●ニコ動連載小説『コスプレ少女ルミ』 

『コスプレ少女』ROUTE161 413-416頁     ★彼女の小さな手に武骨なナイフは

2020/07/19 19:45 投稿

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ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。
【 今までのあらすじ】

コミュ障で友達が出来なかった京都に住む中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
リンに誘われ、サバゲ―イベントの昼食作りを手伝うバイトをすることに。
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07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です。

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【登場人物紹介】                
                     人公の本田ルミ

この春、中学生になったばっかりの女の子。
ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレを
きっかけにコミュ障からリハビリ中。
 ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
賢者のルミのコスプレイヤー。   

 イメージイラストは
 ぽよん様 提供。     
                  

                       白銀(しろがね)リン

ルミ
がイベント会場で出会ったベレー帽が
トレードマークの萌え可愛い女の子。
本名は坂本サキ

天使のリンをイメージしたオリジナル
コス
プレイヤー。
実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

イメージイラストは ゆりぺっこ 様提供。



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 当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

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   413-416です。

 ルミは ピーラーでジャガイモの皮を剥きにかかる、濡れたイモは滑りやすく持ちにくく、
見るも危なっかしい手つきでイモの表面を削る。  

削っても削ってもバケツのイモはなかなか減っていかない、
指がイモの灰汁で薄黒く染まるわ、おまけにまだ次の人参が控えている。

ところでリンちゃん、今日のカレーは何人前を作る気なの?

百人前くらいですゥ、参加者は五十人ほどですゥけど、みなさんお替りするでしょうし、
倍は容易しておかないといけないのですゥ~
 舌っ足らずなアニメ声でシレっと答えるリン

 百人前と聞いて、ルミは ふうと深い息をつく。
まあ、それだから、自分にバイトの声がかかったんだと思う……

 外皮を剥き終わった玉ねぎの方は、リンがクシ切りの作業に取り掛かっていた。
彼女は玉ねぎが放つ催涙ガス対策にサバゲ―用のゴーグルをちゃっかりと着用している。

フォー、これは意外といいかもですゥ

そして、包丁ではなく、例のサバイバルナイフを使って、玉ねぎの頭とお尻を切り捨て、
二つ割りにし、クシ切りにしていく。
彼女の小さな手に武骨なナイフは持て余されるように思えたが、器用に使いこなしている。

ルミリンに訊いたところ、ナイフを使いこなす訓練の一環だそうだ。
何故、リンがそんな訓練まで必要と考えているのか? 
ルミには さっぱり理解出来なかった。

以前、リンの大邸宅の庭でキャンプをした時も彼女の変な拘りをみせられた。
このお嬢様は大がかりなキャンプセットであろうとネットで豪快にお取り寄せする、
そんな性分の子なのだ。

 下ごしらえをしている彼女たちの後ろでは、武田と丸川が、
カマドの設営準備をしているところだった。

肩に小型のプロパンガスボンベを担いで運び込むふたり、迷彩服を着た男が
灰色のガスボンベを担いでいる様は、まるで爆弾を運んでいるように見えた。

 ふたりはコンクリートブロックが置いてある場所にガスボンベを降ろすと、
次は錆びた鋳物のコンロにガスゴム栓を繋ぎにかかる。

ブロックを組んだカマドが出来上がった、続いて、寸胴と呼ばれる給食でスープを
運ぶような縦長の大きな鍋が運ばれてきた。

リンがカットした玉ねぎをそこへ放り込んでいく。

 ルミが剥いたジャガイモや人参も、リンがたちどころにカットして放り込んでいき、
時間がかかったが寸胴三つ分を何とか切り終えた。

水を加えて火にかける、リンがお玉を持って、ルミに仕込みの説明をする。

あとは時々、こうして鍋の表面に浮いてくる灰汁をすくってやるのですゥよ
 そう言ってリンは、沸々と表面に細かい泡となって塊る灰汁を
お玉で丁寧にすくってみせる。

 少ない食数ならば、野菜は炒めたりともっと手間をかけるらしいのだが、
さすがに量が多いと無理なので、今回は直接煮ているとのこと。

中尉さんらは農家さんの大きなお釜を借りて百人前のご飯を炊きにかかっているのですゥ。大きなお釜でも百人分となると、三回炊かなきゃならないので、メチャ大仕事なのですゥ。
でも、うちらは灰汁取りの番だけだから、一息つけるですゥよ

ルミは今、教えてもらった灰汁取り作業をおぼつかない手つきで真似をする。

日頃、親の手伝いなど一切していないルミは、皮剥き作業だけでヘトヘトなので、
灰汁取りも直ぐにリンに任せて地べたに座りこんでしまう。

嗚呼、しんど~い、リンちゃんこんなお手伝い何回もやってるの?

いや、二回目ですゥよ、前は二十人足らずでBBQでしたから、
チョロっと野菜の下ごしらえくらい。
でも、今日は合同イベントで雑誌の取材も来るのですゥ

えっ、そうなの?

 リンは かけていたゴーグルを額の上にあげ、ルミとのお喋りに本腰になる。

ルミちゃんも一緒に撮ってもらいたいですゥか?

