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【ストーリー解析】京騒戯画 第10話「今日を騒がしく生きる人々の漫画映画」

2013/12/21 16:51 投稿

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京騒戯画第10話(実質的な最終話)「今日を騒がしく生きる人々の漫画映画」のストーリー解析を行う。第一弾(全一話)、第二弾(全五話)共に未視聴。→前回 →次回
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■評価
★★★ コンプレックス、ストロング


[ニコニコ本編]http://www.nicovideo.jp/watch/1387525037

■総評
予告の「必殺・大団円」の名に恥じぬ、壮大かつケレン味のない大団円である。いくつか設定上の謎はあるが、“ある家族の愛と再生の物語”としてはしっかり完結している。コトが起点となって、稲荷と明恵を家族の中に引き戻していくという難しいテーマを限られた尺の中で自然に表現できているのは素晴らしい。前話までは色々急展開だったが、第10話はラストに相応しい充実した内容だったといえるだろう。

■基本情報
原作 東堂いづみ
監督 松本理恵
シリーズ構成 東堂いづみ、松本理恵
脚本 やまもとみちよ、東堂いづみ、松本理恵
アニメーション制作 東映アニメーション
->Wikipedia

■登場人物
[主人公]
  コト - 釘宮理恵(くぎゅ)
[式神]
  阿(ね)- 日髙のり子
  吽(こ)- 白石涼子
[子供たち]
  明恵(みょうえ) - 鈴村健一
  鞍馬(くらま) - 中原茂
  八瀬(やせ) - 喜多村英梨
[両親]
  稲荷(いなり) - 石田彰
  古都(こと) - 久川綾
[上人の父]
  神様 - 銀河万丈
[鞍馬寺の面々]
  ショーコ - 斎藤千和
  伏見(ふしみ) - 竹本英史
[神社]
  宮司(ぐうじ) - 矢尾一樹
  側近 - 中川恵梨香

■ドライバー分析
第10話のメインドライバーは次の3つ。

①コトと明恵が世界を再構成する(G)
②稲荷の真意の説明(P=E、L、F)
③コトや家族が稲荷を説得し、稲荷がそれを受け入れる(G-L-L)

またサブドライバーとして、

④コトが明恵を説得し、明恵がそれを受け入れる(L-L)
⑤明恵が古都の存在を固定化する(G)
⑥稲荷が父の真意を知る(E-G)

などがある。
メインストーリーは、自分を愛しきれず消えようとしていた稲荷を、コトたちが家族の中に引き戻す(=愛されていることを教える)というストーリー(③)。
世界崩壊という問題は、コトと明恵によって早々に解決され(①)、ストーリーは“家族の愛と再生の物語”というメインテーマに向かっていく。

若干解釈が難しいのは、稲荷が古都に向けて話した真意の辺りで、そこを汲み取れるかどうかで、後のストーリーの理解度は変わる(②)。
この件では、

1.稲荷は自分を愛せない。愛してほしいともいえない。でも家族のことは愛している。
2.稲荷は、古都を見捨てるような自分を愛することはできない。
3.しかし、古都の存在を固定化することは稲荷にはできない。
4.だから、稲荷は子供たちに、自分の全存在を賭けて、解決してもらおうとしている。
5.もし、それが叶うなら、役割を失った自分は存在しなくてもいい。
6.そういう無責任な稲荷に、コトは怒る。

といったあたりが説明される。稲荷はコトたちにとって欠かせない存在だが、稲荷はそのことを肯定できない。はっきり言えば、稲荷は本当に自分が必要とされているのか半信半疑なのである。それがストーリー中、最大の問題であり、それをコトが無理やり分からせるという展開に続く。
最後に稲荷が、自分のことを愛せたかどうかは分からない。しかし、少なくとも稲荷は、自分が家族のことを愛しているように、自分が家族から愛されていることを知ることができた。それが今作のハッピーエンドである。

あと、稲荷の問題とは別に、サブテーマとして明恵の問題もある。明恵が生きる意味を見出すというストーリーは、本質的には第9話で解決しているが、第10話ではその駄目押しというか完結が図られている。1つは、コトが明恵に生きてほしいと頼むシーン。もう1つは、明恵が稲荷から正式に数珠を継承するというシーンである。前者は、第9話の鞍馬や八瀬のシーンと同じく、明恵が兄姉たちに受け入れられていることを知るというシーンであり、後者は、明恵が無理やり生かされているのではなく、自分で生きることを選択したことを示す(そして、それを稲荷に伝えている)というシーンである。
そのどちらも、明恵と家族の間の絆を深めるものであり、これも“家族の愛と再生の物語”というテーマに沿っている。

