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【ストーリー解析】天体のメソッド 第7話「私のなくしたもの」

2014/11/23 05:09 投稿

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天体のメソッド第7話「私のなくしたもの」のストーリー解析を行う。→前回 →次回
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母とつないだ手は、あたたかくて、冷たくて。

■評価
★★★ テクニカル、コンプレックス


[ニコニコチャンネル]http://ch.nicovideo.jp/sora-no-method

■総評
第7話は墓参り回。乃々香と母親、そして乃々香と汐音の関係を中心に描く。ストーリー構成は分かりづらく、初めはエモーショナルラインも取りづらい。しかし、背後関係やテーマがはっきりしてくると、次第にストーリーの流れが分かってくる。初見では、中々入り込めないストーリーなので、特に花織の存在に注目して作品の持つテーマを感じて欲しい。

■基本情報
原作 - カレイドシフト
原案・脚本 - 久弥直樹
監督 - 迫井政行
アニメーション制作 - Studio 3Hz
→Wikipedia

■登場人物

[主人公たち]
  古宮 乃々香(こみや ののか) - 夏川椎菜
  ノエル - 水瀬いのり
  水坂 柚季(みずさか ゆずき) - 豊崎愛生
  水坂 湊太(みずさか そうた) - 石川界人
  椎原 こはる(しいはら こはる) - 佳村はるか
  戸川 汐音(とがわ しおね) - 小松未可子

[乃々香の家族]
  古宮 修一(こみや しゅういち) - 土田大
  古宮 花織(こみや かおり) - 茅野愛衣

■ドライバー分析
第7話のメインドライバーは、

①乃々香が花織の死の悲しみを受け入れる(E-G)
②乃々香と汐音が出会った頃の気持ちを思い出す(E-G、L-L)
③ノエルと湊太が怪獣の腕を直す(E-G)

である。また、サブドライバーとして、

④こはると汐音が乃々香を励ます(G)
⑤怪獣の看板(きりごん)についての説明(P)

などがある。
第7話は、乃々香と母親と汐音の話。乃々香の母である花織の墓参りを通じて、乃々香と花織、乃々香と汐音の関係などを描く。ただし、構成にはやや難があり、エモーショナルラインも取りづらい。

単なる時系列で言えば、第7話は

(1)乃々香達の墓参り
(2)看板の修理

という2つのストーリーから構成される。しかし、心理的ストーリーにまで踏み込んで言えば、第7話は、

(1)乃々香が花織の墓参りをする
(2)乃々香と汐音の関係が改善する(★)
(3)看板の修理

という3つのストーリーによって構成されている。特に見落としがちなのは、2つ目の乃々香と汐音に関するストーリーだ。これが明確になるか否かで、ストーリーの印象は大分変わる。(3)の看板修理のストーリーはあまり関係ないので、今回は(1)、(2)の2つのストーリーについて詳しくみてみよう。((3)については補足参照。)

まず、1つ目は「乃々香が花織の墓参りをする」というストーリー。これは最も目立っているストーリーで意味も分かりやすい。(前回のラストシーンで、乃々香が修一に頼みごとをしていたが、どうやらそれは今回の墓参りのことのようだ。)

[墓参りに行くため、駅まで送ってもらう乃々香達]

このストーリーで重要なのは、「どうして乃々香は、花織の墓参りに行こうと思ったのか」ということだ。形式的に言えば、乃々香の墓参りのストーリーは、「乃々香が花織の死の悲しみを受け止める」ことで終わる。しかし、これは乃々香一人の物語ではない。そこには乃々香だけでなく、こはるや柚季、そして花織の人となりが関係する。

今回も、回想部分を先に見てみよう。時系列から言えば、7年前、乃々香は引越しが花織の病気の治療の為だと聞かされる。

[入院した花織と、それを見る乃々香と修一]

その後花織が亡くなり、乃々香はその悲しみから逃れるために、母との思い出を忘れようと努めたという。そのことは、結果的に友達との思い出も忘れる事につながり、第1話の冒頭へと繋がっている。

[乃々香にとって最愛であった母花織]

より詳しく言えば、乃々香の中には、母への愛情→死の悲しみ→母との思い出の忘却→友達との思い出の忘却という心理的プロセスがある。それが結果的に柚季たちとの問題に発展し、第1話からいくつかの問題になってきた。重要なのは、この忘却を通じて、母親の問題と友達の問題がリンクされている点だ。それによって、ストーリーの構図は乃々香と母親という単純な構図から、友達まで含めたより大きな構図へと広がりをみせている。