ダメえ、わたし、顔出しNGだから
 ルミは 顔を左右にブルブルと震わせて断る。

 話し込んでいるふたりの前に、武田がふらりとやってきた。

おふたりともご苦労さん

あら、中尉さん、炊飯サボってて、いいんですゥか?

丸川君に火の番をさせるから大丈夫だよ。炊きあがって、交換する時が忙しいんだよ

はは~ん、ひょっとして、ルミちゃんを見に来たですゥか? 
中尉の趣味はメガネっ娘?

 口の端をあげて、目上の男性をからかうリン

 ルミは 体育座りになり、下を向いて赤面する。

違う違う! 白銀(しろがね)が友達連れて来たっていうから、
どんな子なのか気になって。
 見たところ普通の子っぽいけど?

そうですゥよ。ルミちゃんは普通……って言うか、ネトゲーマーで、
ただ今、コミュ障のリハビリ中なのですゥ

コミュ障? 丸川君みたいなもんか? 
あいつは引籠りだったのを黒田さんが親に頼まれて、何とか外に出られるようにまで
面倒見てきたからな。十九歳でプーだけど、社会復帰出来そうだし

 じっと聞いていたルミは、丸川というあの若い人もそうなんだあと妙に共感を覚えた。

白銀の友達っていうから、俺はまたCQC(近接格闘)の達人でも連れてきたのかと
想像してたんだよ。
なにせ、白銀は模擬戦と言えども、レンジャー徽章を持つ俺を負かす恐ろしい子だからな

 聞き耳を立てていたルミは、思わず顔をあげて声を出してしまう。

マジっすか!

おおっ、この子、今の話に喰いついてきたぞ

ルミちゃんは、ネトゲーマーさんですから、シューティングゲームで
毎晩、派手に撃ち殺しまくってるみたいなのですゥよ

リ、リンちゃん、人前でそんなデタラメ言わないでよ! 
撃ち殺しまくったりしてないよ。
 それより、自衛官相手にCQCで勝っちゃうの?

キャハハハ、ラバーナイフを使った模擬戦で体当たりなしのハンデ付きなのですゥ

でも、相手はプロじゃん

 ルミ武田の容姿をマジマジと見直す。

 身長は百七十センチほど、決して大男ではないが、首回りも太く、
袖捲りした腕も逞しい、格闘向きの体格だ。

ちょっと、お見せしますですゥかあ

えっ、今ここで?

 リンはお玉をルミに手渡すと、武田に目で合図を送った。

 ふたりはカマドから離れて互いに距離をとって向き合う。

 武田はホルダーからナイフを取り出し、アーミーベストをその場に脱ぎ捨てた。
 ナイフのブレードを指で曲げて見せる、模擬専用のラバーナイフだ。

 腰を落とした騎馬立ちの構え、おそらく、リンが素早い動きで重心を崩しにかかることを
承知しているのだろう、体重差から言えば、子供相手に負けるわけがないはずだ。

一方のリンは、何も持たず、構えもとらずにふらりと半身に立つ。

リンちゃんはどうやって闘うつもりなんだろう? 
てっきり同じナイフかエスクリマの棒でも持つのかなと思ったんだけど……

ルミはそう疑問に思った。
リンの近接戦スタイルはフィリピンの古武道であるエスクリマだからだ。

両者は距離をとったまま動かない。

 素人のルミから見ても、大人である武田の表情の方が真剣だ。
ギラギラとした眼光、射抜くような視線で対戦相手を見ている。

 リンはその大きな鳶色の瞳を妖しく輝かせている、
うっすらと浮げる笑みとともに、好物を前にしたヤンチャな子供のような……
否、どちらかたと言えば狂人に近い、端整な美少女だけにホラーチックな
恐ろしさを感じる表情だ。

武田が間合いは詰めずに、ナイフを前後にフェイントっぽい動きをするも、
完全に読まれているのかリンは微々とも動じない。

くそお、こちらから出たら、前みたいにやられる!

 すると、リンの方が静かに歩を進めて来た。

 武田は相手の動きを読み切れずにいた。

横っ飛びか? カウンタ―狙いか?

 リンは構わずゆっくりと間合いを詰めてくる。

武田の考えは、歩を進める相手の足が地面から離れようする瞬間が、
地面を蹴るタイミングに最も不利、そこを突く。

右手でナイフを突き出すので、相手は避けるとすれば さらに右側に動くのが定石だ、
相手が右側に飛んだ場合も想定していた。

リンの左足が浮き上がろうとした瞬間、ヒュっと甲高い呼吸音とともに、
武田の突き出した右ひじが、下方向から弾き上げられた。

リンがひじで突きあげたのだ。
気が付けば、武田の胸にリンが背中をくっ付けるような体勢で居た。

は、速い ……」 あまりの速さに武田は硬直。

リンは下から 武田の喉を細い人差し指でなぞってみせる、ナイフで切り裂いたという意味だ。

うふふ、中尉さん。今回、うちはワザとゆっくりと歩いてタイミングを誘ったのですゥよ。大きな呼吸音で反射的に動いたでしょ

なんと、最初からリンは計算づくだったと言うのだ、元自衛官の武田は絶句した。

(つづく)

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