[稲荷を呼ぶコトたち]

■残された伏線と補足

いくつかの伏線は回収され、いくつかの伏線は残された。大筋のストーリーは完結したので些細なものも多いが、一応補足。

①どうやって世界は再構成された?
明恵一人の力によるものか、明恵とコト2人の力によるものかは不明。ただ、神様が2人を稲荷の後継者として呼んだということは2人の力によるものなのか?大筋としてはコトが壊し、明恵が作り変えたということではないかと思われる。

[世界の再構成を始める明恵とコト]

②稲荷の“心”ってなんぞや
古都は、稲荷が声を天に届けたくてコトに“心”を、闇を光に変えたくて薬師丸に“数珠”を託したと言っている。ここでいう天とは神様のことだろう。解釈すると、父が何を望んでいるのかを知りたくて、その“心”をコトに託し、自分の心の暗闇(自分を愛せないということ)を変えたくて薬師丸に“数珠”を預けたということだろうか。

③神様(稲荷の父)はずっと見ていた?
高天原で明恵とコトの前に、蛙、兎、猿の姿で現れた神様。このキャラクターは今まで何度も出てきていたので、神様はずっと近くで見ていたという解釈も成り立たないではない。ただ、単に適当な外見をセレクトをしているようにも見えるので、どちらかというと後者の解釈が正しい気がする。また、神様というのは、キリスト教の神様ではなく、日本神話の神様をモチーフとしている。

[神様。鳥獣戯画に出てくる生き物たちである]

④稲荷はなぜ明恵に創造の力を託した?
不明。稲荷なりの愛情表現であった可能性はある。

⑤稲荷が御神刀でかけた術とは?
単なる操り術。

⑥八瀬の記憶はなぜ消えた?
コトが鏡都を破壊したため、八瀬の存在自体が揺らいだのだと考えられる。

⑦コトの能力とは?
“コト”が“事”を意味するのであれば、コトの能力は概念を破壊することかもしれない。概念を破壊されれば、当然、存在は消え、元には戻らない。

[章のタイトルに“事”が。思わせぶりだが深読みか]

⑧コトの近くに現れるアサガオは何?
監視装置?なのかな。

⑨神社はなぜ稲荷を恐れるのか?
神である稲荷が秩序を乱す行動をとりそうだから。

⑩古都と稲荷はなぜ離れ離れに?
古都が神社の聖域で保護されていたことを考えると、古都は神社に知られていたし、認められてもいた。また、稲荷と宮司は兄弟であるため、宮司が古都を人質にとったりはしない。なので、ありそうなのは、コトを立派に育てるためという理由だろう。聖域ではコトをちゃんと育てられないと思った古都が稲荷にコトを託した、と考えればつじつまは合う。

⑪なぜ人間の姿の古都と、黒い兎の姿の古都が存在するのか?
人間の姿の古都と、元の体の黒い兎の姿が分離されていたものと思われる。

⑫薬師丸が受けた術式はどういう意味があるのか?
命を創造された。それが稲荷の命と関係あるかは謎。

⑬明恵はどうやったら死ねる?
創造された明恵の命をコトに破壊してもらえば死ねるのではないか。ただし、明恵が稲荷の後を継ぎ創造神になれば死ぬことはなくなるのかもしれない。

⑭拾い子である明恵と稲荷がなぜ似るのか?
不明。ただ数珠の継承が原因の可能性は高い。

⑮コトはどうやって人形を手にいれたのか?
稲荷と古都とコトが聖域で暮らしていた頃、駅開きで聖域に流れ着いたものを稲荷が持っていったと考えるのが自然だろう。

⑯鏡都に行くための鏡は何?
不明。ただ、稲荷が古都と離れ離れになった際に、存在を感じさせるものとして受け取ったものだろう。

⑰伏見はどういう立場なのか?
宮司は伏見と旧知の仲らしい。なので、実は鏡都の監視役だったのかもしれない。

⑱コトが受けた検査とは?
不明。ただ、コトには特別な能力があることを神社は知っていた。

⑲稲荷はなぜ子供の姿なのか?
宮司によれば、稲荷は魂の流転を繰り返してきたのだという。その影響かもしれない。

⑳仏眼仏母像の言う明恵上人の歪みとは?
歪みとは、稲荷が自分自身を愛せないということである。仏眼仏母は古都の愛によってそれを救えると言ったが、結果的には古都との愛の結晶であるコトが稲荷を救うことになった。

