●ニコ動連載小説『コスプレ少女ルミ』 

『コスプレ少女』ルミの恋ばな その③ 401-404頁  ★『フォートラン言語の入力作業をですか!』

2020/05/17 19:59 投稿

  • タグ:
  • コスプレ
  • 小説
  • 創作
  • ライトノベル
ちょっと心に傷あるコスプレ少女たちの物語。
【 今までのあらすじ】

コミュ障で友達が出来なかった中学生のルミは、イベントで年上の美少女レイヤー滝沢エリカや同じ歳で萌え可愛い人気レイヤーの白銀(しろがね)リンと出会う。
エリカに誘われてダンス動画を作ったのをきっかけに、東京のイベントに出演したりと
それなりに脱コミュ障しつつある日々を送るっている。

ある日、ルミの部屋で三人はまったりと過ごしていると、
ひょうんなことから、話題がルミの幼い頃のことに。

*********************************************************
07~09年に商業誌の新人賞に応募も落選した「コスプレ少女ルミ」シリーズと「ソニックボイス」の作品を
再編集して、書き直したものです。先に当ブログに掲載していましたが、ルミの一人称形式を改め、
設定(携帯⇒スマホ)修正、加筆しての新装版です

*****************************************************
*****

【登場人物紹介】                
                     人公の本田ルミ
この春、中学生になったばっかりの
女の子。
ゲームオタクでプチ引籠り、コスプレを
きっかけにコミュ障からリハビリ中。
ツインテールのメガネっ娘のゲームキャラ
賢者のルミのコスプレイヤー。   

 イメージイラストは
 ぽよん様 提供。     
                  


                  滝沢エリカ                  
ポニーテールにティアラを着けた
エリカ姫」の
コスプレイヤーで
中学三年生。
イジメによる背中に酷い火傷が
コンプレックス。
リストカットした過去もあるちょっと
ワケありの美少女。
ルミをダンス動画作りに誘う。


                       白銀(しろがね)リン
ルミがイベント会場で出会ったベレー帽が
トレードマークの萌え可愛い女の子。
本名は坂本サキ

天使のリンをイメージしたオリジナル
コス
プレイヤー。
実は「狂犬サキ」の異名をもつ、街の不良からも一目置かれるほどの喧嘩猛者だった。

イメージイラストは こんぺいとう**
のイラストメーカーより作製。




************************************************************
 当ブログ内のイラストの著作権者は、各絵師様に有りますので転載等はご遠慮願います。

***********************************************************
   401-404です。

 ルミの語りは続く。

お兄さんは丁寧に教えてくれたよ。
『いいか、このノートの数字をだな、画面のこの列のマスへ順番に入力して…… 』
お利口なわたしはデータ入力の仕方を直ぐにマスターしちゃったよ。

ノートにびっしり書かれた数字の列に定規を当てて、間違えないように右手で
定規を一行づつずらしながら並びの数字を決められたマスへ入力して計算プログラムを実行、結果をプリントアウト。なんてことはない単純な作業だったからね

そのお兄さん、よっぽどレポートの締め切りに切羽詰まっていたのかしら?

テーブルに頬杖を着いたエリカが、呆れたふうに言った。
小学生に研究データの入力作業を手伝わせようとするなんて普通じゃない。

それだけ、わたしが優秀だったってことだよ
 胸を張って答えるルミ

へえへえ
 調子づいている時のルミは、結構自信家だ、エリカの皮肉も軽くかわして、話を続ける。

それでね、お兄さんはこう言ったんだ。

『いいかいチビちゃん、これ手伝ってくれたら、また遊んでやるからな』
 遊んで欲しかったわたしは、入力作業を喜んで引き受けたよ。

 でも、ある時、入力作業しているところをおばあちゃんに見つかって怒られた。

『これ! 学生さんの勉強の邪魔したらアカンやろ!』って。

 お兄さんは『いや、違うんですよ大家さん。
邪魔じゃなくて、お孫さんに研究データの入力作業を手伝ってもらっているんです』
と言って慌てて説明してくれた。

わたしは怪訝な表情のおばあちゃんに、キーボードを打つところを見せて、
お手伝いだとアピールしたよ。
おばあちゃんはわたしの手つきを眺めながら、
『この子、ちゃんと役に立ってますのん?』
って、お兄さんに訊いてた。

孫のミスで大切な研究がダメになったりしないか心配だったらしい。

『でも、子供のすることやし、打ち間違いとかして迷惑にならしまへんか?』

『大丈夫です、ご心配にはおよびませんよ。

僕が独りでやったってミスはありますし、最後に再チェックも入れてますから。
それに荒打ち(下書き)だけでも、やってもらって、たいへん助かっているんです』

お兄さんの言葉を聞いて、おばあちゃんもやっと安心したみたいだった。

『お孫さん、なかなか筋がいいですよ、覚えも早いし』

孫を誉められて、おばあちゃんは、ちょっと機嫌がよくなった。
『そりゃあ、わたしの孫だからねぇ。血筋かも知れないねぇ』

『血筋?』
 お兄さんの方が、おばあちゃんに訊き返した。
『わたしゃ若い頃、商社勤務でタイピストをやってたんやで』

『タイピスト?』

耳慣れない言葉に、お兄さんはおばあちゃんにまた訊き返した。

『おやおや学生さん、タイピストを知らへんのんかい? 
 昔は女性の花形職業やったんやで。
 タイプライターを打つ専門家、今はみんなパソコンの時代だからねぇ』

おばあちゃんは懐かしそうに目を細めてね、そこからちょっと長い昔の話を始めちゃって。
おばあちゃんは、女子大の英文科を出ていて、大きな商社にも勤めていた
ハイカラさんなんだ。
 昔は結構モテてたらしく、おじいちゃんとはダンスホールでナンパされたんだって