1つ目のストーリーは、マクロに言えば、過去に乃々香が辿ってきたプロセスの逆順になっている。

乃々香は、花織の死の悲しみから逃れる為に7年前のことを忘れようとした。だから、友達との思い出を忘れてしまったのは言わば副産物だ。しかし、今度は逆に、友達との関係を取り戻してきたことが、花織の問題と向き合うための大きな力になっている。

[乃々香との関係を取り戻したこはると柚季]

第6話までの間、乃々香は柚季や汐音といった友達との関係を取り戻そうと努力してきた。そのことは、結果的に乃々香に7年前の花織のことを思い出させるきっかけとなっている。(例えば、第5話の花火のシーンや、第1話の引越しのシーンなど。)

[乃々香と花織の花火の思い出(第5話、花火回)]

乃々香にとって、母親のことを思い出すことは、必然的に、その先にある母親の死の悲しみに向き合う事でもある。だから、乃々香にとって、それは心理的に避けたい、怖くて、後ろめたい事だ。

実際、乃々香は出発時点では、まだ覚悟を決めかねていたようだ。しかし、そんな乃々香を柚季やこはるは心配し、明るく後押しする。

[乃々香を励ますこはると柚季]

乃々香には単純な悲しみと、思い出を忘れようとした事についての罪悪感がある。乃々香は、墓を参る直前に花織が「許してくれない」、「自慢の娘だと言ってくれない」と気にしている。しかし、花織の気質を考えると、乃々香が友達と仲良くしている、この現状こそ、その反証になりうるだろう。

「本当に友達になりたいなら、もっとにっこりしなさい」

昔、花織は乃々香にそう言った。花織にとって、乃々香が友達と仲良くしているのは喜ばしい事だ。乃々香は初めそのことに気付いていないが、こはるや柚季はそれに気付き、乃々香の背中をさりげなく押している。乃々香は、こはるや柚季に助けられ、無事に墓参りを終える。

[花織の教えを思い出し、笑顔を取り戻す乃々香]

このように、1つ目のストーリーは、花織がつなぐ、乃々香と友達の関係が上手く描かれている。花織の教えは乃々香の悩みより、ずっとシンプルで強力だ。また、この考え方はノエルの性格とも繋がる部分がある。

さて続いて、乃々香に残されたもう1つの問題でもある、2つ目のストーリーについて見てみよう。2つ目の「乃々香と汐音の関係が改善する」というストーリーは、どちらかというと汐音の側から見た方がストーリーは分かりやすい。

先にラストシーンを見ると、汐音は乃々香への伝言としてノエルに「一緒に流星群を見たかった」と言っている。これは俗な言い方をすれば、汐音が「デレた」と言えるかもしれない。しかし、そこまでのプロセスが謎だと、汐音の行動は奇異に映る。この汐音の行動を理解するには、多くの前提が必要だろう。

[『一緒に流星群を見たかった』と伝言する汐音]

まず、汐音の心境の変化は、第5話のラストシーンあたりから始まる。第5話で、乃々香は汐音に花火を打ち上げると約束したが、その乃々香の言葉は、結果的には嘘にならなかった。そのことは少なからず、乃々香を「嘘つき」と呼んでいた汐音に影響を与えている。また、第5話には、もっと直接的にノエルが汐音にひっつくシーンもあり、汐音の気持ちは変化を始めている。

それがより鮮明になったのが続く第6話。汐音はノエルと温泉に入り、誰かと一緒にいる心地よさを感じている。汐音のストーリーの準備は以前から着々と進んでおり、今回のストーリーは、このようなストーリーの延長線上にある。

[前回、ノエルのクッションを受け取った汐音(第6話)]

今回、さらに乃々香と汐音の関係を取り持つのは、乃々香の母である花織の存在だ。古宮家の墓に現れた汐音が、どういう事情で花織の誕生日(?)や墓の場所を知っていたのかは分からない。しかし、このことから分かるのは、少なくとも汐音にとって花織は特別な存在で、墓参りの日が汐音にとっても特別な日であるということだ。

(ストーリーの序盤、柚季は汐音から「その日は予定があるの。もう何年も前から」と言われたと言っている。もし、汐音が毎年墓参りをしていたのだとすれば、汐音はかなり花織のことを特別だと思っていることになる。)