■おまけ

今週のベストショットはコトと古都のツーショットです。

[かましてやったコトを褒める古都。愛(物理)も古都には真似できないコトの特技]

[そして、コトある事に殴られる兄。いいパンチもらってます]

■ストーリー概要

(回想)

P 神社の丘。稲荷はコトの秘密を知っているから、コトにも自分の秘密を教えるといい、珠を渡す。
P 稲荷はコトにうまくやれるさという。要領を得ないコトだが、そうだといいよねという。
L 稲荷はコトに愛しているといい、コトも稲荷に大好きだと答える。

(回想おわり)

G 聖域。目覚めた古都は、稲荷に平手打ちをする。
L 稲荷は、古都や家族を愛しているという。
E しかし、稲荷は自分のことは愛せないという。
P 稲荷は、父が自分に何をさせたいのか分からないと言う。
E 稲荷は、古都に知っているなら教えてくれという。

P 古都は、稲荷の壊したいものは自分自身で、そのためにコトに心を、薬師丸に数珠を託したのだろうと言う。
G 古都は稲荷にそんなことしなくても直接2人に言えば良かったのにという。
E 稲荷は薬師丸は嫌がるから言えないという。

G 古都は笑って、子供たちはみんな大丈夫だという。
E 稲荷は、最後に自分が自分を愛せるように賭けたのだという。
G 稲荷は、古都を救うために、自分が犠牲になったとしても良いので、子供たちに未来を託したということらしい。
L 稲荷は古都に生きろという。

G そこに突然、空間を破り、アラタマを振りかざしたコトが現れる。

(回想)

G 明恵と合流したコト。コトは明恵の気持ちを確かめる。
G 明恵は、今はまだ死ねない、鏡都も終わらせないという。

G 明恵は創造の数珠を使い鏡都と世界を修復する。

P その直後、2人は予期せず高天原に到着する。
P そこで待ち受けていたのは、稲荷の父だった。
P 爺は、13番目の平行軸が世界に受け入れられたため2人を呼んだという。

L 爺は、2人に息子の代わりに次の神となれという。
L コトは二つ返事でOKする。 

E しかし、よくよく聞いてみると、2人が神になると稲荷は消えてしまうらしい。
F 爺によると、それは稲荷の望みだと言う。
G そこで、コトは稲荷に直接確かめると言う。

G 2人は過去、現在、未来の入り混じった超空間を移動しはじめる。

L コトは明恵に生きていて欲しいという。
L コトは、みんなで幸せになろう、そのためなら何度でも仕切りなおせるという。

G 2人は稲荷を見つけ、突入する。

(回想から現代へ接続)

EG 稲荷に激しく攻撃をしかけるコト。明恵はそれを防ぐ。
E コトは制止を振り切り、父の前に立つ。

G 吹き飛ばされた明恵は、数珠の力を使い、古都の存在を固定させる。
P そこに爺も現れる。

G コトは稲荷に殴りかかる。
G コトは稲荷に頭突きやぶっ飛ばしたりしながら愛を説く。

L コトは稲荷に消えないでという。
L 稲荷は「うん」という。
G その瞬間世界は変わる。

G 爺は稲荷に、魂は子供たちに受けつぎ、稲荷はここに残れという。
E 稲荷は、自分にはもう何も残ってないという。
G 爺は、稲荷にいるだけで十分だと言い聞かせる。

L 家族たちが稲荷を呼ぶ。
L 明恵は数珠を正式にもらいうける。明恵は生きてて良かったと思えるといいという。

L 家族たちはみんな稲荷に帰ってきてほしいという。
L 稲荷は、それを受け入れる。

P 宮司は神社の仕事に復帰する。
P 宮司は伏見に変わるか?と言うが、伏見は気楽にやりたいらしく鏡都に戻る。
L 側近は、そんな宮司によりそう。

P 家族はようやく一つになる。

(おわり)

次回に続く

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