、汐音が説得の最中「にっこり出来るわけないじゃない、出来ないの!ノエルのこと」と涙を見せたこと。まだ乃々香には、それが何を意味するのかは分からない。しかし、続くノエルが倒れるシーンへと続き、乃々香は真実へ近づきつつある。
[『ノエルのこと』と言葉を濁し、涙をみせる汐音]

こうしてみると、第9話はノエルの帰還問題へのイントロダクションという感が強い。「願い」の説明、(それが叶う事による)ノエルとの別れの説明、そして主人公である乃々香がそれに気がつくための展開など、準備が進められている。その視点から言えば、汐音の役割は乃々香に問題を伝えることと言えるだろう。

[乃々香の前で倒れたノエル]

さて、ここからは少し先の展開に目を向けてみよう。続くストーリーにとって重要なのは、もしかすると「ノエルの気持ち」かもしれない。

第9話までのストーリーを総合すると、ノエルの行動は基本的に、乃々香(たち)の「願い」を叶えるためであり、それでほぼ全ての行動の説明がつく。

つまり、非常にドライに言ってしまえば、ノエルは「願いを叶える使命をただ全うしているだけ」とも言える。ノエルにとって支配的なのは「願いを叶えること」であり、そこにノエル自身の目的や動機はあまり感じられない。うがった見方をすれば、ノエルは「願いを叶える機械」のようなものだ。

しかし、おそらく多くの視聴者がそう感じるように、ノエルは使命とは別に「ノエル自身の気持ち」を持っているように見える部分もある。

例えば第1話で、ノエルは乃々香との再会を喜び、「乃々香ともっとお話したい」と無邪気な表情を見せていた。また、第2話のラストシーンでは、「円盤を街から追い出したい」という乃々香のお願いに、ノエルは無表情ながら「乃々香、円盤が嫌い?」とトーンを変えている。

そして、今回の第9話で特に注目して欲しいのが、次の2つのシーン。まず、ストーリーの序盤、ノエルは汐音が別れの可能性を知り悲しんでいるのと対照的に、「円盤は大丈夫になったからプラネタリウムに行ける」と乃々香の前ではしゃいでいた。

[乃々香からチケットをもらい喜ぶノエル]

こういった様子は、第9話の多くの場面で見られ、ノエルは基本的に「願いが叶う」ことや「北美祭」について喜んでいる場面が多い。しかし、問題は次の、北美祭に向かうバスでトンネルを通過するシーンだ北美祭に向かう際、ノエルはやっぱり乃々香達に対し明るく振舞っていた。しかし、バスがトンネルに差し掛かったとき、ノエルは不意に寂しげな表情を浮かべている。

[トンネルを通過する際のノエル]

この表情は単に「円盤から離れてしまうから不安」というのとは少し違うかもしれない。(ノエルは直前にも「円盤は大丈夫」と乃々香に言っている。)もし、これがノエルもまた乃々香達との「別れ」を感じていることを示すのだとすれば、このシーンは「ノエルの気持ち」を表す重要なシーンと言えるかもしれない。

ノエルは第9話の序盤「願いを叶えたら、また次の願いに引かれていく」と言っていた。ということは、深読みすれば、ノエルは願いをかなえるたびに、こういった「別れ」を経験してきた可能性がある。

もしノエルが「願いが叶うことは嬉しい。でも別れはやっぱり寂しい。だけど、それが円盤の使命だから」といった「諦め」を持っているとすれば、これらの2つのシーンはその両面を表しているように見える。

最終的にノエルが去ってしまうかどうかは分からない。しかし、いずれにせよ、ストーリーは「乃々香達の願いが叶う事」ではなく、「ノエルと乃々香達の別れ」、あるいは「ノエルの気持ち」といったテーマに向かっていくだろう。

乃々香は汐音を説得する際に、「みんなとノエルと一緒に、プラネタリウムを、流星群を見たいの」と言っていた。この乃々香の発言は、ノエルが加わっている事、流星群という次のイベントを指している点で今後とつながっている。

今までそうであったように、「天体のメソッド」のストーリーを解決に導く原動力の多くは乃々香が持っている。乃々香がノエルの事情に気がつき、そこでどういう行動を取るのか。それが今後の注目点である。5人から5人+αの物語へ。物語は続く。

[汐音が去り、立ち尽くす乃々香]

■残された伏線
残された伏線は次の通り。

①ノエルは円盤から離れられない?
②乃々香の願いとは何か?
③ノエルや円盤とは何か?
④汐音の撮ったノエルの写真は伏線?
⑤乃々香と花織の約束とは何か?(にっこり?)