回想によれば、汐音がまだ小さい頃、花織は乃々香と汐音が友達になるきっかけを与えたという。しかし、それだけで友達のお母さんの墓参りをするようになるだろうか。どうも汐音にとって花織は、単に友達のお母さんというだけの存在ではないのかもしれない。

[古宮家の墓を訪れた汐音]

省みるに、汐音にはそもそも母親の影が無い。第3話での電話は父からだったし、回想で母親が出てきたこともない。また、第6話でも「一人じゃないのは何年ぶりだろう」という発言をしているし、家族の影がほとんどない。今回の回想でも、乃々香が汐音に話しかけたとき、汐音は夜にも関わらず一人でベンチに座っていた。

[一人ベンチに座っていた汐音と、それを見つけた花織と乃々香]

これらのことから考えると、汐音は父子家庭で、母親は離婚しているか死別しているのかもしれない。だとすると、7年前の花火の日に出かけられなかった理由も、父が仕事で、同伴できる保護者がいなかったからなのかもしれない。)

もし、そのような背景があるなら、汐音にとって花織は母親的な存在だったという可能性もある。もし、汐音が花織に母親の影を見ていたなら、花織がとりもった乃々香との関係は、余計に大切なものだったはずだ。そして、湖の辺で交わした「流星群を見る」という約束も。

[星を見る花織と乃々香と汐音]

しかし、現状では、その約束は果たされず、汐音と乃々香は絶縁状態にある。そんな現状は、汐音にとって花織との関係が大切であればあるほど、後ろめたいものかもしれない。

もし、花織がそんな汐音の様子を見たら、きっと汐音に仲直りを勧めるだろう。ストーリーの終盤、汐音は、帰りの電車の中で、乃々香との出会いを思い出し微妙な表情を浮かべている。そこには、乃々香との関係だけでなく、花織との関係が含まれているように見える。

[帰りの電車の中で、微妙な表情を見せる汐音]

さらに印象的なのは、その後、汐音が湖の側のベンチに座り、あの花織の「鼻歌」を歌っている事だ。それは汐音が乃々香に教わったものかもしれないし、花織から直接教わったものかもしれない。この展開は、第1話のノエルと乃々香のやり取りを思い出す。

[ベンチであの鼻歌を歌う汐音]

それを聞いてノエルが喜んだのは、それが乃々香とノエルをつないだ歌だからだろう。汐音にとっては、そこに現れたのが仲良くなったノエルだった事は、気持ちを伝え易い状況につながっている。

汐音がノエルに残した伝言「一緒に流星群を見たかった」は、そんな色々なものの積み重ねの上にある。まだ、問題は完全には解決していないが、汐音の本音が聞けた事は大きな前進だ。2つ目のストーリーには、乃々香と汐音だけでなく、花織とノエルの存在が大きく関係している。

[ノエルから伝言を聞く乃々香]

このように、第7話の2つのストーリーは、乃々香と花織、乃々香と汐音だけでなく、柚季やこはる、花織やノエルといった周りの存在が問題の解決へと大きく関わっている。特に、2つのストーリーに共通するのは乃々香や汐音にとって大切な花織の存在だ。

第7話は、2つの心理的ストーリーが「墓参り」という1つの流れの中に混在している為、構成はやや分かりづらい。しかし、それぞれのストーリーや背後関係を理解すると、2つのストーリーの親和性や、それらを結ぶ花織の存在の大きさがよく分かる。

改めて言えば、第7話は花織がつなぐ物語と言えるかもしれない。ぜひ、乃々香や汐音の心理を追って欲しい。

■補足:ノエルと湊太に関するストーリーについて

さて、第7話の3つ目のストーリーである「看板を直す」というストーリーについても軽く触れておこう。ちょっとノエルが可愛すぎて、可愛いからOK!みたいなノリになっているが、一応看板についての説明がメインっぽい内容である。

[病気というか、明らかに死亡した怪獣さん]

回想部分では、怪獣の看板がこはるの発案で、こはる、柚季、湊太の3人で作られたものだと明かされた。看板の由来が明らかにされたことで、今までの看板関連のシーンも少し見方が変わるだろう。ぶっ壊されちゃって、今後の作画が大変になってるのが心配だが、きりごんには今後も活躍して欲しい

[霧弥湖怪獣、きりごんの設計図]

