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ストーリー解析について(技術者向け)

2013/10/10 04:05 投稿

コメント:10

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  • ストーリー解析
  • ドライバー理論

これはストーリー解析の理論をまとめたものです。ただし、技術者向けなので、興味のある人だけ読んでください。

暇があれば、一般向けにも書くつもりです。

■ストーリーに関する定義と命題集
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ストーリーとは出来事の有限列である。
    ストーリーは出来事を要素とする。
    ストーリーの長さは有限でかつ1以上である。
    ストーリーにおける出来事の順序は矛盾なく定まっていなければならない。

出来事とは時間認識の単位である。
    例えば、コマ、シーン、カット、場面、記憶、記述は出来事の単位である。

出来事やストーリーはそれ自体に意味を持たない。
    出来事やストーリーに意味を与えるのは、作者または読者である。

世界とは出来事やストーリーに関する心象全体である。
    世界は作者または読者によって作られる。

世界には2種類の世界がある。それは作者の世界と読者の世界である。
    作者の世界とはストーリーを決定付ける世界である。
    読者の世界とはストーリーによって決定付けられる世界である。

ストーリーは作者によって決定される。
    作者とはストーリーの決定者である。
    作者は作者の世界の中からストーリーを発見する。
    ゆえに、ストーリーの決定は偶発的である。
    ストーリーに、客観的な、あるいはただ1つの正しい展開は存在しない。

ストーリーは読者によって解釈される。
    読者とはストーリーの観測者である。
    読者は読者の世界の中からストーリーを解釈する。
    ゆえに、ストーリーの解釈は読者によって異なる。
    ストーリーに、客観的な、あるいはただ1つの正しい解釈は存在しない。

ストーリーの成立とは、出来事の成立であり、世界の成立である。
    それらの成立は同時であり、分けることはできない。
    それらの意味は、それらの成立によって定まる。

ストーリー、出来事、世界を成立させるのはドライバーである。
    ドライバーとは、ストーリーを“駆動”する力である。
    静的に言えば、ドライバーとは、ストーリー、出来事、世界の間に構造を与えるものである。
    ドライバーは、ストーリーにどのような出来事がどのように並ぶかを決定する。
    また、登場人物、および演出はドライバーに従う。
    ドライバーは読者の情動記憶を引き出すトリガーでもある。
    ドライバーを持たないストーリーは解釈不能であり、成立しない。

ドライバーには5つの種類がある。
    愛と夢およびその達成はドライバーによって導かれる。これをLドライバーと呼ぶ。
    失敗と喪失はドライバーによって導かれる。これをFドライバーと呼ぶ。
    悪と問題はドライバーによって導かれる。これをEドライバーと呼ぶ。
    善と解決はドライバーによって導かれる。これをGドライバーと呼ぶ。
    提示と解説はドライバーによって導かれる。これをPドライバーと呼ぶ。
    Pを除く各ドライバーL、F、E、Gは情動的である。

ストーリーはドライバーの組み合わせによって駆動される。
    その中でも、L-L、L-F、E-G、E-E、P-Lをストーリーの基本形式と呼ぶ。
    (-はドライバーの順序を表す記号である。記号の左が前、右が後を表す。)

L-Lは「願いが叶う」というストーリーである。
    これは2つのLドライバーの組み合わせである。
    例えば、「愛すること(L)」は「愛されること(L)」によって、「願うこと(L)」は「叶うこと(L)」によって終わりうる。
    Lで終わるストーリーはハッピーエンドである。
    また、Lによる基本的情動はポジティブである。

L-Fは「願いが叶わない」というストーリーである。
    これはLドライバーとFドライバーの組み合わせである。
    例えば、「愛すること(L)」は「愛されないこと(F)」によって、「願うこと(L)」は「叶わないこと(F)」によって終わりうる。
    Fで終わるストーリーはバッドエンドである。
    また、Fによる基本的情動はネガティブである。
    ただし、コメディに限りFの基本的情動はポジティブになりえる。