■ストーリー詳細

(北美中学校)

EF 汐音が乃々香に「もう一緒にいられない」と言って去る。
P 乃々香はそんな汐音の行動に戸惑うが、それでも汐音を信じるという。

(天文台)

P 汐音はノエルに「願いを叶えたら円盤はどうなるのか?」と尋ねる。
EF ノエルは汐音に「願いを叶えたら円盤は次の願いを叶えに行く」と答える。

P(汐音はそれを聞いて、願いが叶ったらノエルがいなくなると確信する。)

(乃々香の家の近く)

P ノエルが乃々香に北美祭のチケットをもらう。
L ノエルは“円盤が大丈夫になった”からプラネタリウムに行くという。

P 乃々香は不思議に思いながらも、ノエルが4枚目のチケットを持っているのを見て、汐音もノエルにチケットを渡した(=プラネタリウムに来るつもり)だと気がつき安心する。

(翌朝、乃々香の家)

P 乃々香は北美祭に向けて気合を入れなおす。

(北美中学校)

P 乃々香が準備室に着くと、クラスメイトたちがプラネタリウム制作を手伝ってくれている。作業は急ピッチで進む。

(汐音の家)

E 汐音が引越しの準備をしている。

(北美祭前日、北美中学校)

L プラネタリウムが完成する。

(柚季の部屋)

P 柚季がプラネタリウムの案内プラカードを湊太に見せる。湊太は柚季と仲直りできたことにしみじみ喜ぶ。

(しいはら本舗)

P こはるがみんなで食べる為の饅頭を準備している。

(汐音の家)

P 汐音は引越しの準備の途中、円盤を呼ぶ方法が書かれた当時の本を見つける。

(回想、円盤を呼んだ日)

L 汐音は乃々香に円盤を呼ぶ方法の本を見せる。
L 乃々香は汐音の話を信じてくれる。
P 乃々香たちは5人で円盤を呼ぶことにする。

(回想終わり)

(乃々香の家)

P 乃々香が円盤を見上げている。

(天文台)

P ノエルは「こはる、柚季、湊太、汐音がにっこりになることがみんなの願いだ」と言う。

(回想、円盤を呼んだ日)

L 5人は願いを込めて円盤を呼ぶ。

(回想終わり)

(北美祭、バスターミナル)

P こはる、柚季、湊太、乃々香、ノエルが一緒に中学校に向かう。

E ノエルは乃々香に「(円盤と離れるけど)大丈夫」と言う。しかし、トンネルの中では表情が暗い。

(北美中学校)

P 乃々香とノエルは、北美祭の食べ物屋を回る。
L ノエルは食べ物に大喜びする。

EF 一方、乃々香は汐音がまだ来ていない事を気にしている。

(プラネタリウム前)

E 乃々香達はプラネタリウムに行ってみるが、汐音はやはり来ていない。
G そこに湊太があらわれ、汐音が欠席である事を知らせる。

G それを聞いた乃々香が「汐音の家に行く」と走り出す。

(汐音の家)

P 汐音が家を出る。

(街中)

G 乃々香は汐音の家に向かう途中、偶然汐音を見かける。

(公園)

G 乃々香は一度は汐音を見失うが、公園で座っている汐音を見つける。

GE 汐音は乃々香に見つけられ一瞬嬉しそうな表情をみせる。しかし、すぐに乃々香を拒絶するような態度をとる。

GE 乃々香は汐音を説得する。その気持ちは汐音に届くが、汐音はノエルの事が「にっこり出来るわけない」と涙を流して立ち去る。

(プラネタリウム)

F こはる、柚季、湊太、ノエルの4人は乃々香達を待っている。しかし、2人は現れない。
F プラネタリウムの片付けのためにクラスメイトが来るが、湊太たちは自分たちでやるからと断り、乃々香達を待つ。

E 気がつくとノエルがいない。

(公園)

E 乃々香はノエルがいなくなったという連絡を受け、直後に公園で倒れるノエルを見つける。

(つづく)

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