それ、今、要る情報?
 我慢強く聞いていたエリカが突っ込む。

あっ、ゴメン、ゴメン。
それでね、おばあちゃんがお兄さんに、
『そうそう、タイピストの腕前を買われてな、あんたの大学へも、
お手伝いしに行ったことがありますねんで。
 コンピューターの入力作業、紙のカードに穴をあけてプログラムを作るやつ。

えーっと、なんて言うたかなあ、そうそう思い出した、
フォートランって呼んでたわ』

『フォートラン言語の入力作業をですか!』

 その時、お兄さんがオーバーなくらい驚いてたのが、今でも記憶に残ってるよ

【解説】『フォートラン』FORTRANとは、当時初の記述式のプログラミング言語。
 多くのプログラミング言語の基礎となり、『フォートラン言語』自身も、その進化系が学術計算用に活躍中。ただし、現在の入力方法は改善されている。

タイピストのスキルが遺伝なんかする?
 ちょっとぼやき気味に疑問を言うエリカ

そりゃあ、タイピストだったおばあちゃんの血筋が、
わたしのPC早打ちスキルに影響しているってのは、さすがに怪しいと思うけど。
おばあちゃんは、とにかく嬉しそうだったよ。

何しろ祖母と孫共々、最高学府の研究に貢献が出来た、名誉なことだって……
誰も気がついてなかったけど

エリカはクスりと笑った、その内心では。
あんたとよく似てるわ、褒められて調子に乗るところなんかは、血筋ね!


白銀リンがポットで新しいお茶を淹れながら、またルミを茶化す。
結局、ルミちゃんが左手で打つようになったのは、そのロリコン兄さんの
影響なんですゥね

だから、ロリコンじゃないってば!
 ルミは即座に反論しながらも、カップをリンへ突き出してお替りを求め、話を続ける。

それでね、こうして、おばあちゃんも公認で、お兄さんの部屋に
入り浸るようになったんだ。

下宿部屋は一軒家の中のドアに鍵もない一室で、コタツテーブルにPCと
古いプリンターがデンと置いてあってさ、お兄さんはいつも座布団も敷かずに
胡坐をかいて作業してた。

大学ノートにびっしり書かれた数式とにらめっこをしながら、
多分、プログラミングか何かに頭を悩ましていたんだと思う。

お兄さんの横でわたしは、任された大学ノートに定規を当てて、
右手で定規を一行づつずらしながら並んだ数字を間違えないよう読み取って、
左手でキーボードを叩いて入力していった。

データはほとんど数字だったけど、時折アルファベットや数式の記号何かもあったな。

何回もお手伝いをしたよ、お手伝いを終える度にお兄さんは、
わたしの頭を優しく撫でながら誉めてくれて、ご褒美にゲームで一緒に遊んでもらったよ

リンがカップに注いだお茶をルミに差し出しながら、

で、お兄さんと部屋でふたりきり、な~にも無かったのですゥかあ?
 ちょっと下衆な笑みを浮かべ、舌っ足らずなアニメボイスて訊く。

まだ、そこに絡んでくる気?
 ルミは表情をムっとさせた。

 リンはヒソヒソとエリカの耳そばで話しかける。
しかも、ルミをからかうためにワザと漏れ聞こえるようにして。

だってえ、密室でふたりきりですゥよ。
 イタヅラとか、へんなスキンシップとか、されちゃってもおかしくない状況ですゥ。
エリカお姉様はどう思いますゥ?

確かにヤバい状況よねえ
 ポニーテールを揺らして頷くエリカ

変態さんには要注意なのですゥ。うちも困っているのですゥよ。

いっつも、背中からベッタリと抱きついてきてぇ、頬擦りしてきたりぃ、
髪の匂いをクンクンと嗅いでくるメガネの人がいるのですゥ~

それって、わたしのことじゃん!
 ルミはメガネが持ち上がるほど怒った。

あらあ、聞こえてたですゥかあ。
まあ、ルミちゃんを変態さん呼ばわりしたのは冗談としてぇ、
うちは本物の変態に襲われたこともあるのですゥよ

ええっ! 襲われたってえーっ

それって痴漢のこと? 痴漢ぐらいならあたしも電車でされたことあるけど
 なぜかエリカが妙な対抗心をみせる。

いえいえ、痴漢じゃなくって、下校時に男が襲ってきたのですゥよ

それは変態って言うより変質者じゃ……一体、どこで襲われたの?

今の家の近くの坂道ですゥ

マジ? あの山荘みたいなデカい家に行く途中の? 
カブトムシがいっぱい出てきそうなくらいのあの山道?

まあ、確かにカブトムシも居るんですゥけど、変質者のたぐいも
ちょくちょく出るのですゥよ。
 もち、半殺しにして退治したのですゥ

半殺しって、ああ…… そうでしたね……
 ルミエリカと目を合わせてから、少し俯く。
うん、ちょっと忘れていたよ、この見かけこそ西洋人形のように可愛い萌っ娘が、
チンピラキラーの喧嘩猛者だということを ……
退治したって、簡単に言ってくれるあたり、萌っ娘の前では変質者も害虫扱いやな ……

ルミはフゥと溜息をついてから顔をあげた。

向かいに座るエリカも目を大きくあけて手を拡げ、小さなジェスチャーで
リンならそうなるわね』と無言で伝えてきた。

ルミはお替りの紅茶を一口飲んでから、また話を続ける


(つづく)
*****************************************************
********
★初めて読まれた方は、1頁目からどうぞ
http://ch.nicovideo.jp/sonicvoice/blomaga/ar858417

コメント

コメントはまだありません
コメントを書き込むにはログインしてください。

いまブロマガで人気の記事