E-Gは「問題を解決する」というストーリーである。
    これはEドライバーとGドライバーの組み合わせである。
    例えば、「問題の発生(E)」は「問題の解決(G)」によって、「謎(E)」は「謎解き(G)」によって終わりうる。
    Gで終わるストーリーはハッピーエンドである。
    また、Gによる基本的情動はポジティブである。

E-Eは「問題が解決しない」というストーリーである。
    これは2つのEドライバーの組み合わせである。
    例えば、「解決すべき問題(E)」は「解決の不可能化(E)」によって、「悪の願望(E)」は「悪の達成(E)」によって終わりうる。
    Eで終わるストーリーはバッドエンドである。
    また、Eによる基本的情動はネガティブである。

P-Lは「重要なものを発見する」というストーリーである。
    これはPドライバーとLドライバーの組み合わせである。
    例えば、「何らかの活動(P)」は「重要なものの発見(L)」によって、「何らかの活動(P)」は「成長(L)」によって終わりうる。
    Pにはきっかけを与える何らかのドライバーが当てはまる場合もある。
    Pによる基本的情動はニュートラルである。

ドライバーには、より複雑な組み合わせもありうる。例えば、次のようなものがある。
    L-F-L:これは、願うこと(L)、叶わないこと(F)、叶うこと(L)という組み合わせである。
    E-G-E-G:これは、問題の発生(E)、解決への試み(G)、問題の発生(E)、問題の解決(G)という組み合わせである。
    L-E-G-L:これは、願うこと(L)、問題の発生(E)、問題の解決(G)、叶うこと(L)という組み合わせである。

ストーリーの強度は、ドライバーの数と明確さによって決まる。
    ドライバーの数がより多く、より明確である方がストーリーの強度は高い。
    ただし、ドライバーの数と明確さは必ずしも両立しない。
    また、ドライバーの判定は、作者や読者の世界に依存する。
    ゆえに、ストーリーの強度は、最終的には作者または読者の世界に依存する。

ストーリーの構造をドライバーによって表現することをドライバー分析という。
    ドライバー分析はストーリーの構造を明らかにする。
    ただし、ドライバーの判定は、作者や読者の世界に依存する。
    ゆえに、ドライバー分析には、客観的な、あるいはただ1つの正しい分析は存在しない。
    ドライバー分析は、分析者が分析した結果を正しく表現する手法である。


コメント

jyuusyoku
No.9 (2014/02/08 18:13)
>>3
返信あざっす!
内的問題の問題提起ー解決がL-Lとなるのは面白いですね。外的問題はトラブルだけど、内的問題は願いなんだ。
物語を駆動させるドライバーがどこにあるのかを読者の目線から端的に表すというのは、物語の評価をより公平に行えてるような気がします。これからも記事楽しみにしてます!
とらっしゅ
No.10 (2014/10/31 07:51)
ウラジーミル・プロップの昔話の形態学の頃からこの手の物語の解析はあるわけだけれども、
一貫して人間が物語を動かしているという立場はどれも変わらないのよね。
tori
No.11 (2015/07/20 17:03)
たまたま見かけたんですが、突っ込みたくなる所があったので、ちょっと書いてみます

>ストーリーにおける出来事の順序は矛盾なく定まっていなければならない。
別に矛盾あってもいいような
前回死んだキャラが次回出てくるアニメ(カブトボーグ)もありますよ

>出来事とは時間認識の単位である。
>    例えば、コマ、シーン、カット、場面、記憶、記述は出来事の単位である。
時間認識の単位って話がおかしいような
事象の事じゃないの?

>出来事やストーリーはそれ自体に意味を持たない。
>    出来事やストーリーに意味を与えるのは、作者または読者である。
意味を持たないのではなく、事象が複数の意味を持っており
それをいくつも並べて、それらのうち一つを選ぶように選択させる行為をしてるような
それぞれの出来事が意味を持たない場合は、いくら積み上げても意味を持たないんではないでしょか?
現実という物と出... 全文表示
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