全体の構成からすると、このストーリーは明るく分かりやすいので、上記2つのストーリーに比べて、少し目立ちすぎな気もする。一長一短である。

■残された伏線
残された伏線は次の通り。

①ノエルは円盤から離れられない?
湊太に乃々香達についていかなかった理由を聞かれたノエルは、「遠くだと円盤が見えないから」と答えている。どうもノエルは円盤から離れられないらしい。別の言い方をするなら、円盤がどこかにいってしまうなら、ノエルもそれについていかなくてはならないということだ。最終局面に効いてきそうな伏線である。円盤と流星群が関係あるのかも気になる。

[円盤から遠くには行けないというノエル]

②汐音はなぜ乃々香を「嘘つき」と呼ぶのか?
③乃々香と花織の約束とは何か?(にっこり?)
④乃々香の願いとは何か?
⑤ノエルや円盤とは何か?
⑥汐音の撮ったノエルの写真は伏線?

⑦柚季の「今でも戻らないもの」とは何か?

■今週のノエル
あぁ^~きりごんの腕がバキバキなんじゃ^~。今週はノエルのかわいいシーンが目白押しでした。

[うぅ~怪獣さんが病気になっちゃったー(泣)]

[そして、イケオヤジ。来週もみてくれよな!]

■ストーリー詳細

(しいはら本舗)

E ノエルが怪獣の看板の腕を壊してしまう。

P こはる、乃々香、柚季は修一の車で出かけるようだ。

P 柚季がノエルを誘うが、ノエルは怪獣さんと一緒にいるとそれを断る。

(北美駅前)

P 乃々香達は電車に乗り換え、目的地を目指す。

E 柚季は汐音も誘ったが用事があると断られたらしい。

(バスターミナル)

P 汐音がバスに乗り込む。

(しいはら本舗)

E ノエルが看板を直そうとするが、余計壊れてしまう。
G それを見た湊太は看板の修復を手伝うことに。

(乗り継ぎ駅)

P 乃々香達は駅での乗り継ぎが上手くいかず、1時間の間が空いてしまう。

P そこで、3人はお弁当を広げて昔の話をする。
E しかし、乃々香には心配事があるようで、元気がない。

(しいはら本舗)

G 湊太とノエルが看板の修理を始める。

P 湊太がノエルになぜ乃々香達と一緒に行かなかったのか尋ねる。
EF ノエルは「遠くだと円盤が見えないから」と答える。

(バス)

P さらにバスに乗り換え、乃々香達は霊園に向かう。

(霊園)

P 乃々香達は迷いながらも、乃々香の母の墓にたどり着く。
E 乃々香はさらにナーバスに。

E 乃々香はこはる達に母の事を話す。

G 柚季やこはるは乃々香を励ます。

(しいはら本舗)

P 雪が降り始める。

(古宮家の墓)

P 柚季とこはるは、墓の前で汐音に出会う。汐音も墓参りに来ていたようだ。
P 柚季たちは、汐音に乃々香と話してみたらと言う。
E しかし、汐音は黙って立ち去る。

G それを聞いた乃々香は、汐音に「今夜湖で星を見るから来て欲しい」と言う。

(回想)

L 乃々香の母は、乃々香に「本当に友達になりたかったら、もっとにっこりしなさい」と言う。
L 乃々香は汐音に話しかける。

(回想終わり)

P 乃々香達が墓に参る。

(しいはら本舗)

P 湊太はノエルに怪獣(きりごん)の話をする。

(古宮家)

P 修一が花織の写真に話しかける。

(電車)

P 汐音は乃々香と出会った時のことを思い出す。

(しいはら本舗)

G 看板の修復が終わる。

(古宮家の墓)

P 乃々香が「ありがとう、また来るね」と言う。

(霧弥湖の辺)

P 汐音がベンチで乃々香の母の鼻歌を口ずさむ。
P それを聞きつけてきたノエルが喜ぶ。

(しいはら本舗前)

P 乃々香が湖の辺に向かう。

P 湊太とノエルは、こはると柚季に看板を見せる。

(回想)

P 花織と乃々香と汐音は3人で星を見る。
L 乃々香と汐音は一緒に流星群を見ようと約束する。

(回想終わり)

F 乃々香は走ってベンチに向かう。しかし、汐音はいない。

P そこに、ノエルたちがやってくる。
L ノエルは、乃々香に「一緒に流星群を見たかった」という汐音の伝言を伝える。

(つづく)

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